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第49章「クリスマスデート(後半)」

(アイリス)「ねぇ!アクア、フィオナ!起きて!!」

(フィオナ)「……あ、あれ?」

(アクア)「……ふぁああ。ね、寝ちゃてたわ……」

(フィオナ)「……!ケイとシルファは?!」

(アイリス)「も、もうとっくにでたわよ!!あんたらのせいで見失っちゃったじゃない!」

(アクア)「もうそっとしてあげたらいいんじゃない?お似合いだもの。あの二人。」

(フィオナ、アイリス)「ダメよ!!」

(アクア)「は、はい!!」


60分のプラネタリウムの上映が終わり、客がぞろぞろと外へ出始めた頃、フィオナとアクアは目を覚ました。先日の戦いで疲れが残っていたのだろう。フィオナとアクアはプラネタリウムが始まって10分もしないうちに爆睡してしまったのだ。そういうわけでケイ達を見失ってしまったのだった。



一方ケイとシルファはもうプラネタリウムの施設をあとにし、昼食の場所を探して歩いていた。もちろんシルファは自然な流れでケイの腕を組む。


(ケイ)「シルファ、何食べたい?!」

(シルファ)「うーん……そうですね!パンケーキとかどうでしょう?!」

(ケイ)「パンケーキか!なら俺いい店知っているからそこでいいか?」

(シルファ)「はい!ふふ……!楽しみです!」


そうして2人はケイがオススメの喫茶店に向かうのだった。


(ケイ)「着いたぞ!」

(シルファ)「ここが……ちょっとおしゃれですね!」

(ケイ)「おっ!なんか店の前の立て看板に書いてるぞ!」


『メリークリスマス!!カップル限定!特別企画!!受付のスタッフの前で、彼氏さんが彼女さんの頬にキスしたら、ランチ全額無料です!!是非幸せを私達に分けてください!!』


(ケイ)「……ち、違うところにするか?」

(シルファ)「ここにしましょう!!ここ以外ありえないです!!」


ケイからキス?そんなの今までされたことがなかった。シルファは必死にケイを誘う。その勢いに押されて2人はその喫茶店に入るのだった。


(女性スタッフ)「いらっしゃいませー!!おやっ?!カップルの方ですか?!」

(シルファ)「そうです!」

(女性スタッフ)「やっぱり!外の立て看板を見ましたか?!」

(シルファ)「は、はい……!」


シルファは顔を少し赤面させて答える。その姿はスタッフから見てかわい過ぎたようだ。


(女性スタッフ)「か、かわいい……いいですねー!!いいですねー!!じゃあそこのお兄さんさん!!」

(ケイ)「な、なんだ?!」

(女性スタッフ)「彼女さんの頬っぺに熱いチューをお願いします!!!」

(ケイ)「ほ、本当にするのか?!」

(女性スタッフ)「さぁ!さぁ!さぁ!」

(シルファ)「ケイ……」


ケイは目を瞑ったシルファの前に立つ。そしてシルファの頬に優しくキスをするのだった。


(女性スタッフ)「きゃあああーー!!美男美女で絵になるわ!!ごちそうさまです!!」


シルファは頬っぺたとはいえ、初めてケイからされたキスにこれ以上ないくらいドキドキしていた。もう顔が真っ赤になり、ケイの顔をみれなかった。


(ケイ)「て、照れるな。なんか……」

(女性スタッフ)「初々しくていいですね!最高です!!いいものを見せてくれたお礼です!本日のランチは無料になります!!さぁ!席はこちらになります!」


ケイとシルファは案内され席につく。珍しく横並びの席だった。周りをみるとカップルか女性客しかいなかった。


(シルファ)「…………」

(ケイ)「おーい。シルファ?大丈夫か?」

(シルファ)「ふぇ……だ、大丈夫ですよ?」


シルファはケイにキスされた幸せに浸っており、ボーッとしていたのだ。


(ケイ)「そ、そうか!よかった……これメニューみたいだな。」

(シルファ)「は、はい!!」

(ケイ)「俺はこのパンケーキにするよ。」

(シルファ)「え、選ぶの早いですね……ふふ!そうですね……どれも美味しそうで私は迷います!」

(ケイ)「はは。ゆっくり選んでくれ。」


そしてパンケーキを注文し、しばらくたった頃、店内の女性客2人がケイとシルファに絡んできたのだった。


(女性客1)「ねぇ、あなた!ケイ=リュウセイだったりする?」

(ケイ)「ああ。そうだが!どうかしたのか?というかなんで俺を知ってる?!」

(女性客2)「やばーい!!本物!!」

(シルファ)「えっ?!」

(女性客1)「雑誌でみた通りいい男ねー!ウル=グレイシヤに次いで彼氏にしたい騎士ランキング2位のケイ=リュウセイ!!」

(女性客2)「そ、それに今朝の新聞みたよ!!すごい活躍してたじゃない!!まさに王国を救った英雄よ!!感激だわ……!」

(女性客1)「ね、ねぇねぇ!!そんな子ほっといて私達と遊ぼうよ!!」

(女性客2)「クリスマスだし!夜は……きゃああーー!」


女性客はベタベタとケイの体を触って誘惑する。シルファは今にも泣きそうなときだった。


(ケイ)「……ありがと!でも俺、今みてわかると思うが大切な彼女がいるからごめんな。だから気持ちだけ受け取っておくよ!」


ケイは嫌な顔ひとつせず、笑顔でスマートにこたえる。その振る舞いに女性客はメロメロだった。


(女性客1)「……うわ!超かっこいい……」

(女性客2)「で、でも彼女持ちだったらしょうがないわね。行きましょ!」


そんな光景をみて、シルファは知った。ケイがモテるということに。胸の奥がズキズキと痛かった。


(シルファ)「ケイ……モテるのですね。妬いちゃいました……。」

(ケイ)「いや人並みくらいだろ……」

(シルファ)「ですが!わ、私が『彼女』…!!ケイはそういってました!!あ、あれはどういうことなのですか?!」

(ケイ)「あ、あれは……」


そうケイが言いかけパンケーキを運ぶウエイターがやってきたのだった。


(ウエイター)「お待たせしました!!ミックスベリーパンケーキとチョコバナナパンケーキです!」

(ケイ)「凄いボリューム!美味そうだな!」

(シルファ)「た、タイミング……でもたしかに美味しそうですね!!」


二人はパンケーキを食べ終えたとき、ケイは気づく。シルファの口の周りにクリームが少しついていたのだ。


(シルファ)「ごちそうさまでした!美味しかったですね!」

(ケイ)「シルファ。そのまま動かないで……」

(シルファ)「えっ?」


ケイはハンカチを取り出しシルファの口周りを優しく吹くのだった。それを見ていた店内の女性客達は悲鳴をあげる。シルファは恥ずかしかったのか赤面して、少し下を向いてケイにお礼を言う。


(シルファ)「……あ、ありがとうございます……かっこよすぎです。そんな不意打ちずるいです。」

(ケイ)「はは!気にすんな!!じゃそろそろ行くか!なんか店の他の客たちから注目されてるしな!」

(シルファ)「は、はい!」


次に2人が向かったのは街中だった。クリスマスということもあり、盛大にクリスマスマーケットが行われていた。


(シルファ)「す、凄いですね!!賑やかです!」

(ケイ)「はぐれたら終わりだな。これは……。俺から絶対離れちゃダメだぞ。シルファ。」

(シルファ)「は、はい!ずっと腕組んでますから大丈夫です!」

(ケイ)「お、おう。」


さまざまな出店があるなか2人は前へ進んでいく。そしてシルファはある店の前で立ち止まる。


(シルファ)「オリジナル指輪創作ショップ……」

(ケイ)「気になるか?」

(シルファ)「ちょっとだけいいですか?!」

(ケイ)「ああ!全然いいぞ!」

(シルファ)「あのー……」

(女性店員)「いらっしゃいませー!」

(シルファ)「こちらはオリジナルで指輪つくれるんですか?!」

(女性店員)「はい!私金属を操るエネルギアを持ってるので!」

(シルファ)「私達ペアリングでお願いしたいのですが……」

(店員)「大丈夫ですよ!何か要望とかありますか?!」


そしてシルファが要望を伝えて5分たった頃、2つの指輪が完成したのだった。


(店員)「お待たせしました!こちらです!ちゃんと要望通り指輪の裏側に2人のイニシャル入れておりますよ!」

(ケイ)「凄いな……凝ってるな!」

(シルファ)「き、綺麗!!ありがとうございます!」


指輪を受け取り、お互いの左手の薬指につけあったあと店をあとにする。その後一通りクリスマスマーケットを見回り楽しんだ後、カーラ橋へと向かうだった。



時刻は16時半、2人はカーラ橋からこれ以上ないくらい美しい夕陽を眺めていた。少し肌寒かったが2人は腕を組んで密着していたためあまり気にならなかった。そんな中ケイはシルファの方を見て優しく呟く。


(ケイ)「……ありがとう。シルファ。」

(シルファ)「ど、どうしたんですか?急に……」

(ケイ)「この景色を元通りにしてくれたことさ。」

(シルファ)「そんな……ケイ達がタイムトラベラーズを倒してくれたおかげですよ。私は何も……。」

(ケイ)「……ここから見る夕陽、本当に好きなんだ……俺。たとえ辛いことがあってもここから夕陽を見たら元気になれる気がするんだ。」

(シルファ)「……その気持ちよくわかります。あとここは私にとっても大切な場所なんです。ケイと初めてお話した思い出の場所ですから……」


そのシルファの言葉と夕陽の中輝く笑顔にケイはこの約半年、シルファと過ごした日々を思い出す。そして気づいてしまったのだ。自分の気持ちに。


(ケイ)「俺、シルファに会えて本当によかったよ。あんたの夕陽のように輝く笑顔は俺にとって宝物だ。今シルファと初めて話した日からこれまでのことを思い出して気づいたよ。俺シルファのことがどれだけ大切か。」

(シルファ)「……えっ?」


ケイはシルファの目を真っ直ぐみる。そして……


(ケイ)「俺、シルファのことが……」


ケイが最後のひとことを言おうとしたときだった。


(フィオナ)「み、見つけたわ!!ケイ、シルファ!!」

(アイリス)「ちょっとフィオナ!バカなの?!そんなに堂々と……!」

(アクア)「もう可哀想じゃない!いい雰囲気っぽかったのにー!!」

(ケイ)「お、おまえら!どうして?!」

(フィオナ)「やっぱりシルファだったのね!!何が病院よ!!……シ、シルファが心配で追いかけてきてよかったわ!!」

(アイリス)「わ、私はシルファの応援で見守るためよ!!そ、それにケイは私の部下だしね!!応援よ!応援!あ、あはは!」

(アクア)「……あ、あんたら。はぁ……。」


偶然のタイミングとはいえ、一気に騒がしくなる。先ほどのムードがぶち壊しだった。そんな中静かにしていたシルファは……


(シルファ)「……せっかく今……」

(アクア)「シ、シルファ……?」

(アイリス)「……へっ?」

(シルファ)「……今もしかしたら……」

(フィオナ)「な、なんなのよ!?ほ、ほら行くわよ!!ケイといると危険よ!!」

(シルファ)「責任とって下さいぃぃぃーーーー!!」


あの穏和なシルファが大声をだしてぶちギレたのだった。


(ケイ)「シ、シルファ?!」

(アクア)「シ、シルファが完全にキレたわ!!」

(シルファ)「なんで邪魔するんですかぁー?!今!今!今ぁぁー!うわぁぁーん!!」

(アイリス)「こ、今度は、な、泣いたわ!!」

(フィオナ)「ちょ、ちょっとケイ!シルファに今変なことしたんじゃないでしょうね?!」

(ケイ)「し、してねーよ!!」

(アクア)「ま、まぁまぁ!!あ、そうだ!!せ、せっかく5人集まったんだしよかったらこの後よかったら夕陽処で飲まない?!なんかシルファに悪いことしたみたいだし今日はシルファも飲んでいいわよ!」

(アイリス)「そ、そうね!!飲みましょ!!」

(フィオナ)「ケイ!!覚悟しなさい!徹底的に潰すから!!」

(ケイ)「はぁ……しょうがないな。わりーな。シルファ。こんなことになって。」

(シルファ)「うわぁぁーん!今日はやけ酒ですーー!!」


こうして5人はクリスマスの夜、夕陽処で飲むことになったのだった。

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