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異界見聞録。九十六式歩行空挺戦車、ハイエルフ、フェンリルと異世界を旅する。  作者: トウフキヌゴシ


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25/26

第25話、装甲巨兵。

「船の上から砂をのけるのを手伝ってくれ」

 砂嵐の飛ばされそうになって必死にしがみついたのは、砂の上を走る砂上船だった。

 砂漠の砂色の船体は、少し右に傾き砂に埋もれている。

 船内からわらわらと乗組員が出てきてスコップやほうきで船の上の砂をのけ始めた。

 家族なのだろう、上は五十代の女性から下は三歳くらいの男の子だ。

「魔獣が来る前に移動するぞ」

「シャル殿」

「わかってる」

 折り畳み式の軍用スコップを取り出した。

「なあに、塹壕堀で鍛えたスコップさばき、とくとご覧あれ」

 シャル殿がすごい勢いで砂を掘り始めた。

「ガウ」

 ロボも手伝い始める。


 ギリギリギリ

 ガコン


 甲板の前の扉が上に開いた。

 格納庫だろうか、足をこちらに横たわった金属の巨人が見える。

「装甲巨兵を出すぞ」

「装甲巨兵……か」

 ――初めて見た

 台座の下には二列のくぼんだレール。

 そのレールの上を人に押されて甲板に出される。

「カール、巨兵で砂をのけろ」

 商船長の、”チャールズ”と名のった男性が十代半ばの少年に声をかけた。

「わかった」

 台座から固定していたロープを解きながら言う。



 ギリイ


 装甲巨兵の胸の装甲部分を上に開いた。

 中はレバーやこまごまとしたスイッチが見える。

 上向きの椅子にもぐりこむように座る。

「マナジェネレーター起動」

 スイッチを入れる。


 ブオン


 背中の一部から青い光りがもれた。

「起こすよ」

 操縦席に座った少年がレフットレバーを踏んだ。

 半思考同期型の巨兵は起き上がる動作を操縦者の思考と同期する……らしい。

 ハッチが開いたままの操縦席がよく見えた。

 少し傾いた甲板に立ちあがる。 

 自分(七メートルくらい)より少し高い身長。

 全体的に四角く厳つい。

 フレームや動力部がむき出しになっているところもあった。

「こりゃあ、建設機械や重機だなあ」

「え~と、きゅじゅうろくしきくうてナンチャラさん」

「九六でいいよ」

「きゅろくさん、船体の砂をのけるので手伝ってください」

 操縦席の少年が言った。

「いいよ~」

 親指をあげてOKサイン。

 巨兵が船体の横に括り付けられていたスコップをとった。

 自分は折り畳み式の軍用スコップ(歩兵戦車用)を取り出し、砂をのけはじめる。


「キャッキャッ、キャッキャッ」

 小さなスコップを持った女の子と男の子だ。

「キャ~~~」

 傾いた甲板を滑り始めた。

「ガウッ」

 ロボが素早くしっぽで二人を止める。

「ワンチャ、ワンチャ」

「モフモフ~~~」 

 ロボの尻尾にしがみついた二人がはしゃいだ声を出した。

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