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第45章「タイムトラベラーズ(永遠の輝き)」

(キサラ)「まさか4人がやられるとはね……あなたたちを見くびってたみたいね。」

(フィオナ)「残りはあなただけね!あきらめて投降しなさい!!」

(タイガ)「命はとらねーからおとなしくしろ!!」


フィオナとタイガはキサラに忠告する。しかしキサラの表情は不気味な笑みで溢れかえっていた。


(キサラ)「くっくっく……!!」

(ケイ)「フィオナ、タイガ!どうやらまだみたいだぞ……。」

(キサラ)「全く愉快すぎて思わずわらっちゃったわ!!何を勝った気でいるのかしら!!あなたたちはねー!もう詰んでいるのよ!!」

(フィオナ)「な、何っ?」

(キサラ)「いでよ!!デスデーモン!!」


キサラの周りが漆黒に輝き始める。そして現れたのは30体の巨大な悪魔だった。そのうち10体はどこか別の場所へと向かう。この現実を目の前に3人は言葉を失う。


(タイガ)「…………えっ?」

(フィオナ)「……嘘でしょ?」

(ケイ)「……」


夢であってほしい、そんな表情をしていた3人にキサラは自分が先ほど言われたことを言う。


(キサラ)「もうあきらめたほうがいいんじゃない?あなたたち3人は今から20体のデーモンを相手にするのよ?アッハッハッハ!」


どうすればいい?3人が絶望的な状況であせっていたときだった。


「3人じゃないわ!!5人よ!」

「助けにきたぞ!!おまえら!!」


その声がだれかわかった瞬間、3人は一筋の光が差したかのように感じたのだった。


(ケイ)「ロイ先生!!アイリス!!」

(フィオナ)「し、信じられない……!」

(タイガ)「こ、このタイミングで……奇跡だな!!」

(ロイ)「よくここまで耐えたな。ここからは俺達も戦う!」

(アイリス)「狙いはキサラよ!おそらく彼女を倒せばあの悪魔は消えるはずだから!」

(ケイ)「了解!!そういえばロイ先生!城の方は大丈夫なんですか?!」

(ロイ)「ゼファーとその部隊が守っている!アクアとジョーカーはそれぞれ他のタイムトラベラーズや別の場所へ向かった悪魔を今追っている!安心しろ!」

(フィオナ)「これでアスカも大丈夫……!!」

(タイガ)「ああ!!希望がみえてきたぜ!」


ロイとアイリスの援護が加わったにも関わらず、キサラは落ち着いていた。


(キサラ)「……話は終わったかしら?行きなさい!デスデーモン!!皆殺しよ!!」


デーモンは5人に向かい突撃する。その先陣を切ったのはロイだった。鞘から長剣を抜き、それに炎をまとわせながら迎え撃つ。


(ロイ)「インフェルノスラッシュ!!」


ロイの飛ぶ炎の斬撃の一撃がデーモン3体に直撃し、大ダメージを負わせるのだった。


(アイリス)「みんな!ロイに続くわよ!」

(ケイ、フィオナ、タイガ)「了解!!」


それから20分近く攻防が続く。しかしデーモンは残り15体というところで悲劇は起こった。フィオナが疲労で集中力が落ち、背後からの攻撃に気づかなかったのだ。


(フィオナ)「し、しまった!!」

(ロイ)「フィオナぁぁー!」


デーモンの一撃はフィオナではなく、ロイに直撃。フィオナをかばい、自らとっさに盾になったのだった。


(ロイ)「ぐあぁぁーー!!」

(アイリス)「ロイーー!!」

(ケイ)「な、なんだと?!」

(タイガ)「せ、先生ーー!!」


ロイはデーモンの一撃をまともにくらい、もう立てそうになかった。そしてロイはフィオナに沈みゆく意識の中で、言いたいことを伝える。


(ロイ)「……教え子を守るのは教師の役目だろ……。……あ、あとは頼んだぞ……。」


フィオナは最初は何が起きたかわからなかったが状況を理解し涙を流す。


(フィオナ)「……えっ?私のせいで先生が……?嘘でしょ?」

(ケイ)「フィオナ!!またくるぞ!!集中だ!!」


フィオナが動揺で立ち止まったところに、デーモンはさらに追い討ちをかける。それをフォローしたのはアイリスだった。


(アイリス)「……必殺!!満月斬り!!」

(フィオナ)「アイリス!!」

(アイリス)「フィオナ!!ロイはこんなことじゃ死なないわ!あいつは名前の通り不死鳥だから炎の力で少しずつ回復できるの!だから自分に集中しなさい!!!タイガ!お願い!ロイを安全なところへ!!」

(タイガ)「わかった!!」


その後の4人と14体のデーモンの戦いは熾烈なものとなる。そしてデーモンが残り12体となった頃、先に限界を向かえたのはフィオナとタイガだった。


(フィオナ)「きゃああ!!」

(タイガ)「ぐあぁぁーー!」

(ケイ)「フィオナぁぁー!タイガぁぁー!」


幸いにも二人共に軽症で済んだため意識はあるようだ。しかし膝を地面についたまま立ちあがることができなかった。


(フィオナ)「ご、ごめん!……立てないの!足が!」

(タイガ)「くっそぉぉーー!動け俺の足!!」

(キサラ)「どうやら抵抗もここまでのようね!アッハッハ!!」

(アイリス)「くっ!残り12体……ここまでなの?!」


この絶望的な状況の中、ケイはシルファとのとある約束を思い出していた。


(ケイ)「アイリス!あきらめるな!!」

(アイリス)「ケイ……」

(ケイ)「フィオナ、タイガ!!この前のシルファとの約束覚えてるか?!この状況を変えるにはあれしかない!!」

(タイガ)「ま、まさか!あれを使うのか?!」

(フィオナ)「ぶっつけ本番……でもそれしかなさそうね!」

(アイリス)「どういうこと?!あ、あれって何なのよ!?」

(フィオナ)「エクレールアロー!!お願い気づいて!!シルファぁぁー!」

(アイリス)「な、何をしてるの?!」


フィオナが上空へエクレールアローを花火のように何発も放つ一方、シルファはトラモント城の自室でアスカと待機していた。そんな中、アスカは窓の外からフィオナの放った矢に気づくのだった。


(アスカ)「姫様!!フィオナからの合図です!!」

(シルファ)「……きたのですね。この時が!!」


シルファは窓を開け、ベランダに立つ。時刻は夕方の17時になり夕陽がまぶしく感じる中、1週間前の出来事を思い出すのだった。


ーーーー1週間前ーーーー


訓練後の夕食を食べて、寮へ戻る途中、城内で3人はたまたまシルファと遭遇した日がある。これはその時の会話だ。


(ケイ)「訓練後の飯ほどうまいもんないな。」

(タイガ)「そうだな!!最近食欲がありすぎて困るくらいだ!!」

(フィオナ)「あんたら食べすぎよ!どんだけ食うのよ!」

(ケイ、タイガ)「おまえもな!!」

(フィオナ)「えっ?」

(ケイ)「えっ?じゃねーよ!米1人で10杯おかわりしてたじゃねーか。」

(タイガ)「ダントツでお前が一番食ってるぞ……」

(フィオナ)「しょ、しょうがないじゃない!お腹すくんだから!」


そんなことを話ながら歩いていた時だ。前からシルファがやってくるのに3人は気づく。


(シルファ)「皆さん!!今日も訓練お疲れ様です!」

(ケイ)「シルファ!!珍しいな!この時間会うなんて!そっちはもう仕事終わったのか?」

(シルファ)「はい!今日は思ったより早く終わりました!」

(フィオナ)「シルファも大変そうね!いつもはもう少し遅いんでしょ?」

(シルファ)「いえ……私には騎士みたいに戦う力はありませんからこういうことでしかお役にたてないです……」

(タイガ)「逆に俺は頭悪いからそっちのほうがすげーぜ。」

(フィオナ)「あ、あんたどうやってアマネセル学園合格したのよ……?」

(ケイ)「そういえばシルファって、どんなエネルギア持ってるんだ?聞いたことなかったが。」

(フィオナ)「それは気になるわね!何の能力なのよ?」

(シルファ)「わ、私ですか?そんな皆さんみたいに凄い能力じゃないですよ?他者のエネルギアの能力を一時的に上げる力を持ってます。対象は1人だけですが……」


3人は唖然とした。シルファのポテンシャルに驚いたからだ。


(ケイ、フィオナ、タイガ)「……」

(シルファ)「な、何か変なこといいましたか??」

(フィオナ)「そ、それってもしかして凄い力なんじゃ……」

(タイガ)「い、一気に戦況を変える切り札になるかもしれねーな……」

(シルファ)「えっ?!」


そんな中ケイは唐突にシルファの手を両手で握る。そしてシルファは顔を赤面するのだった。


(ケイ)「シ、シルファ!!」

(シルファ)「は、はい!!」

(ケイ)「力を貸してくれ!!」

(シルファ)「な、何をですか?!」

(ケイ)「俺達がピンチの時、その力をだ!!どうすればいい?!」

(シルファ)「た、対象の人の顔を思い浮かべれば、いつでも使えますけど……」

(フィオナ)「ちょ、ちょっとケイ!そ、その手を放しなさい!シルファ嫌がってるでしょ?!」

(ケイ)「あ、悪い!!」

(シルファ)「わ、私はむしろもっと……」

(フィオナ)「と、とにかく作戦会議よ!その力を最大限生かす方法を考えるわよ!!」

(タイガ)「おお!いいじゃねーか!4人の切り札ってわけだな?!」


ーーーーそして今に至るーーーー


(キサラ)「何をしても無駄よ!行きなさい!デーモン達!」

(ケイ)「タイガぁぁぁー!!」

(タイガ)「……輝け!ダイヤの光よ!!あとは頼む!ケイ!!」


タイガは最後の力を振り絞りハンマーをダイヤモンド化させる。そしてケイに手渡すのだった。


(ケイ)「おまえの魂、確かにうけとった!」

(アイリス)「な、何をするつもりなの?!」

(ケイ)「フィオナぁぁぁー!!」

(フィオナ)「……勝たないと許さないんだからね!はぁぁ!」


フィオナはダイヤモンド化したハンマーにさらに雷のエネルギアをまとわせる。その光の輝きは計り知れないものだった。


(アイリス)「……!!」

(ケイ)「……いくぞ!リミット解除!!うぉぉーー!!」


ケイの全身に黄金のオーラがまとう。ルーチェをすべて解放したのだ。髪は赤く染まり、風で少しなびいている。だがこれだけでは終わらなかった。その神秘的な姿でダイヤモンド化そして電撃をまとわせたハンマーを手にしながらさらにケイは叫ぶ。


(ケイ)「シルファぁぁー!!」


トラモント城の窓の外のベランダで待機していたシルファは目をつぶり願う。


(シルファ)「……ケイ。あなたに力を……。」


その瞬間だった。ケイの黄金のオーラはさらに強い光で輝き、タイガとフィオナの力が加わったハンマーはよりいっそう大きくなる。その光景はキサラとアイリスを驚愕させるのに充分だった。


(アイリス)「な、な、何なの?この力?!……これが英雄の輝きなの……?!」

(キサラ)「……な、何ですって?!」


すべての準備が整ったケイはキサラの目をまっすぐ見て宣言する。


(ケイ)「……勝負だ。キサラ。」

(キサラ)「ふ、ふざけるなぁぁー!私が負けるはずがない!負けるはずがないのよーー!!行きなさい!!デーモン達!」

(ケイ)「……この一撃は誰にも止められない。タイガ、フィオナ、そしてシルファの3人が俺に託した力でおまえを必ず倒す!!いくぞ!!」

(キサラ)「インフィニティダークネス!!!」

(ケイ)「プライドオブ……!!トラモントぉぉーーーーー!!!!」


ケイはハンマーを振り下ろし、お互い最後の攻撃がぶつかり合う。そんな中フィオナとタイガは自然と叫んでいた。


(フィオナ、タイガ)「行けぇぇーーーー!!!!」


力は圧倒的だった。まばゆく黄金に輝く光がすべてを包みこむ。その光は優しい光だった……


(キサラ)「ば、ば、かな……」


キサラは最後にそう言い残し、地面にゆっくり倒れる。そしてもう意識は失っていた。


(ケイ)「……ありがと。みんな。」

(アイリス)「……」


ケイは最後に直立しながら小さな声で感謝の言葉をつぶやく。その後ろ姿にアイリスは心を打たれたのだった……


こうしてカーラ橋での戦いはトラモント騎士の勝利となる。


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