第18話、探索。
今自分たちは,”海砂”の巨大な渦の真ん中にいる。
渦の真ん中にある異世界から落ちてきた宇宙戦艦、文福茶釜の甲板の上にいるのだ。
だが自分のデータにある戦艦とはかなり違う。
自分がいた世界よりも未来のものかもしれない。
「というわけで、この船を調べてくれないか? もしかしたらデータが残ってるかもしれないんだ」
シャル殿に頼んだ。
「異世界のか?」
「そう」
よく見ると、後部が内側からはじけたような感じで壊れている。
「壊れた原因もわかるかもしれない」
「ふむん、よかろう、何か落ち物があるかも知れないしな」
「探索は、昼から夜にかわる二時間、この間なら活動できるはずだ」
暑すぎず寒すぎずといったところ。
「レースクイーンの格好で……」
というのはさすがに怒られるので、シャル殿が着替える。
◆
全身都市迷彩。
アーミーブーツにバトルパンツ。
アーモジャケットに暗視ゴーグル付きのヘルメット。
”P90サブマシンガン”
”SIG SAUER P220”ハンドガンを脇のホルスターに。
コンバットナイフを柄を下に肩の前につるす。
◆
現代戦のフル装備だ。
同じように人型のロボも迷彩服に着替える。
爪で鋼鉄を割くことができるロボは、巨大なハンドガン、デザートイーグルを装備した。
「とりあえず、艦橋を目指してくれ。シャル殿がつけている、ブレスレットコマンダーで通信が可能だ」
コオオオン
甲板に手をついて非破壊検査用のソナーピンを撃つ。
戦艦の壁に振動が走る。
音の反響によってある程度の内部の構造が分かった。
「空間表示するよ」
シャル殿の腕につけたブレスレットコマンダーから光の板が出た。
艦の見下ろし図が映っていた。
「とりあえず三階まではわかった」
それ以上は振動が拡散する。
「了解だ」
「わかった」
甲板の先、斜めに傾いた鋼鉄の扉。
ロボが先に体をねじりこむように入った。
続いてシャル殿がするりと入る。
「ブレスレットコマンダーである程度見えるから、気をつけて行ってくれ」
二人の姿が見えなくなった。
「さてと……そのあいだに」
背中からパラシュートに包んでいた黒曜石をとりだした。
恐ろしい切れ味のこれで、剣やナイフを作るつもりである。
イイイイイ
高周波ノイズとともに、人差し指にメーサーカッターを発生させた。
◆
「暗いな」
「はい、ご主人」
ちらりと振り向いたロボの瞳が金色に輝く。
狼は夜行性だ。
かちゃりとヘルメットの上から暗視ゴーグルを下した。
三十年ブートキャンプをしていただけあり、腰を落とし周囲の警戒を怠らない。
明るいマップは周りが見えなくなるので一旦消した。
「動体レーダーを作動させるね」
ブレスレットコマンダーから自分の声がした。
ヴ、ヴ、ヴと小さな振動で知らせるものだ。
近くに動くものがいるとヴヴヴと早く振動する。
「あっちだ」
シャル殿は厳しい訓練で、一瞬で周りのマップを覚えている。
「了解」
フロントは、や目と鼻のきくロボである。
片手に大きななハンドガンであるデザートイーグル。
野生の獣を思わせる警戒した姿勢だ。
シャル殿は、腰を低く時おりP90を油断なく後ろにも向けながら進む。
艦橋は上層階だ。
一階から三階まで特に何もなく、四階につながる階段の前についた。
部屋に白骨化した遺体があったりしたが。
「ここからはマップが無い、さらに警戒していくぞ」
「ご主人、了解だ」
「うむ」
四階に上がる階段に足をかけた。




