第57章「アーベント学園」
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(女子生徒1)「ねぇねぇあの噂聞いた?!」
(女子生徒2)「聞いた!聞いた!今日から非常勤講師としてうちの高校で働くことになった騎士様のことでしょ?誰が来るのかしら!!」
私立アーベント学園。トラモント王国の最西部の海沿いに位置し、有数の名家のご子息、ご令嬢が集まるようなアマネセル学園にも劣らないエリート校である。しかしアマネセル学園と違い、完全に騎士科しかないのが特徴だ。校舎は莫大な資金がかかっているに違いないと思えるほど広く、豪華な装飾がなされている。そして1月6日の今日、新しい先生、しかも現役の騎士ということで生徒の間で話題になっていた。
「ラナ!おはよう!!」
「あ、おはよう!コウ!!」
ここは1年2組の教室。その噂の騎士が今日から担任と授業をするクラスである。そういうわけで朝のホームルームが始まるまでその話でもちきりだった。この雰囲気の中、コウと呼ばれる短い茶髪に少し小柄な体格が印象的な少年は教室に入り、眼鏡にハーフツインの茶髪が印象的なラナと呼ばれる少女に朝の挨拶をする。それからコウは座席に座り、隣の席に座るラナに話しかける。
(コウ)「ラナも知ってるだろ?今日うちのクラスに新しい先生が来るって噂!」
(ラナ)「知ってるわ!トラモントの騎士様らしいわね!もしかしたら有名な騎士様かもって期待しちゃうわね……!サイ様とか……!」
(コウ)「そんな有名人さすがにこないだろー。きっと忙しいに決まってる!」
コウとラナのそんな会話が続き、朝のホームルームのチャイムがなる。その時はきた。ガラガラとドアの音がなり、教室に入ってきたのはスーツを来た同じくらいの歳の少年だった。黒髪に綺麗な顔、そして眼鏡、スラっと足は長く、身長は174、5cmくらい。そして何より表情は自信に満ちた印象だった。そんな少年は教壇に立ち、クラスの生徒に挨拶する。
(ケイ)「おはよう!みんな!朝のホームルーム始めるぞ!まずは自己紹介だな!今日からしばらくの間、非常勤講師としてこのクラスを担当することになったミカヅキだ!よろしく!!」
ケイは自分がサンセットホープズのケイ=リュウセイであることは言わなかった。そして隠密用の特殊なエネルギアが込められた眼鏡をかけている。端からみればバレないだろう。わざわざこんなことをする理由はロイの時のように騒ぎになるのが嫌だったからだ。よって彼らからしたら無名の騎士だった。ケイの挨拶にクラス内では笑いが起こる。彼らの表情からどうやら先生と信じてもらえなかったらしい。
(男子生徒1)「ハハハッ!!あんたが先生!?俺らと変わらいくらいの歳じゃねーか!!」
(男子生徒2)「なんだよ!!もっと有名な騎士様がくると思ったのによ!がっかりだぜー!ハハッ!」
(女子生徒1)「ミカヅキ?そんな騎士聞いたこともないわね!本当に大丈夫なの?!」
(女子生徒)「で、でも!ちょっとカッコいいわね……」
一方ケイはそんなリアクションは想定済みだったようだ。何事もなかったかのようにこう答える。
(ケイ)「まぁ俺はおまえらとタメだし、信じたくない気持ちはわかるがな。だが先生なのは本当だ。仲良くしてもらえると助かる!」
朝のホームルームが終わり、それから1限から4限まで授業が進んでいく。ケイは2限と4限に授業をするのだった。
昼休み。ケイが教室にいない中、様々な感想がとびかっていた。そしてコウとラナも同様だった。
(コウ)「無名の騎士のわりには授業わかりやすかったな!」
(ラナ)「ええ!授業中話してたけどさすがにアマネセル学園にいただけはあるわね。論理的で頭はいいわ。」
コウとラナはランチを食べながら二人でそんな会話をしていた。どうやら授業は好印象だったようだ。それから少したった頃、クラスのムードメーカーであろう、短い紫色の髪に長身で引き締まった筋肉が印象的な男子生徒が二人の前の席に座り話しかける。
(ガイ)「よっ!そっちもミカヅキ先生の話か?!」
(コウ)「ガイ!!」
(ラナ)「そうよ!ガイはどう思う?あの先生!」
(ガイ)「悪い先生ではないんじゃないか?授業はわかりやすいし。」
(コウ)「だが午後の実技実習はどうだろうな。騎士らしいがうちらより本当に強いのか?」
(ラナ)「そうね。騎士なんて強さがあってだものね。まぁあと30分でわかるわ!ランチ食べたら私達も準備しましょ!」
こうして午前の授業が終わり、午後の実技実習が始まろうとしていた。
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