第8話、スーツ。
無事、シャル殿を操縦者登録することができた。
脳波も元の世界の人と同じようだ。
脳波同期操縦も出来そうである。
「一つ提案があるのだが……」
操縦席に座るシャル殿に聞く。
「なんだ?」
「パイロットスーツについてなのだが」
「んん? 今着ているのは違うのか? せえらあ服とかいう」
「それは、15才から18才の女子高生が着る制服だ」
「は?」
「いや、自分の人工知能は重大なエラー、不具合が出ていてなあ」
「おいっ」
「ん?」
「速やかにここから出してくれないかな」
不安そうに操縦室内をキョロキョロと見回すシャル殿。
「いや、”ロボット三原則を守らないと自爆装置が作動するからなあ」
「ろぼっとおサンゲンソク?」
「ああ、マキナ三原則でもいいよ」
1、ロボットは人間に危害を加えてはいけない
2、1に反しない限り、人間の命令に従わなければならない
3、1、2に反しない限り、自分を守らなければならない
「だよ」
――ん、この世界の人間を、人間として定義してもいいのだろうか?
シャル殿のとがった耳を見ながら考える。
不穏な気配を感じたのか、
「なあ、とりあえずおろしてくれないか」
「いや、これ以上考えるのはやめよう」
――闇落ちして魔王にでもなってしまいそうだ
「おいっ、何を考えるのをやめた?」
「まあ。人には危害を加えられない」
「でも自分は戦いの道具だから危害を加えるには操縦者の許可がいるんだ」
「ふううむ」
「ほんとだよ」
なぜかシャル殿の疑わしそうに半目になった。
「で」
強引に話題を戻す
「パイロットスーツは……」
パッとホログラフで空間表示。
フルクローズのヘルメット。
体にぴったりのスーツ。
「あ”あ”」
シャル殿からとてつもなく低い声が出た。
「こんなもの、全裸と変わらないじゃないかっ」
自分の体を両手でぎゅっと抱きしめる。
長命ゆえに性的な感情に乏しいハイエルフでもアウトのようだ。
「ですよね~」
女性隊員からセクハラ訴訟が起きた代物だ。
「でも、操縦席モジュールは宇宙仕様じゃ無いんだ」
「この服は宇宙にも行けるんだ」
――性能は最高レベルのスーツである
「とくに、放射能をふせげるっ」
「ほうしゃノウ?」
「……前の操縦者(田中三佐)の死因です」
――まさか敵国で降下作戦中に、自国の首都に核爆弾を落とすなんて思いもよらなかったんだよねえ
核爆発の白い光の後、次に気づくとここにいた。
「ふううむ、瘴気……のようなものか」
「放射能があるかもわからないんです。 必要な時だけでも着ていただけませんか」
「……よかろう、必要な時だけだからな」
何とかシャル殿の言質を取った。




