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番外編「仲直り会」

ケイが非常勤講師として初勤務を終えた夜19時半すぎ。シルファ、フィオナ、アイリス、アクアはいつもの酒場、夕陽処の個室で新しいサンセットホープズの誕生を祝う女子会が行われていた。しかしその雰囲気は異様なものだった。シルファ、フィオナ、アイリスは目を反らし、しばらくの間、黙ったままだったのだ。そんな重い空気の中アクアが口を開く。


(アクア)「ちょ、ちょっと何なのこの空気ーー!!せっかく祝勝会という名の仲直りの機会を作ったというのに!!」


アクアがそう言ったことが合図となり、アイリスがシルファとフィオナの顔を見て、正直な気持ちを伝える。


(アイリス)「私謝らないから。」

(シルファ、フィオナ)「!!」

(アクア)「アイリス……」

(アイリス)「あとケイは私の大切な人だから絶対手をださないでね。」


アイリスの顔は真剣だった。そんなアイリスに対して2人は反論する。


(シルファ)「ケ、ケイはアイリスのものじゃないです!それはあなたの思い込みです!!」

(フィオナ)「そうよ!あいつに好きって言われたわけじゃないんでしょ?!」

(アイリス)「っ!!」


シルファとフィオナの的を得た指摘にアイリスは怯む。さらにシルファはこう言う。


(シルファ)「それにアクアが言ってました!ケイは私と両想いかもと!!逆に手を出さないで下さい!」

(アクア)「……げっ!!」


そんなシルファの一言でアイリスは我慢していた怒りを爆発する。アクアの方を見て尋ねる。


(アイリス)「はっ……?意味がわからないんだけど。アクア。それどういう意味よ。なんでシルファなのよ?」

(アクア)「ア、アイリス怖いって!!ケイの好きなタイプの女が明るい陰キャなのよ。それでパッと思い浮かんだのがシルファだったってことよ。」

(フィオナ)「ま、まぁ私はシルファじゃないと思うけどね!もう少し身近にいて明るい方がタイプよ!きっと!!」

(アイリス)「明るい陰キャ……」


アイリスはアクアの一言に少し考える。そして嬉しそうな表情で照れながらシルファとフィオナに言う。


(アイリス)「それってやっぱり私じゃない!!」

(フィオナ)「なっ!なんでなのよ!!アイリスはどちらかというと陰キャよ!!」

(シルファ)「それに個人的にですけど絶対アイリスにだけはケイを渡したくないです!!」

(アイリス)「そ、それはどういう意味よ!!シルファ?!」


アイリスの質問にシルファは顔を赤くする。なにやら答えづらいものらしいが思い切って声にだす。


(シルファ)「だって……だってアイリスはエッチじゃないですか!!いやらしいからなんか嫌です!ケイが穢れます!!」

(フィオナ、アイリス、アクア)「!!!」


フィオナ、アイリス、アクアは顔を真っ赤にする。それに反論したのはアイリスだった。その表情は必死だった。


(アイリス)「なっ!な、何こんな公共の場でそんなこと言ってるのよ!!それに私はエッチじゃないわよ!!」

(フィオナ)「えっ?ア、アイリスって……シルファ!どういうことなの?!」

(シルファ)「この前アクア、アイリス、アスカ、私でトランプしたんです!負けたら罰ゲームで自分の恥ずかしい過去の記憶をアスカの力で読み取られ暴露されるルールでした!!」 

(アクア)「ま、まさか……!」


シルファが言いたいことがわかり、アイリスはトマトのような真っ赤な顔で必死で止める。


(アイリス)「ちょ!!ちょっと止めなさいよ!!!そ、その話!!」


しかしシルファは止まらない。フィオナは興味津々だった。


(シルファ)「そしてアイリスは負けて暴露されたんです!いかがわしいエッチな本を読んで……していると!!」

(アイリス)「な、な、な、何でフィオナに言うのよ!!誰にも言わない約束でしょ?!」


シルファの一言にフィオナは目を見開き、口を手で抑え、顔をさらに真っ赤にする。驚きと羞恥のあまり何も言葉がでなかった。


(フィオナ)「…………っ!!!!」

(アクア)「ま、まさかシルファからそんな言葉が出ると思わなかったわ……」

(シルファ)「だからアイリスだけは絶対嫌です!!」

(アイリス)「……よくも!よくも!よくもーー!それを言うならあんただってエッチじゃない!!」

(フィオナ)「えっ?シ、シルファが……?」

(シルファ)「ち、違います!!私はそんな……!」

(アイリス)「違わなくないわよ!!私あの時のゲームでのこと、こういう時のため携帯で録音してたんだから!」

(シルファ)「えっ?!」

(アクア)「ア、アスカの声を録音してたのね……あんた性格悪いわねー!恐ろしいわ……」

(アイリス)「甘いわねアクア!実はアスカの声じゃないの。ちゃんとシルファの声に編集してるんだから。フィオナ。聴きなさい。これがシルファの本当の欲望よ。」


アイリスはフィオナに携帯を渡し、録音した音を流してもらう。フィオナの耳元で聴こえてきたのシルファの声だった。


『私、ケイの全部がほしい……心も体も全部、全部……だからいいですよ……キス。それ以上も……。めちゃくちゃにしてほしい。ベッドの中で1つになってずっと愛し合いたい……誰よりも大好きなあなたと……』


時が止まる。シルファがこんないやらしいことを?フィオナは顔を真っ赤にしながらシルファの方をみる。一方シルファも顔を真っ赤にしながら目に涙を浮かべていた。


(フィオナ)「うわ……シ、シルファがこんないやらしいことを……な、なんかイメージ変わったわ!」

(シルファ)「ち、違います!!ひかないで下さい!これは寝言で!!私の意思じゃないですーー!!」

(アイリス)「夢っていうのは人の本性がでるものよ!!」

(シルファ)「そ、そんなの迷信です!!それに仮にそうだったとしても私はアイリスと違って純愛ですから!!」

(アイリス)「っ!!シルファぁー!!」

(アクア)「はぁ……どっちもどっちよ。」


祝勝会という名の仲直り会は24時までつづく。結果としてシルファ、フィオナ、アイリスはお互い言いたいことは伝えることができ仲直りすることができたのだった。



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