第11話、卒業試験。
ブートキャンプをはじめて早三十年。
最近、やっと下界に降りるという本来の目的を思い出したシャル殿。
ブートキャンプの卒業試験として、ガーディアンゴーレム二体との模擬戦が行われるのだ。
「それでは、”シャルルシャ⤴ラファンシャル⤵シャラ⤴シャルラ”の卒業試験を行いたいと思う」
ハートウーマン軍曹が大きな声で言った。
万物の根源であるマナ。
世界樹が発生させる強力なマナを三十年間浴び続けたことにより、ハートウーマン軍曹は、”光の精霊”になっていた。
元々は新兵訓練プログラム用のホログラフなのだが。
「おおおお」
「ついにか」
「どっちが勝つと思う」
「ガーディアンゴーレムの操縦者も同じキャンプに参加しているしなっ」
見極めの広場の上の廊下で見物しているハイエルフたちだ。
シャル殿が周りに手を振りながら操縦席に飛び乗る。
パシュン
操縦席を収納。
シュシュン
自分は片膝の状態から立ち上がった。
少し身長の低い二体のガーディアンゴーレムが前に並ぶ。
白い木製で所々に蔦や枝を意匠したミスリル銀製の螺鈿細工。
ゆっくりとレイピアを抜いた。
「それではっ、礼っ」
自分は体を腰から前に倒す礼を、ガーディアンゴーレムはレイピアを体の前にかかげた。
シャル殿は利き手の左手を半身に下げ、両こぶしを体の前に構える。
宙軍中野学校式、近接格闘術の基本的な構えだ。
レイピアを前に構えた二体のガーディアンゴーレムが左右にジワリと距離を取った。
会場は音も出さずに三体の動きを見守る。
「ゴクリ」
観客の一人が固唾をのんだ
先に動いたのはガーディアンゴーレムの一人。
飛び込みながらの突き。
チイン、チャリイン
右腕の外部装甲で受ける。
人の腕で剣先を受けると大怪我だが自分の腕は機械だ。
操縦席のシャル殿に剣先が届かなければそれでいい。
腕が使えなくなって戦闘力が落ちるのが難点だ。
装甲の厚いところで受けているし、利き腕でない右でガードをしているからシャル殿もわかっているようだ。
チャリイイン
剣先を外に弾いた。
「今っ、宙軍中野学校式・近接格闘術、”飛びつき腕ひしぎ十時固めっ”」
弾いた腕をつかみ、飛びつきながら、両太ももで挟み地面に押し倒す。
レイピアが手から離れて飛んで行った。
シュッ
という音とともにもう一体がレイピアでついてくる。
すぐに転がるように起き上がり突きを回避。
「一気に行くわっ」
ドンッ「崩拳。」
ダンッ「鷂子穿林。」(←鉄山靠のこと)
ドンッ「双掌。」
「宙軍中野学校式・近接格闘術、”崩撃雲身双虎掌”っ」
別名、ア〇ラスペシャルだ。
判定は投げ技らしい。
もう一体のガーディアンゴーレムが強烈な三連撃を受け吹き飛んでいった。
当然、シャル殿は生身でこれらの技を使えるぞ。
「勝負ありっ」
ハートウーマン軍曹が大きな声で言った。
「わああああ」
しばらくの間、会場は大きな歓声に包まれたのである。




