第23話、砂嵐。
オアシス都市、”ロウラン”の水源を止めていた巨大シオマネキを倒した一人と一台と一頭。
オアシスに水が帰ってきた。
「水のタンクの残りが半分を切ってたから助かるよ」
オアシスから水を補給する。
食料が必要なのはシャル殿のみ。
しかもマ力が高いから少食だ。
ロボはマ法生物なので食料は無理に食べなくても大丈夫。
どうやら、世界樹の枝から直接マ力を吸収しているようだ。
食料はまだまだ余裕がある。
水がわきだして三日。
自分(歩行空挺戦車、全高七メートルくらい)の膝くらいまで水が出ていた。
その水の中をシャル殿が優雅に泳ぐ。
ちょうどよい大きさの胸部装甲。
三十年ブートキャンプで鍛え上げられたわりには、しなやかで女性特有の丸みを帯びたプロポーション。
黒くて飾り気のない水着が濡れた金髪に恐ろしく似合う。
胸には、白い布に、”しゃる”と書かれていた。
「……でこの格好はなんだ……?」
「スクミズ……スクール水着です」
「むうっ、何か不穏な響きだな」
「いえいえ、学校の水泳の授業で女子児童が使う正式なものですよっ」
「……そうか」
その後ろを人型のロボが、越中ふんどしで泳いでいった。
「出発しようか」
「ああ」
「ガウ」
自分とロボが砂漠を歩きだした。
世界樹は世界の中心にある(はずだ)。
世界樹から離れていけば、この、”生きては帰さない砂漠”を抜けられるはずである。
三日ほど進んだ。
「ん、前方に異状あり」
黒いもやが広い範囲に広がっている。
上のほうで横に稲光が走った。
「なんだあれは」
メインカメラを最大望遠。
シャル殿の前にある情報モニターに映像が映る。
荒れ狂う砂と風。
「砂嵐だな、大きいっ」
「すごい風だっ」
シャル殿が大声で言った。
「ロボッ、人型で自分の中に」
「ガウッ」
操縦席を複座にしてロボを後席に。
それから、あっという間に砂嵐の中に入った。
「うわああ」
海砂ほどではないが膝まで砂に埋まる。
ゴオオオオオウ
「ま、まずい」
自分は空挺戦車だ。
可能な限り軽量に作られている。
「ど、どうした」
「ガウッ」
「と、飛ばされるう」
強烈な風にふわりと浮かされた後、ゴロンゴロンと転がされながらと飛ばされた。
柔道の受け身を連続で行うような感じでまわる。
「うわああああ」
「ガウウウウウ」
グルングルンと回る操縦席。
立とうとしても足が砂にとられて立てない、
ガゴオオン
何か固いものにぶつかった。
ミシイイ
そして、太い棒のようなものにとっさにしがみついたのである。




