第十五話 蓋
第十五話です。
覚醒は怖い。
でも、それ以上にドキドキする出来事が待っていました。
お楽しみいただければ幸いです。
「惑星ニューラ?」
「そう。1stから、ultimate保持者をまずはニューラへ連れて行くこと、と通信があったの。そこでは1stとともに遺伝子の研究をしているラボがあって、"ultimateの蓋"を開けることが次のミッション。」
(ultimate、、、蓋、、?)
「つまり、、お菓子でわずかながら覚醒したように、ニューラでも覚醒を促す。ということかな。その専門ラボだから、初めに行くことになったんだと思う。」
「つまり、これからいろんな体の変化が待っているということだね?」
ユウの表情は固くなる。(俺は、、俺でいられるかなあ、覚醒ってどんなだろう)
ユウはエイリアンのような姿を想像し、顔色を失っていた。
ぷっ。
アリスは笑った。
「この話、ミナミにもしたんだけどねぇ、全く同じ反応してたよ。もしかして、映画のエイリアンみたいなの想像してた?」
「う、うん、俺、あんなのに変身するのかなって、、」
「心配しなくても大丈夫だよ!、、、多分」
(、、!? た、多分?)
「正直、ここからは未知の世界だから、わたしにもわからない、、ニューラには、ハンズ博士っていう、遺伝子研究の最高幹部がいるから、また説明してもらえると思う、、おそらく、またしばらく滞在することになる、、ユウのこと、多分色々知りたいと思うんだ。」
アリスの顔が曇る。
「まあ、研究者からすると、俺は良い研究対象、ということだね、、うん、それについては大丈夫。研究ということに関しては、俺も理解がある方だから、喜んで協力するつもり。俺も自分のこと知りたいから。それに、、、」
アリスは顔をあげ、ユウを見る。
「研究とか実験とか、タイガと嫌というほどやったからなあ!」
ユウはニカっと笑う。
(あ、、タイガみたい)
「うん、なんか、タイガとミナミ思い出しちゃった、、あの二人、上手くやってるかなあ」
「あの二人?ああ、多分大丈夫だと思うよ?
性格もそっくりだし」
ユウは笑いながら言う。
「さあ、そろそろ休もうか。」
「宇宙では時間がまるでわからないや、確かに疲れてきたかも、、」
二人はマスタールームへ行く。
ユウにもルーム内の一画が与えられた。
「す、すごい、さっきは見てなかったところだけど、まだこんなところがあったのか、、まるで近未来のスイートルームだ。」
「ハロ〜」
「うわ!!あ、アリス?!」
ユウは飛び上がり振り向く。アリスの部屋とは離れていると思っていた。
「ふふーん、実はねえ、離れているように見えて、隣なんだよ?わたしのスリープルームとユウのスリープルームは隣り合わせになってるの」
「そそそそ、そうなんだー」ユウはまた顔を赤くする。
「それじゃあ、ゆっくり休んでね、ニューラまではまだまだ長いから」
「うん、色々ありがとうアリス。おやすみ」
二人は別れてそれぞれで休むことになった。
ユウは自室を探索する。
(風呂、風呂はあるのかな?宇宙の概念で風呂って存在するのだろうか、、、あ!これか?なんか、風呂っぽいロゴがついてるぞ!)
ユウは勢い良く風呂のドアを開ける。
「っしゃあ!風呂だー!今日はゆっくり休んで、、、え?!」
そこにはアリスが居た。後ろ姿だが、もう風呂に入る直前だった。
「う、うわーー!アリス?!」
「きゃ〜、、、なんてね、、ごめん!わたしの部屋にもバスルームあるんだけど、ここはいわゆる地球で言うところの大浴場みたいな共有スペースなの。ごめんね言ってなくて!個人のバスルームはそこ曲がったところだと思うよ?」
アリスはまた意地悪そうに笑う。前はタオルで隠してあるが、裸を見られること自体には抵抗が無い様子だ。それもそのはず、アリスは異性との青春時代も無く、任務だけの生活をしていたため、こういうことには鈍感だ。
地球人の羞恥心はアリスにとっては過剰に感じるが、これも少しずつ変化してきている。
「ごごご、ごめん!じゃあ、俺はそっちで入るね!」
ユウは扉を勢いよく閉める。
なぜかこのマスタールームは原始的な構造が備わっている。おそらく、地球文化の名残り、懐かしむためだろう。
(な、なんだろう。。なんかドキドキした。もしかして、恥ずかしかったのかなあ、わたし。、、タイガが胸に飛び込んできた時は、何も思わなかったのに、、この気持ちはなんだろう。、、わたしも少しずつ影響されてるのかなあ)
◆
風呂も無事に?終えて、ユウはベッドに横になっていた。
(このベッド、なんか懐かしいなあ。月の居住区のはなんかこう、完璧すぎると言うか。俺はこっちの方がしっくりくるなあ。懐かしい感覚だ。)
ユウはしばらくあれこれ考え事をしていた。
かれこれ1時間は経った。なかなか眠れない様子。
「なんか、不安だなあ、、ほんとうにあんな化け物みたいなのにならないといいけど、、」
「大丈夫、、わたしがついてるから」
そう言ってアリスがユウの手を握る
「そうだよね、アリスがついてるから俺も安心、、、、って、ええええ!?なんでアリスが横に寝てるのーーー!?」
「ん?あのねえ、随分前から居たよ?忍び込んで驚かせようと思って横に寝たのに、ぜんっっぜん気が付かないんだから!」
そう言って横向きになりユウを見る。アリスの頬は膨れている。
(か、か、可愛いすぎるーーーーー!ミナミのとはまた違う可愛さだなあ)
「へっくしょいー!」
「ん?どうした風邪か?、、風邪引くなよってユウにも言われただろ?」
タイガはニヤついてミナミを見る。
「我ながら、こんな大きなくしゃみは初めて、、、おっさん化してるのかも!」
「勘弁してくれよ、その見た目で」
二人は爆笑する。
「わたしのこと噂してるのかな??だとしたら嬉しいな、、、ユウーーー!もっと噂して良いからねーーーー!」
ミナミは院内の庭園で空を見上げ両手を広げてて叫ぶ。
(く、、可愛い、、!ユウめ!負けてらんねえぜ!)
「っしゃ!ミナミちゃん!あともう一本!」
「ん?あれれ?もう限界だって言ってませんでした?」
「でぇじょうぶだ!!」
(恋も負けねーぞ!ユウ!)
◆
アリスはそのままユウの横で寝てしまった。
ユウの手を握りしめている。
恋人というより、安心して甘えているようにも見える。よく見ると、目から涙が滲んでいた。
(そうか、、、アリスは生まれてからエージェントになるための生活しかしてなかったんだ。
誰かとこうして、過ごしたことなかったんだろうか、、、俺は、、じいちゃんとばあちゃんがいたから、、、)
ユウの目頭が熱くなる。
ユウも横向きになり、アリスの頭を何度も撫でた。アリスのプロポーションはかなり良い、横にいたとわかった時はしばらくドキドキしていたが、アリスの生い立ちを思ったと同時に、自然と下心は消えていた。
(アリス、、俺でよかったら、、いつでも甘えて良いんだよ。)
ユウはぼそっと囁くのだった。
第十五話 完
読んでいただき、ありがとうございます。
ultimateの「蓋」は、まだほんの入口にすぎません。
そして、アリスの心にも少しずつ変化が生まれています。
次回もお付き合いいただけたら嬉しいです




