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九十六式歩行空挺戦車、ハイエルフと旅をする。  作者: トウフキヌゴシ


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第6話、徴兵令状。

 木の上に家が作られている。

 シャル殿の家だ。

 ちょうど身長7メートルある自分の胸のあたりに床があった。

 メインモニターの前にシャル殿が立っている。


「シャル殿が自分の操縦者になるのか?」

「ん? ああ、落ち物は発見者に所有権があるからな」

「それとも、ほかに所有者がいるのか?」

 ――田中三佐はもういない、日本軍がこの世界にあるだろうか

「いやいない、……わかった、が、一応これだけはさせてくれ」

 手のひらを上に向け五指を立てる。

「超高性能3Dプリンター起動」

 五本の指の先から光の線が真ん中に集まる。

 ジジ・ジジジジ

 上から下に光がせわしなく動き、一枚の赤い紙を作り出した。

「日本軍の臨時徴兵令状アカガミだ」

「サインしてくれ」

「ほほう、サインするとどうなる」

「日本軍の兵になる」

「ふうん」

 シャル殿が少し面白そうだ。

「この世界に日本軍があるとは思えないが念のためだ」

「マキナか、よかろう」

 サラサラと名前をサインした。

「歩行戦車に乗れるのは尉官以上だが……」

「せめて操縦訓練は受けてほしい」

「私に九六の操り方はわからん、当然だな」

「では、明日から最初の広場でブートキャンプだ」



 大体運動場くらいの広さのある、見極めの広場。

 その真ん中に片膝をついて座る。

「本来なら操縦方法は、睡眠学習で脳に直接《《焼き付ける》》のだが……」

「こちらの人間、しかもハイエルフにそれをやると何が起こるかわからないな」

 ――魔力を持ったハイエルフだ、廃人になるかもしれない

「直接訓練を受けてくれ」

「よかろう」

 シャル殿が答えた。

 その目の前に、

 胸部の前にある回転式のモニターユニットから光が出た。

 身長160センチくらいの女性のホログラフである。

 豊かな胸部装甲。

 スラックス姿の上官の制服。

 短い木の短鞭を小脇に挟む。

「気をつけえっ」

「ハートウーマン軍曹であるっ」

「これからお前が言えるのは、イエスマムだけだっ」

「返事はっ」

「イエスマム」

「声が小さいっ」

「イエスッマアムッ」

「私は人もエルフもゴブリンもオーガーも差別しないっ」

「なぜなら等しく価値がないからだっ」

「今お前は一匹のマゲッツ(ウジ虫)にすぎん」

「だがっ、このブートキャンプで少しは使えるマゲッツ(ウジ虫)にしてやろう」

「わかったなっ」

「イエスッマアムッ」

 新兵訓練用のブートキャンプが始まった。


「なんだ、何が始まった」

「何をしているんだ」

 ホログラフを見て

「光の精霊か?」

 ほかのハイエルフたちが集まってきたのである。




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