第26話、デザートデビルレイ。
巨兵が船体の横につけられていたスコップを取った。
船首と船尾、右舷側は砂に埋まっている。
「掘り出してください」
「分かった~」
ザックザック
と砂を掘り出した。
しばらくすると船体から砂を取り除くことができた。
船体は右側に傾いている。
「船体を起こすぞ、みんな左舷によってくれ」
格納庫にある伝声管から聞こえてきた。
商船長であるチャールズの声だ。
自分と装甲巨兵が左による。
「マナバッテリー起動」
商船長が伝声管に言った。
『マナバッテリー起動』
機関室から返事が返ってくる。
「流動術式、励起」
「船体の動きに備えよ」
『流動術式、励起』
マナバッテリーからマナが術式に供給される。
ザザザザ
船体に複雑な術式が浮かび上がる。
流体術式が砂を流体に変える。
ザザアアン
傾いていた船体が振り子のように左右に揺れる。
重心を合わせるため、揺れに合わせて、自分と巨兵が移動した。
しばらく揺れた後、船は安定した。
「むっ」
自分はニンジャアアアをコンセプトに設計されている。
暗闇の中活動するため振動や音を感知するセンサーを装備している。
振動センサーに感あり。
「商船長殿、あちらから大きなものが近づいてくるようだが」
「数は三」
レンズを最大望遠。
「巨大なエイ?」
自分と同じくらいの。
「巨大なエイ……だと」
「総員戦闘準備っ」
商船長殿が叫びながら前の平形艦橋に走りこむ。
「多分、デザートデビルレイですっ、サメの口を持った砂漠を泳ぐエイですっ」
巨兵の操縦席を閉めながら十代半ばの少年が言った。
船体の部材に取っ手をつけた盾と整備用の巨兵用ハンマーを手に取る。
「シャル殿っ」
パシュン
「ん」
操縦席を開くとシャル殿が飛び乗ってきた。
「ガウッ」
「ワンチャワンチャ」
「モフモフ~」
ロボが両肩にのせた男の子と女の子を母親に渡す。
母親は急いで船内の中へ、金属の扉を閉じた。
「暗車起動っ」
「両舷全速っ」
後方の砂がスクリューの回転で波立つ。
「帆を展開っ」
大小二本のマストが起き上がる。
起き上がりながら横のマストが百八十度横に。
小さなマストが上に上がる。
上下二本の横のマストの間に帆が張られた。
まるでロールカーテンのようである。
だが、やっと船が加速し始めた時には巨大なエイは真後ろまで来ていた。
「飛びついてきますっ」
サメの歯を持ったエイの一匹が口を大きく開けて飛びついてくる。
ひれの端には天然の流動術式が光る。
「このお」
ガツン
巨兵が左に飛びついてきたエイの顔を横向きにハンマーで殴った。
シャキン
「ふっ」
黒曜石のブレードの一閃。
シャル殿が自分を操り、飛びついてきたエイの顔の半分を気合とともに切り飛ばす。
ドオン
「ガウッ」
真後ろから飛びついてきたエイはロボの半透明なフェンリルの前足のふりおろしで砂漠にたたきつけられた。
二匹のエイは、切り飛ばされた仲間を競うように襲う。
一瞬でバラバラにされた。
その間に船はデザートデビルレイから逃げることができた。




