第14話、ガンドーラ台地。
~序章~
古代王国、”ガンドーラ”。
世界樹の木の根元、その恵みを受けおおいに繁栄した千年王国。
その手は空の上から海の底にまでおよんだ。
ある時おごり高ぶった王国民が世界樹を切り倒し、星の海にまで手を伸ばそうとした。
怒った世界樹は、聖獣や魔獣、聖龍や魔龍を創り出し、王国は一夜にして滅んだという。
その後、世界樹の周りは空高く盛り上がり、”ガンドーラ台地”となった。
『下界見聞録、マルコポ・ロー著』より
◆
シャル殿が分厚い本をめくって見せた。
「ここが、ガンドーラ台地だ」
「ふむん、……高度計が常に一万メートルを指している理由かあ」
――エベレストより高いな、大体飛行機が飛ぶ高度か
「そう、そして台地の岩肌は垂直で崩れやすく主に黒曜石で出来ている」
「黒曜石は昔はがしてナイフにしてたものだな」
「西の廃墟はガンドーラの元王宮だ」
「龍の住処か」
「そう」
「この本にあこがれて下界を見たくなったんだ」
分厚い本を手でそっとなでる。
「ふむん、一万メートルからの降下か」
「降りれるか?」
――九六は高いところから落ちることができると聞いた
「まあ、何とかなるよ」
本をめくる。
「で、降りた先には広大な砂漠がひろがっている」
「”生かして帰さない砂漠”だ」
「徹底的に人を拒んでるんだなあ、世界樹は」
「まあな」
砂漠を超えるための準備に一年かかった。
背中には大容量のバックパック。
冷凍冷蔵機能付きで中には大量の食糧が入っている。
腰の後ろには、断面が丸みを帯びたおにぎり状の大容量貯水タンク。
ほかに、テントやサバイバルの道具をのせた。
そして、降下用のパラシュート。
超高性能3Dプリンターが大活躍だ。
「さて、乗り込もうか」
操縦席は、後ろに奥行きがあり、シートがフラットになり緊急の手術台になる。
さらに奥行きにある、セカンドシートを起こすと複座になった。
「ロボ、飛び降りられる?」
びゅううう
と風が吹く崖っぷち。
高度一万メートルだ。
下がかすんで見えない。
「キャ、キャイン」
というわけで、人型になったロボが後席に座る。
何度かハートウーマン軍曹に食べられそうになったが耐えている。
「では行ってきます」
シャル殿が前席に座った。
パシュン
操縦席が上に上がり後ろに後退して閉まる。
「気をつけて行って来いよ~」
里長も含めてエルフの里の見送りだ。
「ふむ、鍛錬を怠らないように」
ハートウーマン軍曹が脇に短鞭を挟んで言う。
「では、押すなよ、押すなよ」
と言っても押してくれる人はおらず、
「レッツ、バンジ~~~」
自分は崖の外へ身を投げ出した。




