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第83章「夕陽の英雄(伝説の始まり……)」

タイムトラベラーズ編と同じ規模のストーリーの始まりです……

『777年7月17日、光在るところ、常に闇在りと言うべきか……私はこの世の地獄を経験する。なぜだ……なぜこの時代にあのような怪物が産まれたのだ……?多くの民の命を奪う、その怪物の名はダークネスジャイアント……ダメだ!奴は強すぎる……!誰も奴を止められない……!!』

『777年7月18日、私は今度は奇跡を目の当たりにする。誰もが絶望的な状況にあきらめかけた時、天空より現れたのだ……夕陽ように輝く英雄が……その姿は神秘的だった……全身に纏わせた夕陽の光のような緋色のオーラ……そして黄金に輝く長い髪と太陽の翼は何よりも美しかった……英雄は立ち向かう。闇の巨人に……』


3月7日の午後13時。ケイとシルファは周りに内緒でトラモント王国一大きな図書館にデートに来ていた。今二人は隣り合わせに座り、1冊の本を密着しながら一緒に読んでいたのだ。


「へぇ……シルファの好きな英雄譚の本、面白いな。これは誰かの日記みたいだな。」

「そうなんです!この先どうなったかは誰にもわからなくて、考古学者の方々がまだ調査しているようですよ。」

「そうなのか。それにしても一体どんな人だったんだろうな。その夕陽の英雄って。名前すらわからないもんなー。」

「ふふっ……そこがまたいいのかもしれませんよ?そちらの方が夢のあるおとぎ話みたいで!」

「たしかにな。……でも羨ましいよ。」

「どうしてですか?」

「夕陽の英雄って、なんかシルファの英雄みたいだろ?俺もそんな英雄になりたいからさ。」

「……っ!」


最後の一言にシルファはドキッとする。いつも不意打ちをくらうのはシルファばかりだ。それからシルファは我慢できなくなり、横に座るケイの左肩に頭を預ける。それからシルファは静かにケイだけに聞こえる声で顔を真っ赤にさせながら呟く。


「……ケイはもう十分、私だけの英雄ですよ……大好きです……」

「……シルファ……」


そんなイチャイチャしている時だった。ケイとシルファの背後から聞き覚えのある、わざとらしく咳払いした声がしたのだ。


「あー……こほんこほん!」


ケイとシルファがふりかえるとそこにいたのはアクアだった。その表情は顔を赤くし、少し機嫌が悪そうだった。驚きのあまりか二人は同時にアクアの名前を呼び、席を立ち上がる。


『ア、アクア?!』

「ケイとシルファが同じ日に有給休暇とったから怪しいと思ったわ!まさか図書館デートとは大胆ね!何?みせつけてるの?」


先日の一件以来アクアはますますケイに沼っていった。それこそ毎日ケイのことばかり考えるくらい……


「ア、アクア?た、たまたま有給がかぶって行くことになったんですよ!」

「絶対嘘!あんたは城でそういう事務的な仕事してるじゃない!誰が休みを申請してるか一番わかる立場よ!」

「うっ……!」

「ど、どうせあたかも偶然を装ってあんたから誘ったんでしょ?」


恥ずかしいエピソードがばらされシルファは顔を真っ赤にする。そこからは開き直るのだった。


「そ、そうですよ!いいじゃないですか?!私達は恋人ですから!!」

「ちょ!シ、シルファ?!ア、アクアが見てるって!!」


シルファはケイの腕を大胆にも組み、密着する。

ケイは顔を恥ずかしさで赤面させ、動揺した声を上げるのだった。そんなケイを見てアクアはヤキモチを爆発させる。


「な、な、なぁっ!こ、公共の場で……!シルファ!離れなさいよっ!!」

「い、いやです!離れません!だいたいアクアのやってることはストーカーじゃないですかっ!」

「す、ストーカー?!ち、ちがっ……!……そ、そう監視よ!監視!ケイは騎士なのよ!だから不純異性交遊は禁止なの!!私は同じ騎士で先輩として見張る義務があるわ!」

「ま、まずい……お、おい……お前ら……ここ図書館だぞ……し、静かに……」


ケイが言い争いを始める二人を心配し、注意した時だった。館内のスタッフがやってきて周りに迷惑なので退館するように言われるのだった。そういうわけで現在3人は図書館の外の入り口に漠然としながら立っていた。シルファはアクアに言う。


「……アクアのせいです!」

「違うわ!!あんたが腕を組むからよ!!」

「お、おい……またケンカするのはやめてくれ……そ、それよりこの後どうする?図書館は追い出されてしまったしな。」


ケイの提案に答えたのはシルファだった。頭が冷えたのかいつもの落ち着きを取り戻していた。


「こほん……ケイ、ごめんなさい……見苦しい姿をお見せして……んー……そうですね!ケイが最近購入した別荘に行きませんか?」

「おっ!いいな!今日は天気いいからベランダから海も綺麗に見えるはずだ!あと夕方は夕陽が最高に綺麗にだろうな。」

「別荘?!ケイ!別荘買ったの?!」

「ああ!最近、西海岸沿いに買ったんだ。寮であいつらと馬鹿やるのも楽しいが土日とか休みの日とかゆっくり過ごせる処が欲しくてな!」

「へぇ……じゃお酒買ってそのケイの別荘に行きましょ!」

『えっ?!?!』


まさかのアクアの発言にケイとシルファは動揺する。シルファはおそるおそるアクアに確認する。


「……ま、まさかだと思いますがアクアも行く気なのですか?」

「当たり前じゃない!!さぁ!ケイ、シルファ!いくわよ!案内してちょうだい!」

「なぁっ!ダ、ダメです!!今日はケイと二人で過ごす予定ですので!アクアは帰って下さい!!」

「嫌よ!行くわ!あっ!そうだっ!ケイ!私海鮮料理得意なの!ランチまだでしょ?」

「ま、まぁ……たしかにまだだが……!」

「じゃあ私が作ってあげる!キッチン借りるわね!」


結局アクアは強引に話を進め、3人はケイの別荘にいくことになるのだった。

まだまだ続きます

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