第16話、月の砂漠。
砂漠。
書いて字のとおり砂、そして水がないという意味だ。
水に含まれるマナはそれほど多くないが、海も含めて大量にある。
まさに水は命の源なのだ。
「ふう、生きて帰さない砂漠か」
ガンドーラ台地から飛びおりて見渡す限りの砂の前にいる。
後ろには黒々とした黒曜石の針の山。
かなり遠くに黒い柱が空を二つに分けて立っていた。
「あの上から飛び降りたのだねえ」
「ああ」
「今は日中、外気温は……」
「……50度、うん自分のボディーで目玉焼きが焼けるねえ」
「ご主人」
「とりあえず、夜になるまで中にいようか」
自分の操縦席は空調がきいている。
シャル殿とロボが操縦席に座っていた。
「ちょっとはましか」
黒曜石に切られたパラシュートを自分の体にかけて影を作った。
「背中のソーラーパネルを展開」
モニターの後ろに平たいソーラーパネルが展開されるのが見える。
自分の動力源は水と光。
「水はシャル殿に置いておかないとね」
シャベル(←自分《戦車》サイズの)を取り出して、地面に穴を掘りその中に横たわり、影を増やした。
背中で、黒曜石の玉虫色の金属光沢がキラキラと光りを反射させ日がかげる。
夕方になった。
――朝方と夕方に何とか車外に出れそうだ
「ん~~、一日狭い操縦席にいると疲れるな」
「そうですね、ご主人」
シャル殿とロボが大きく伸びをした。
シャル殿が簡単な食事をした。
フェンリルであるロボは上位マ法生物。
食べる必要があるのは彼女だけである。
大体二時間くらいで急激に温度が下がる。
今度は氷点下だ。
「夜に移動するのがまだましかな」
昔のキャラバンも月明かりの下で移動していたみたいだし。
「ご主人」
光とともにロボが本来の姿に戻る。
毛皮があるので寒いのは大丈夫のようだ。
「で、どっちにいく?」
「うん……あっちだな」
シャル殿が指さした。
「下界見聞録では、あっちの方向にオアシス都市があるみたいだ」
青い月。
砂の山。
そこを歩く人と狼の黒いシルエット。
「月の~砂漠を~」
自分が歌いだした。
「異世界の歌か?」
「ガウ?」
「そうだよ」
歌いながらしばらく歩くと、
ズルッ
足を取られた。
足元の砂が動いている。
「これは、……流砂だ」
もうすでに膝まで埋まっている。
「どうする?」
――ジャンプするにしてもどこまで飛ぶ必要がある?
「ガウ」
ロボが自分の背中に向けて首を振る。
「背中に乗れというのか」
よく見るとロボは砂に埋まっていない。
「これは、地面から足が少し浮いている」
「ガウッ」
「そうか、この世界のフェンリルは、ドラ〇もん方式なのか」
フェンリルと丸くて青い猫型ロボットのイメージが重なる。
「うう、これ以上考えるのはやめよう」
フェンリルの背中にまたがり流砂を進む。




