第56章「新たなサンセットホープズ」
ここはトラモント城最上階の玉座の間。ケイはこの広い空間に1人で玉座に座るシルファの父、国王と対面していた。ケイは片膝をつきながら国王を見上げる。
(王様)「ケイ=リュウセイよ。今日からお前は5人目のサンセットホープズである。都の民を守るため誇り高き騎士の頂として部隊を率いて日々精進せよ。」
(ケイ)「はっ!!……陛下!私からこの件で2点ほどお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」
(王様)「ふむ。聞こう。何のお願いであるか?」
(ケイ)「ありがとうございます。まず私の名前の件です。陛下はもうご存じかと思いますが、私の姓はリュウセイではありません。タイムトラベラーズに自分の存在を知られる訳にはいかなかったため今まで他の人には隠しておりました。私の本当の姓はミカヅキ……ですが奴らの脅威がなくなった今、今回を機に公表しようと思うのです。」
(王様)「……お前はミコト=ミカヅキの息子だったな。……よかろう!今日からケイ=ミカヅキとして名乗るがよい!」
(ケイ)「ありがとうございます!もう一点は部隊についてです。」
(王様)「お前が知りたいのは部隊をどう編成するかについてだな?」
(ケイ)「はい。ゼファーの部隊はもう既に他の4人のサンセットホープズにそれぞれ吸収されたと伺っております。私の部隊はどうしたらよろしいでしょうか?」
(王様)「無論、自分で一からスカウトするのだ!ケイよ!!」
(ケイ)「わ、私がですか?!」
(王様)「自分が選んだ人間の方が信頼できるであろう??そうだな。まずは……アーベント学園に非常勤講師として働き、そこでお前が気にいった人材をスカウトするのはどうだ?」
(ケイ)「アーベント学園……たしか全学生が騎士を目指す高校でしたよね。そしてロイと同じようにスカウトしてこいと言うわけですか。」
(王様)「左様。お前は頭もいいからな。きっと務まるであろう。」
(ケイ)「……わかりました。いつ頃から講師としてそのアーベント学園とやらへ行くことになるでしょうか?」
(王様)「明日でよかろう?善は急ぐべきだ。話は私から通しておこう。」
こうしてケイは明日から非常勤講師としてアーベント学園に騎士のスカウトへいくことになったのだった。
トラモント城の外の訓練場でそのことをフィオナとタイガに話す。
(ケイ)「……ということで部隊のメンバー集めで俺明日からしばらく先生になることになったからよろしく!」
(フィオナ)「きゅ、急にすぎるわよ!!サンセットホープズの初任務が学校の先生なんて意味がわからないわ!あ、あんた教えれるの?!」
(タイガ)「そんなことよりケイ!!可愛い女子だけスカウトするんだぞ!そして俺に紹介しろ!!」
(フィオナ)「あ、あんた清々しいほどクズね……」
(ケイ)「まぁメンバーがゼロからのスタートだからな。男女比うんぬん言ってられない。実力だけでとるさ。」
(フィオナ)「ゼロじゃないわよ!」
(タイガ)「そうだぞ!俺ら二人がもういるぜ!」
(ケイ)「……は?」
ケイは一瞬理解できなかった。そんな中フィオナがその意味を話す。
(フィオナ)「だから私達があんたの部隊に移籍したのよ!!」
(ケイ)「えっ?!ほ、本当になのか?!それは!?」
(タイガ)「ああ!アイリスからケイを支えて欲しいと言われてな!移籍することになったんだ!!」
(ケイ)「し、知らなかった……。よくアイリスごねなかったな。」
(フィオナ)「そうね……案外さっぱりしてたわ。あんたの試合での言葉が響いたみたいよ。離れていても騎士でつながった絆って言葉にね。」
タイガとフィオナとまた一緒、ケイは嬉しそうな表情で気持ちを伝える。
(ケイ)「そうか!だが俺は素直に嬉しい!おまえらとまた一緒にいれて!!」
(タイガ)「あったりめーだ!俺達はチームネクサスだぞ!」
(フィオナ)「そうよ!!あんたは私達がいないとダメなんだからね!!」
(ケイ)「おまえら……」
(タイガ)「他にも何人かお前の部隊に入りたがっている騎士もいるみたいだしな!意外とすぐに集まるかもしれない!」
(フィオナ)「そうね!でもどうするの?何人ほど集めるつもりなの?」
(ケイ)「予定では300人だ!」
(タイガ)「300人……わかった!だが頼みがある!」
(ケイ)「ん?なんだ?」
(タイガ)「俺を隊長にしてくれないか?100人隊長か150人隊長かに!!俺は間近にお前を支えたいんだ!」
(フィオナ)「なっ!!ズルい!わ、私もそれやりたいわ!!」
ケイは目をつぶり少しの沈黙の後、2人の顔を見る。そして口を開く。
(ケイ)「おまえら以外に頼むわけないだろ!150人隊長でいいな?!」
(タイガ)「よっしゃぁぁ!!」
(フィオナ)「150人隊長?!私達がついに……?嬉しい!!」
(ケイ)「タイガの方は接近戦の才能がある奴を中心にメンバーを組む!そしてフィオナは逆に遠距離戦や後方でサポートに特化したメンバーを中心として組むつもりだ!!どうだ?」
(フィオナ)「いいわね!!合理的ね!!」
(タイガ)「ああ!最強の部隊を作ろうぜ!!」
(ケイ)「そのつもりだ!」
ケイ、タイガ、フィオナは手を合わせて約束するのだった。最強の部隊を作ると。




