第19話、デザートワーム。
異世界から落ちてきた宇宙戦艦、”文福茶釜”を探索中のハイエルフのシャル殿とフェンリルのロボ。
自分はブレスレットコマンダーで支援をしている。
艦内の四階に上がった。
ここからはマップがない。
カーン
ブレスレットコマンダーから、簡易の調査音を出した。
「大体、3ブロック先までしかわからないからね」
二つ先の曲がり角というところか。
「分かった」
二人は、腰を下げ、光が入らない艦内を警戒しながら進む。
暗視ゴーグルが頼りだ。
人が二人並んで歩けるくらいの幅の通路をしばらく進んだ。
ヴヴヴ
「むっ、動体反応っ」
ブレスレットコマンダーが振動で知らせてくる。
「近いっ、どこだっ」
ガアン
前と後ろの天井にあるエアダクトのふたが落ちた。
キシャアア
細長いものが落ちてくる。
「デザートワームだっ」
ミミズ型の魔獣で三メートルくらい。
幼体だ。
成体は、軽く百メートルを超える。
「前に三、後ろに一」
「了解だ、ご主人」
シャル殿が後ろに振り向き、
シュシュシュ
サイレンサー付きのP90を三点バーストで発砲。
チュチュチュン
表面はゴムタイヤのような質感。
5.7×28mm弾を跳弾させた。
ニチャリ
頭が三方に分かれ、牙がたくさん並んだ口を見せる。
「むむっ、次はただの弾じゃないぞお」
『EZAK』(エゼアク)
シャル殿が精霊語をつぶやく。
P90のサイレンサーの前に、風の精霊文字が光る。
パシュシュシュ
すぐにデザートワームが口を閉じる。
しかし、風の塊を通った弾丸がドリルのようにデザートワームの体を穿った。
風の精霊で極限まで貫通力を上げた銃撃である。
体の前から後ろまでほぼ貫通していた。
キエエエエエエ
デザートワームが断末魔の叫びをあげた。
シャル殿が一体デザートワームを倒している間。
ロボの腕に、顔を三つに開いたデザートワームがかみついた。
人型でもフェンリルである。
服は破れたがかまれた腕に傷一つない。
ロボは片手のハンドガン、”デザートイーグル”を相手の首元にあて、
バガンッ
引き金を引いた。
44マグナム弾が50センチくらいの太さの首を丸く断ち切る。
無造作に腕を振り、かみついたままのちぎれたデザートワームの首を飛ばす。
「ガウッ」
そのまま五指を広げ前に振り下ろした。
ギャリリイイン
少し透けた(本来の)フェンリルの腕が天井に爪痕を残しながら前に走る。
ブチイッ
床をへこませながら二体のデザートワームをたたきつぶした。
三十年近く訓練したハイエルフと神獣フェンリル。
「ひゅ~~、鎧袖一触とはこのことだねえ」
並みの敵では相手にならないのであった。




