第2話、ハイエルフ。
「さてと……ここはどこだ?」
シュシュン、シュシュン
かすかなモーター音とともに森を進む。
空には赤と青の二つの月。
森の木々も地球のものと明らかに違う。
「ん……?」
ジイイ
カメラのズーム音。
遠くの空に、
トカゲの体
蝙蝠のような翼
「飛んでるのか、ドラゴン……」
所有データの中で一番近いものの名前だ。
大きさは50メートル強。
「見つからないのが賢明だろうな」
そうこうしているうちに水場についた。
さて、自分の動力源の説明をしておこう。
動力源は二つ。
太陽光発電システムと水・酸素・水素分離型発電システムである。
ナノマシン技術と組み合わされたシステムは、地球上どこでもほぼ無補給で機動が可能である。
水場を探していた理由だ。
さて、大きめの泉のような場所についた。
澄み切った水がこんこんと沸いており、川の流れにつながっている。
チャプリ
「ん?」
給水ローブをまだ伸ばしていないのだが?
水の上に波紋が伝わる。
木と木の間からぬっと顔を出した形の自分。
対岸には、白い素肌に金髪の《《恐ろしく美しい》》女性。
水浴び中なのだろう。
白い素肌に引っ付く金髪が黄金の川のよう。
目があった。
ゆっくりとちょうどよい大きさの双丘を腕で隠す。
「耳がとがって……」
ムウウウウウ
女性の声だ。
「〇▽□×××ッ」
続いて何かを叫ぶ。
ゴオオオオ
泉の水が渦巻き、
ドオオオオン
大蛇の形になってぶつかってきた。
ザザアア
両腕を前に流されないように踏ん張る。
全身についていた苔が流されて群青色の機体がむき出しになった。
機体につけられた赤い丸。
「!、forsan machina ………」
早口で話す女性。
「ふむん」
自分は言語を分析し始めた。
スーパーコンピューターの軽く十倍の性能を誇るのだ。
「ほうほう」
「qe……なぜわれらが聖域に他国の装甲巨兵がっ」
「しかも、あの赤い丸は、”落ち人”のマークではないかっ」
「〇▽□……~ととりあえず背中を向けるので服を着てください」
翻訳完了。
「!? 何故ハイエルフ語をっ」
ハイエルフが使う秘密の言葉だ。
「…………やはりエルフかあ」
シュシュン
自分は驚かせないようにゆっくりと背中を向けた。
がさごそと衣擦れの音。
「服を着た、こちらを向いてもよい」
「はい」
ゆっくりと振り返りひざまづく。
ゆったりとしたトーガのような服を着たエルフの女性。
とがった耳が目立つ。
「失礼であろう、降りてこんのかっ」
再び水面が沸き立つ。
操縦者が話していると思っているのだろう。
「え、いえいえいえ」
「……自分は、”九十六式歩行空挺戦車”に搭載された人工知能です」
――正確に言うと學天則システムVer・525タイプだ
「人工知能? 思考結晶のことか?」
「あ~と、見てもらったほうが早い」
パシュン
操縦席が前に出て下にスライドする。
当然無人だ。
「!?、うーむ、ほほう……」
「現在、操縦者を募集中だよ」
「ふうむ」
「閉めていいかな?」
一番敏感な部分をさらけ出しているような気分。
「少し恥ずかしいだろう」
「ふ、はははは、そうか恥ずかしいか?」
「うむうむ、そなた、落ちものでもあるのだな」
落ちものとは、異世界からくるOパーツ的な存在だ。
チートともいう。
パシュン
操縦席を閉じた。
「とりあえず長のところに来てもらおうか」
「わかった」
泉から出ている川沿いにしばらく歩いた




