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第81章「アクアの初恋……憧れのバイオリニスト(後編)」

本当にこのエピソードはがんばりました……

「い、いよいよ今日ね……!そろそろ行くわよ!!レイラ、アスカ!」

「うん!な、なんか緊張するわ!!」

「そ、そんなに緊張しなくても……」


アクア、レイラ、アスカがシルファからサザンクロスのチケットをもらい早一週間過ぎライブの当日となる。天気は雲一つないこの上なく快晴で現在は時刻は12時。16時から始まるライブまでまだ時間があるが、アクアとレイラは憧れの人に会えるからなのか、なんだかいつもと違いそわそわしていた。そんな中アクアは二人に言う。


「とりあえずトラモント城に行ってシルファと合流ね!」

「うん!あ、そういえばお姉ちゃん!そういえばあと2人誰が来るか知ってる?2枚チケット余ってたよね?」

「アイリスとフィオナが来るみたいよ!二人はカーラ橋で直接合流になるみたい。アスカもあんまり話したことない人よりもいいでしょ?」

「そ、そうですね!いつものメンバーで良かったです!」


こうして3人は外に出てシルファがいるトラモント城へ歩いて向かっていく一方、ケイ達はライブ前の最後の打ち合わせをカーラ橋から一番近いカフェでしていた。


「朝の練習をみる限り絶好調だな。みんな!」

「まぁこの一週間本当に皆練習したからね。仕上がってるさ。ふふっ!」

「グレンさんのそんな表情初めてみました……自分もまさかここまでの仕上りになるとは思いませんでした!感動の一言です……本当に今日のライブ楽しみですね!」


グレンとラキがケイの言葉に反応した後、ウルとボルグも口を開く。


「もしこのライブが成功したら、おそらくこの部隊の知名度があがるだろう!そしたら入隊希望者もますます増えることになる。……こういった市民への奉仕活動は部隊の宣伝にもなるということだね。」

「なるほど……たしかにこういった音楽もそうだが色々な分野で活躍することで知名度の高い部隊になっていくわけか。特にエンターテイメント性の高いもので有名になればなるほど国民からの支持も増えていくしな!絶対的に失敗できないぞ。今日は。」


そんな二人の会話にケイは口を挟む。それは二つ名についてだった。


「そうだな。それからナンバーズはこの前の大会でかなり有名になったが、この活動でグレンの『ペルセウス』」とボルグの『ゴッドブレイン』の二つ名も成功すれば一気に広まるはずだ。メディア関係者にはラキから連絡してもらったが、テレビで全国放送になったそうだ!そういうわけでボルグの言う通り何が何でも今日のライブ成功させるぞ!」

『おう!!!』



時刻は13時半すぎ、ケイ達が打ち合わせをしていたカフェから少しだけ離れた海沿いのカフェでアクア、シルファ、アスカ、レイラはのんびりランチを食べながら時間を潰していた。


「お姉ちゃんにしてはセンスいいじゃん!」

「ふふっ!アクア!内装もオシャレですし、本当にランチも美味しいです!」

「そうでしょ?!良かったわ!シルファも気に入ってくれて!」


そうアクアが言った後、アスカが不思議そうな顔で尋ねる。


「と、ところでよくこの店知ってましたね!ここカップルで来たいデートスポットで有名みたいですけど……ま、まさか好きな人できたんですか?!」

「……へっ?!」


アスカのその一言にアクアは顔を真っ赤にさせる。一瞬ケイの優しい笑顔が思い浮ぶが自分に違うと心の中で言い聞かせる。


「い、い、いないわよっ!!な、何言ってるのよ!!アスカ!!」


今までなんだかんだで恋愛経験がないアクアにとってそういった質問への耐性がなかった。そんなアクアにシルファは興味を持ったのかアスカの質問に便乗する。


「そ、そういえばアクアの恋愛事情、聞いたことなかったです……どんな殿方がタイプなのですか?」

「タ、タイプ?!イ、イケメンで……とにかく顔がイケメンね!!そ、そう!ZERO様みたいな!」


そのアクアのタイプにアスカとレイラは呆れたのかやれやれと言った顔でアクアに言う。


「……ア、アクアさん。イケメンがいいといいながら顔もわからないZEROがタイプなんて意味がわからないです……」

「お姉ちゃん……だから20歳になっても彼氏いたことないのよ。」

「うっ、うるさぁーい!!わ、私だってわからないのよ!どんな人がタイプかなんて!!」


それから自分でも戸惑うアクアにシルファは優しい表情で自分の考えを伝える。それはアクアにとって納得するものだった。


「きっとその時好きになった人がタイプなのですよ……できたら教えて下さいね。私は応援しますから!」

「……シルファ……そうね!うん、ありがとう!!」


そのシルファの対応を見て、レイラは自分と同じ歳なのになんか大人の女性だなと不思議に思うのだった。



それから時刻は15時半となる。4人は歩いていき、カーラ橋に今日のために設置されたライブ会場へ到着する。カーラ橋から見える太陽の光で輝いた美しい海を正面に後ろには椅子が1000席並んでいたが、もう既に満席に近い状況だった。カメラマンなどメディア関係の人間もステージ付近に集まっている。そして今はまだ2月下旬。屋外でのライブということもあり、4人は気温を心配していたが不思議と春の時期のように暖かい。おそらく前にフィオナが花見で使ったクラシオンが今日も使われているのだろう。4人は自分の席に到着し、アクアはシルファに話しかける。


「一番前の特等席って本当にラッキーよね!!なんか特別感あっていいわ!」

「ふふっ!そうですね!みんなでこれてよかったです!そういえばまだフィオナとアイリスは来てないですね?」


そうシルファが辺りを見渡した時だった。


「お待たせー!みんな!」

「なんやっ!みんなもう着いとったんやな!」


その声の方向に4人が振り向く。そこにいたのはアイリスとハクだった。アスカは不思議そうな顔で尋ねる。


「あれっ?フィオナさんの代わりにハクさんになったんですか??」

「せやっ!フィオナは風邪で寝込んどるで!せやからウチが代理できたんや!」

「ハクは今日孤児院にいかないのですね!私はてっきり……」

「今日は孤児院も休みみたいよ!だから私がハクを誘ったの!!それよりは誘ってくれてありがとね!!私こういうライブとか初めてなの!人凄いわね!盛り上がってて!」


アイリスはいつも以上に明るい笑顔でシルファの疑問に答えたあと、そんな感想を言うのだった。その後レイラがアイリスに純粋に思ったことを聞く。


「ちなみにアイリスさんはZEROを知ってるんですか?」

「バ、バカにしてるの?さすがに知ってるわよ!超有名じゃない!ちょっと前までよく聴いてたわ!私だって誘われて飛び上がるくらい嬉しかったんだから!全然にわかファンじゃないわよ!」

「そ、そうなんですね!なんか嬉しいです!」


レイラはムーンアイランド出身の人でも知ってる人は知ってるんだ、と思いながらハクにも尋ねる。


「ハクは?」

「ウ、ウチはそう……2回くらいは聴いたことあるで!!あ、あれやろ?!ボーカルの人のギターめっちゃ凄いやんなぁ!あ、あはは!!」

「ぜ、絶対今日初めて聴くでしょ……ZEROはバイオリニストよ!こ、こんな人がチケットもらうなんて罰当たりよ……私とお姉ちゃんが手に入れるのにどれだけ苦労したことか……」

「うっ……!と、ところでそのZEROっていうのは結局何者なん?本人も他のサザンクロスのメンバーも開演まで正体不明ってどういうことやねん?胡散臭すぎるやろ!」

「た、たしかに……サザンクロスの他のメンバーについてもほとんど情報ないですよね!ZEROがメンバーを集めたみたいですけど……」


最後のハクのとっさの苦し紛れの疑問にアスカも共感した後、それまで黙って聞いていたアクアが口を挟む。何か懐かしい思い出に浸っているかのような、切なく優しい表情でハクに言う。


「他のメンバーは私もわからない……それでもZEROは私達家族にとってヒーローなのよ……だから信じるわ……」

「……お姉ちゃん……うん、そうだね……」


それからあっという間に時は過ぎる。時刻は16時となり、いよいよ開演の時間となる。夕陽の光がカーテンで閉ざされたステージと観客席、海を照らし始める中、会場に司会の声が響き渡る。


「レディース・エン・ジェントルメーン!!いよいよこの日がやって参りました!!かつて数々の伝説を残して一世風靡したZEROがサザンクロスとして復活致します!!そしてこの日を待ち望んだファンの皆さん!な、なんと今日はZEROがこのカーテンの向こうで仮面を外した状態で待機しています!!ついに……ついにその正体が明らかになるのです!!」

『えぇぇーー?!?!』


まさかの展開に観客席では悲鳴が響き渡っていた。アクアもまた唖然としながら驚きの声を上げる。


「ま、まさかZEROの正体がわかる日が来るなんて……」


そして遂にこの時がやってきた。司会は会場にアナウンスする。


「さぁ盛り上がってきました!司会の私も楽しみです!それではいきましょう!!カーテン!オープン!!」


ステージ上のカーテンが一気に開く。ステージ上にいたのはラキ、ウル、ボルグ、グレン、そしてケイである。皆それぞれの楽器に向き合いながら静かに集中していた。そんな誰もが予想していなかった彼らの姿が明らかになり、観客席ではどよめきの声で溢れかえる。最前列にいたアクア達も信じられないといった表情をしていた。しばらく状況が理解できなかったが、サザンクロスのメンバーがケイ部隊であり、バイオリンを持つその彼を見て確信する。ZEROの正体がケイだったことに……皆が言葉を一瞬失っている中、最初に反応したのはアクアとレイラだった。


「……嘘……よね?」

「お、お姉ちゃん!!な、なんで……なんでケイ様達があのステージにいるのよ?!それにバイオリニストは……!!」

「……ZEROの正体はケイ………??……えっ?」


その言葉にアイリス、アスカ、ハクが動揺しながらアクア達と同じようにこの信じられない光景について口にする。


「ちょっと待って!えっ?!ZEROがケイ?!嘘でしょ?!そ、そもそもケイってバイオリン弾けるの?!そんなの初耳なんだけど!!」

「ま、まさかこんな展開になるなんて……そ、それになんかみんなタキシード着ててカッコいいです……」

「ど、どうなっとるん?!デリカシーの欠片も品も一ミリもないあの男がバイオリンなんて弾けるわけないやろ?!ドッキリなんとちゃうか?!」


一方皆が戸惑っている中、シルファは頬を赤くしながら少しの間ケイがバイオリンを構える姿を見つめた後、憧れのヒーローでもみるかのような誇らしげで表情で皆に伝える。


「……皆さん、ドッキリじゃないですよ、多分……私はケイ以上のバイオリニストを見たことないです。」

『えっ?!』


それから会場が静まりかえり、全員の視線がステージ上の5人に注目する。ケイ、ラキ、ウル、グレン、ボルグは特に会場への挨拶等なしに、お互い一瞬のアイコンタクトのあと頷く。その表情は皆真剣である。そしていよいよ演奏開始となるのだった。最初の一音を奏でたのはバイオリニストのケイだった。最初はどうやらケイのソロパートのようだ。繊細かつ透き通った美しい音色にアクアとレイラは目を見開き、真剣な表情をしながら演奏するケイだけを見つめながら呟く。


「……この儚い音色、この切ない曲……すべてあの時のまま……なんで?なんで?なんであなたなのよ……?」

「……ケイ様……」


一方初めて見たケイの意外な一面にアイリス、ハク、アスカは信じられないといった様子だった。アイリスとハクは顔を赤くしケイのいつもとは違う真剣な眼差しで演奏する姿に完全に見とれていた。


「ケイ……か、カッコいい……ほ、本当にバイオリン弾けるんだ……」

「……こ、こんなの夢や、夢に決まっとる……あ、あんなちゃらんぽらんなケー君が……ウ、ウチは認めんから!」

「す、凄いです……上手すぎです……これが『傾国のバイオリニスト』と呼ばれたケイさんの音色なのですね……」


シルファもまたケイのバイオリンを弾く姿に見とれていた。そして顔を赤らめながらも優しい笑み浮かべ、思ったことを誰にも聞こえない静かな声で呟く。


「世界一かっこいいですよ……ケイ……今度私にもバイオリン教えて下さいね……」


それから他のサザンクロスのメンバーの楽器の音も重なり合う。皆死ぬ気で努力してきたのであろうミスする気配は全くない。メインのケイのバイオリンを引き立て、自己主張しすぎないそんな演奏だった。ラキのアコーディオン、グレンのギター、ボルグのチェロ、そしてウルのピアノ……すべてのクオリティが高く、観客を魅了する。その音色はまるで何か懐かしい大切な過去を思いださせるかのようなものである。永遠に続いてほしい……誰もがそう感じた時一曲目が終了する。観客席は一瞬静まりかえるが、それはつかの間だった。あまりにも感動したのか拍手喝采が鳴りやまない。もはや観客席で大パニックである。


「す、すごーーーい!!な、何今の演奏!!!」

「きゃあああ!カッコいい!!!」

「うぉぉー!感動だぁ!!お前らの演奏で一曲目から泣いちまったじゃねーか!!」

「サザンクロス最高ーー!!もうファンになったわ!!」


そんな観客席からの声が会場中に響き渡る中、シルファ達もまた今のパフォーマンスに感動し、今まさに大喝采を浴びているサザンクロスのメンバーから目が離せなかった。シルファは涙を流しながら誰に言うわけでもなく独り言を呟く。


「…………尊いですね……どれほど努力したらこれだけのパフォーマンスができるのでしょうか……」


この言葉に対してアスカとハク、アイリスは涙を堪えながら共感する。


「……き、きっと私達の想像つかないくらい練習したはずです。私もフルートをやってるので楽器を弾く難しさはよくわかります……」

「……ケー君……少しだけ見直したで……ホンマに今日だけはカッコいいわ……」

「ケイ……みんなもどうしてそんなに頑張ったの?どうして……誰かのため?」


最後のアイリスの一言にアクアは数日前のケイとの

会話を思い出す。それはシルファをトラモント城へ送るために一緒に歩いた時のことだった。


(『もう一回……ZEROのライブみたいか』)


その言葉の意味を理解し、アクアは涙が止まらなかった。そして隣のレイラにしか聞こえない声で呟く。


「……あの言葉…………私のためなの……??」

「……えっ?」


それから2曲目に入る前にケイは観客に挨拶をする。その表情は誇りと自信に満ちていた。


「みんな。改めて自己紹介させてくれ。ZEROのケイ=ミカヅキだ。まさか一曲目でこんなに盛り上がってくれるとは思わなかった……本当にありがとう!今日は俺達サザンクロスの精一杯の演奏をみんなに届けるつもりだ!是非楽しんでくれ!!」


その挨拶で再び観客席が盛り上がった後、次々とサザンクロスはZEROの曲を演奏していく。どの曲も完璧に仕上がっており、彼らのパフォーマンスで感動しなかった人は観客席にはいなかった。儚さや切なさの中に感じさせる力強さ、命の輝きに観客は魅了され引き込まれるのだった……


「…………ケイ、どうしたらそんな曲を作れるの?やばっ……泣いちゃう……」

「アイリス……きっとケイは伝えたいのだと思います……本当の美しさというものを……」


シルファがアイリスに言った一言に涙が未だに止まらないアクアも共感する。


「……本当の美しさは外見じゃない……誰かを愛し想う気持ち、優しさ……つまり心の美しさ……それを伝えたいのかもね……ケイの曲はそんな曲が多い気がするわ……」


それから時刻は17時となる。夕陽の光がステージ上のサザンクロスと海を照らす中、ケイは観客に伝える。次の曲がラストだと。


「……次の曲がラストだ。あっという間だったな。本当に今日は聴いてくれてありがとな……最後の曲だが俺達5人で作った曲を演奏したいと思う。その曲は普段騎士の俺達がお世話になっている、とある人のために作った曲なんだ。ZEROの大ファンみたいでな。このライブは実はそのたった1人に感謝の気持ちを伝えたくて企画したんだ……だからステージの上にその人呼びたいと思う。その人に一番近くで聴いてもらいたいから……」


まさかのサプライズに観客席では悲鳴が響き渡る。

しばらくの間パニックだったが、少し時間が経ったころ悲鳴が収まる。会場が緊張感に包まれる中、ケイはその人物の名前を呼ぶ。そして会場のスクリーンにその人物が映し出されるのだった。


「アクア!!ステージに来てくれ!!」


アクアは名前が呼ばれた瞬間、一瞬時が止まったかのように感じた。何が起こったのか理解できない、そんな表情をする。そんな驚き戸惑うアクアにケイはもう一度呼び掛ける。


「アクア!ずっとZEROのファンでいてくれたお前に一番近くで聴いてほしい……ステージに来てくれないか?」


アクアはそこでようやく理解した。皆が言葉を失って静かに静まりかえっている中、アクアは戸惑いながらも椅子から立ち上がり、歩いていきステージへ上がる。そしてケイとアクアはステージ上で向かいあう。誰もがこの二人の次の言葉に注目する。最初に口を開いたのはアクアだった。アクアはやっとおさまった涙を堪えながらもケイに向かって叫ぶ。


「ば、ばかじゃないの!?!?私のためだけにこんな大規模なライブをするなんて!!」

「……アクア前に言ってただろ?家族が救われた、もう一度どうしてもZEROのライブをみたいって!」

「っ!!……で、でもでも!私なんかのために……」

「私なんかのためにっていうなよ!お前は優しすぎるんだよ……いつも周りのことばかり考えて遠慮するだろ?もっとわがままになれよ!俺はいつも誰よりも他人のために頑張っているアクアに幸せな気持ちになって欲しい……」

「なぁっ!?」


真剣な顔でそんなことをいわないでよ……、そう思いながらアクアは顔を真っ赤にする。心臓も爆発するのではないかと思えるくらいドキドキしている。ずっとシルファを応援する……そう自分を偽ってきたが限界だった。そして自覚する。ケイのことが好きだということに……

そんな何も言い返せないアクアを見て、ケイはアクアの目を真っ直ぐ見て伝える。


「アクア……最後の曲を聴いてくれ。この曲はサザンクロスの5人でアクアのためだけに作った曲だから……『夕陽に輝くマーメイド』」

「!!」


それから5人の想いがこもったアクアにとって世界一美しいと思える曲が演奏される。切ないながらも暖かい……そんな曲だった。アクアは家族と過ごしてきた日々を思い出していた。楽しいこと、嬉しいこと、つらいこと……そんなかけがえのない記憶が次々と頭によぎる。そしてアクアの理性はついに完全に失う。沢山の観客がいるにも関わらず、膝から崩れおち、号泣するのだった。この光景をみた観客は全員思う。これ以上尊く美しい瞬間はないだろうと。ステージで演奏をする5人はその日、世界一美しい夕陽よりも眩しく輝くのだった……

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