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異界見聞録。九十六式歩行空挺戦車、ハイエルフ、フェンリルと異世界を旅する。  作者: トウフキヌゴシ


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24/25

第24話、合流。

 傾いた平形艦橋ブリッジ

「砂嵐がさったな、キャリー」

 転舵輪の前で、三十代前半くらいの男性が言った。

「ええ、チャールズ」

 隣にいる同い年くらいの女性が答えた。 

 チャールズは、ワイルダーキャラバンの商会キャラバン長である。

 キャリーはその嫁だ。

「カール、すぐに船の上の砂をのけるぞ」

「分かったよ、父さん」

「商船長だっ」

 カールが艦橋の後ろに移動する。

 カールは、装甲巨兵の格納庫に移動した。

 ハンドルを回して金属の扉を開くと、頭をこちらに向け横たわった金属の巨人。

 ちなみに、半思考同期型の装甲巨兵だから、通称で、”ジャケット”と呼ばれるものである。

 船は約三十度くらい右に傾いている。

 その間に、チャールズは艦橋の横の扉から、左に飛び出たウイングデッキに出た。

 船の三分の二くらいは砂に埋もれていた。

「あっ」

 後部甲板の上に走る折りたたまれたマスト。

 マストに人型の巨人がしがみついていた。

「……見かけねえ、装甲巨兵だな」

 砂をよけながら甲板の後ろに。

 群青色の機体。

「赤い丸のマーク……落ちチートか?」

 

 シュシュン


「むっ」

 かすかな駆動音とともに、本体に収納されていた首が伸びこちらを見た。

「なにものだっ」

「◆▽※×……」

 どことなく無機質な男性の声。

「あれは、西方の大陸語だ」

「ガウ」 

 きれいな女性の声だ。

 外部スピーカーから聞こえてきたのである。

「とりあえず、降りてくれるか」

 チャールズが声をかけた。

「わかった」

 女性の声が答える。


 パシュン


 群青色の巨兵の操縦席が前に出た後、下に下がる。

「エルフだ」

 身長170センチくらい。

 金髪の恐ろしいくらい美人な女性だ。

「獣人もいるぞ」

 身長180センチくらいのがっしりした体形。

 銀色の犬耳に尻尾。

 後部のハッチを開けて、実の弟であるネルソンが出てきた。 

「……はじめまして、ワイルダーキャラバンの商会長のチャールズだ」

「ふむん、ガンドーラ台地から来た、”シャルルシャ⤴ラファンシャル⤵シャラ⤴シャルラ”だ」

「ロボ」

「〇◆……▽九十六式空挺歩兵戦車のAI、”學天則がくてんそくVer・525”だ」        

 西方大陸語の翻訳に成功。

「???」 

「ガンドーラ台地って、”死と絶望の砂漠”の向こうにあるという理想郷エルドラドか」

「”冥府の砂海”のむこうにあるという?」

「世界樹があるのだろう?」

「そうだ、……”生きては帰さない砂漠”……ではないのか?」

 エルフの女性が聞いた。

「ふむ、また古い呼び名だなあ」

「おやじっ」

 振り向くと五十代前半の男性が立っていた。

 チャールズとネルソンの父のアイクだ。

「曾祖父の時代にそう呼ばれていたよ」

「いや……」

 エルフ女性が本を持ってきた。

「下界見聞録か、見せてもらっても?」

 チャールズが本を無言で出してくるのを受け取る。

「また古いな。約百年前のだ」

「ビブリオマニアに高価で売れるな」

 ネルソンが横から覗いてくる。

「しかも、ルーン文字か……お嬢さん、ほんとに台地の上から来たんだな」

 アイクが言う。

「ちなみに、”下界見聞録”は五十年くらい毎に一冊改訂版が出ているぞ」

「な、なんと、この本にあこがれて旅に出たのだ」

 驚くエルフ女性。

「ふむ、砂漠の上では助け合いが大事だ」

「一緒に行くかい?」

「わかった」

「ガウ」

「いいんじゃないか」

 ガンドーラ台地から来たという不思議な三人組と合流したのである。


 


 

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