第十七話 滞在期間
滞在期間が決まり、物語はいよいよ次の段階へ。
大きな変化の前にある、静かな夜のお話です
一方アリスは新しい指示を受けていた。
「はい、そのようなことが、、はい、、了解。」
通信が切れる。
(ニューラ……ユウの覚醒にとって、大事なところ。わたしも頑張らなくちゃ……)
◆
「え!滞在期間は数ヶ月??」
「そうなりそう。もっと長くなるかも。次はユウにとってとても大事なフェーズになる。」
「まあ、確かにそうだよね、身体が変化したりするのも数ヶ月単位だし、ごめん驚いて、俺たちも患者さんと半年くらい関わるから、確かにそうだね!
教えてくれてありがとうアリス!」
(思いのほかユウが前向きで良かった。知らない土地で何ヶ月もいるなんて、普通は耐えられない。)
「どうしたのアリス?俺は大丈夫だから。それにしても、アリスにも付き合わせちゃうのが申し訳ないかなぁ、暇でしょ?」
「大丈夫、、暇ならそれに越したこと無いんだけど……」
「その様子だと、忙しくなりそうだねぇ、、お互い頑張ろう」
アリスはうつむいていたが顔を上げてまた笑顔に戻る。
アリスの中でユウは少しずつ心の支えになりつつあった。
そのあたりは、ユウはミナミやタイガと困難を乗り越えた経験が、自然と活きているからだ。
「ありがとうユウ、うん!一緒に頑張ろうね!」
その日の就寝時間、ユウはいつものように考え事をしている。
(俺、そんなゴリゴリな体の変化は嫌だなあ。けど、、、俺の尊敬するボクサー……モンスターの異名をもつ、あんな風になりたいなあ、なれるなら、、、身長も俺より少し高いくらい、、もしなれるなら、、、ん?なんか気配が)
アリスが忍び込もうとしていることに、ユウは部屋に入る前にすでに察知していた。
(なんか、気配?かなあ?)
すると、アリスが忍び足でユウのスリープルームに入ってきた。
(、、、やっぱり、当たった!)
ユウは寝たふりをする。
「ユウ……もう寝たかな……」小さく呟いてアリスは去ろうとする。
「アリス、、、眠れない?」
ユウは目を閉じたまま声掛けする。
「?!、、あ!ごめん!おこしちゃった!」
アリスの表情は固かった。申し訳なさそうにユウを見る。
(なんか、凄く申し訳なさそうな顔してる?かも、見えんけど、なんとなく雰囲気というか、顔がぼんやりわかるような)
ユウは目を閉じたまま答えた。
「いや、全然大丈夫だよ。部屋に入る前から何となく気がついてたから」
「え、えええ、わたしの行動が読まれてる??」
「いや、そういうんじゃなくて、気配というか、ふと感じるというか、俺にもわからないんだ」
「そっか、、ごめんなさい、寝てるところだったね、、それじゃまた明日ね、、」
「アリス、、、!、、、何か用があったんじゃないの?俺は平気だから、何でも話して大丈夫だよ?」
アリスはモジモジしている。
「と、特に話は、、、無いんだけど、、」
ユウはピンと来た。
(ま、まさか添い寝してほしいのか?、、、まじか、、、だとしたら、女の子の口からそれを言わせたらあかん!ってタイガなら良いそうだなあ、、、)
ユウは先日のニューラの会話で、アリスが忙しくなりそうな雰囲気だったことを思い出した。
ユウは起き上がり、自然に口が開いていた。
「アリス、良かったらこっちくる?俺眠れなくて、話し相手になってくれると助かるなあ」
ユウは頭をぽりぽりかいて伝えた。
アリスの顔はパーっと明るくなり、飛び跳ねるようにユウの元へ駆け寄った。
ユウの横にちょこんと座り、仰向けになる。
「明日はついに惑星ニューラかあ、、、地球を出て初めての星、、、すごくワクワクするよ。」
「ユウは凄いね、、、」
「いやいや、アリスの方が偉いよ。こんなこと何年もやってるんでしょ?」
アリスは横向きになり、ユウの方を向く。
「じゃ、じゃあ、頭、、撫でてくれたりする?、、、この前みたいに」
アリスはモジモジしている。
(げ!あの時の、、起きてたのかーーーー!)
「わかった。、、、これでどうかな?」
アリスは愛らしい笑顔を見せる。
(可愛いすぎる、、、)
「あ、、そういえば、、ニューラって、、俺息できるの?」
「うん、多分できるよ。多分、、、今のユウ、多分地球人のベースから外れてるから、大丈夫だと思うけど、無理だったりしてー」
「げ、まじ?それ怖いなあ」
「もし危なかったら、わたしが応急救護するね!」
そう言ってアリスはユウの鼻を摘む。
医療従事者のユウには何のことかすぐわかり、顔を真っ赤にさせて慌てる。
「え!応急救護??」
「ん〜?まだ何も言ってないぞ〜?何を想像したのかな?」
ゆうはさらに赤面する。
「大丈夫!乗り込む前に、空気チェックするから」またアリスが意地悪そうに笑う。
「また俺をからかってー、、この」
ユウはアリスの方を向いて二本指でアリスの額に優しく触れる。
二人はしばらくそんなたわいもない話をして笑っていた。
気がつくとアリスはユウの手を握って丸まって寝ていた。
(アリス、、、こんなに握りしめて、、やっぱりアリスも不安だよな、、、ultimate見つかったのってそもそも初めてだし、これからのミッションって基本全て初めてだよな)
ユウはまたアリスの頭を寝落ちするまで撫で続けた。
◆
「あと10分で、惑星ニューラへ到着します。アリス、ユウ、準備は良いですか?」
「オッケー!」
ユウは気合いが入っている。
「ユウは気合い十分って感じね」
「そういうアリスも、初めて出会ったときと同じ雰囲気に見えるよ?やっぱり仕事モードなんだね」
「そうね。、、、ここからは気を引き締めないと。何が起こるかわからないから。
ユウのことは、わたしが絶対守るね。」
ユウはアリスの頭をポンと触る。
アリスは目をパチクリさせて驚く。
「ありがとうアリス!でも、そんなに気負わないでね、リラックスリラックス!」
(ミナミの研修のときも、はじめはこう言ってフォローしたっけ、、懐かしいな、もう随分前のことみたいだ。)
「お二人の呼吸標準は基準値をクリアしています。この星のどこでも出られるでしょう。
管制塔とも通信、許可は降りています。」
「よし、じゃあ、行こっか、ユウ」
アリスはユウの手を引く。
「う、うん、行こう!惑星ニューラへ!」
第十七話 完
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
次回から、物語は惑星ニューラへ。
ユウにとって大きな転換点が始まります。




