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第43章「タイムトラベラーズ(悪夢のクリスマスイブ)」

(フィオナ)「もう!何でこんな日に任務なのよ!」

(ケイ)「まぁしょうがないさ。今日こんな人が集まる中、もし奴らが暴れたら民を誰が助けるんだ?」

(タイガ)「そうだな!まぁ3人でこうして祭りを見ながらパトロールってのもいいんじゃねーか!あと屋台の飯もちょっとくらい食べてもバレないだろ!」


今日は12月24日のクリスマス・イヴ。快晴ながら雪が少し降っている中、トラモント王国の街中で朝から盛大なお祭りが行われていた。そういうこともあり、騎士達は今日は訓練ではなく街で市民を守る警備の任務に当てられていた。パトロール中、不審な事態が起こったら城内で待機しているサンセットホープズに連絡することになっている。そして3人は今カーラ橋付近にいるのだ。


(タイガ)「し、しかしカップルだらけだな……。ま、まぁ俺は騎士だからな!任務のためしょうがないがな!任務がなかったら彼女と余裕でイチャイチャしてたさ!」

(フィオナ)「はぁ……あんた彼女なんていないでしょうが。ダサすぎるわ。」

(ケイ)「今日イブだからな。カップルは多いさ。タイガ爆発すんなよ!はは!」

(タイガ)「きょ、今日は無理そうだがお前らは明日は何か予定あんのかよ?!明日はオフらしいじゃねーか?!」

(フィオナ)「な、ないわよ!!悪い?!」

(タイガ)「ケイ!おまえは?ど、どうせないんだろ?!というかないよな!!じゃ25日3人で飲みに行こうぜ!」


フィオナはタイガの質問に激しく動揺した。この数日の間、ケイを誘いたいが勇気をだせず言えないでいたからだ。そんな中ケイは目を反らしながらタイガに答える。


(ケイ)「あー……ちょっと俺はな……そ、その日予定あるんだ。わ、わりーな。二人とも。」

(フィオナ)「な、な、な?!あ、あんた誰かと約束してるの?だ、誰よ?!」

(ケイ)「い、いや病院だよ?さ、最近ちょっと過労で体調悪くてな。……あ、ははは!」

(タイガ)「お、おまえさっき屋台のご飯めちゃくちゃ食べてたじゃねーか?!どうみても元気だろうがぁぁー!」


フィオナは後悔していた。もっと早く勇気出して誘うべきだったのだと。何しろケイはモテる。アイリス部隊は女性騎士が割合的に少し多いためよく噂になっていた。女優の母親譲りのきれいな顔にあの自信に満ちた立ち振舞い、まじめすぎず接しやすい雰囲気、そしてアイリス部隊でもサイに並んで最強の強さ。何人も狙っているのを知っていた。いったい誰?フィオナは気になってしょうがなかった。


(フィオナ)「あ、あんた顔に出やすいのよ!バレバレよ!で、結局誰なのよ!!」

(ケイ)「そ、それはプライベートの問題だろ?!」

(タイガ)「俺前から気になってたんだが、ケイ!おまえどんな女がタイプなんだ?!ちなみに俺はバインバインの巨……」

(フィオナ)「そ、そうよ!!あ、あんたもタイプくらいあるでしょ?!教えなさいよ!」

(ケイ)「タイプ?んー……明るい陰キャ?」

(タイガ)「い、意味がわからん……」

(フィオナ)「あ、相変わらずそっちのほうはダメダメなのね……」

(ケイ)「な、なんだよ!」


そんな会話をしながらパトロールが続き正午になる。そしてケイへ予期していなかった電話がかかってきた。それはアイリスからだった。


(ケイ)「アイリスからだ!何だ?」

(アイリス)「ケイ!!今タイガとフィオナと一緒よね?!大変なの!!奴らがきたのよ!!今3人のタイムトラベラーズがヘリオス広場付近で暴れてるらしいの!!今そっちは対タイムトラベラーズ特別部隊の何人か戦ってるわ!」

(タイガ)「何?!すぐ援護に向かう!!」

(アイリス)「ダメよ!今あなたたちカーラ橋のパトロール中よね!?あと1分で……」


そうアイリスが言いかけた時だった。すさまじい爆発音と共に、悲鳴が溢れかえったのだった。


(フィオナ)「な、何?!爆発?!」

(アイリス)「くっ!間に合わなかった……時限爆弾よ!!まずは市民を安全なところへ!私もカーラ橋向かうわ!!」


爆発によりパニックになっている市民は、ケイ、タイガ、フィオナの指示を聞こうとしなかった。誰もが自分が先ににげようと必死だった。


(ケイ)「くそ!ダメだ!!俺達の声が届かねー!」

(タイガ)「みんなパニックなってやがる!!」


そんな絶望的な状況にやってきたのは宙に浮いているタイムトラベラーズと思わしき5名だった。男が2名、女が3人。数では不利である。


(キサラ)「ボスからの命令よ!!暴れて騎士たちを呼び寄せろと!いくわよ!アイザム、ジャック、マリア、オリアナ!!私が悪魔を召還するまで時間稼ぎなさい!」

(アイザム)「キサラ!まってたぜぇ!だかなぁ!おまえが悪魔召喚するまでには民はみんなあの世いきかもなぁぁー!」

(マリア)「そしたらその悪魔は民が集まる他の場所へへ向かうので無駄ではありませんよ!アイザム!」

(ジャック)「あぁぁー!早く殺してー!殺して殺して、この橋を血の色に変えてやるよぉぉー!」

(マリア)「まずは私から行きましょう。裁きの時。ジャッジメントアロー!!」


マリアは上空から黒いオーラをまとった弓矢を無数に放つ。そして逃げまとう市民はその矢にあたると石化していくのだった。それをみた市民はますますパニックになる。


(ケイ)「や、やめろぉぉー!」

(タイガ)「関係ねー市民を巻き込むんじゃねーよ!!」

(フィオナ)「ケイ、タイガ!遠距離なら私に任せて!!空中に浮いているのはあいつのおかげね!必殺必中!!ターミガンアロー!!」


フィオナは雷をまとった矢を放つ。その攻撃はオリアナなという女に見事命中するのだった。


(オリアナ)「きゃああーー!!い、痛いーー!!おのれぇぇー!」


オリアナに命中したことで5人は地上に着地する。その一方でケイ、フィオナ、タイガは敵がいる位置に走って向かうのだった。市民がタイムトラベラーズから離れて行くなか、3人は敵と対面するのだった。


(キサラ)「あなたたち、トラモントの騎士なの?ずいぶん若いわねー!私キサラ!まぁ自己紹介する必要はなかったかな。どうせここで死ぬしね。」

(フィオナ)「あなたがキサラね!あなたたちを拘束させてもらうわ!」

(アイザム)「ふははは!こいつ俺達に勝つつもりだぜ!!ジャック!!」

(ジャック)「ああ!!希望にあふれた顔から絶望の顔に変わる瞬間が楽しみだぜぇ!!」

(タイガ)「あんま俺達を甘くみないほうがいいぞ。同じようなことをアッシュも言ってたが返り討ちにしてるからな。」

(オリアナ)「まぁ戦ってみればわかることね!いくわよ!」

(ケイ)「フィオナ、タイガ!まずキサラからだ!」

(フィオナ)「わかってるわ!」

(アイザム)「おっとそうはさせねーよぉ?!」

(タイガ)「くっ!」

(ケイ)「仕方ない!4人から片付けるぞ!!」


4人がキサラの前方での戦闘態勢をとったことでケイはアイザムとマリア、タイガはジャック、フィオナはオリアナと戦うことになるのだった。キサラは後方で悪魔召喚のためエネルギアを集中していた。


(ケイ)「いくぞ!黄金に輝けぇぇーー!トラモントの光よーー!」


ケイはルーチェを両腕に集中させる。その輝きは入隊した頃よりもはるかに密度が高く、無駄のない力強い光だった。


(アイザム)「……その若さでその緻密なコントロール。へへ!ここで死ぬのはもったいねぇぇーな!ライトアーム!!」

(マリア)「アイザム!私も援護します!」


アイザムはそう叫ぶとケイの前に俊足のスピードで接近する。


(ケイ)「は、速い!!」

(アイザム)「スイッチ!!ベビーアーム!!くらえぇぇ!デスインパクトぉぉー!!」

(ケイ)「くっ!」


ケイはなんとかアイザムの一撃をかわすが、今度はマリアのジャッジメントアローが襲ってくるのだった。


(ケイ)「それはさっきみた!!」

(マリア)「これもかわすとは……逃げ足と反射神経だけは誉めて差し上げます。」

(ケイ)「なるほどな!アイザム!おまえの能力は質量変化だな。自身を体を極限まで軽量化し接近、そのあとの攻撃は瞬間的に重量化したわけだな。そしてさっきもみたがマリアは石化の能力だな。」

(アイザム)「ほう……たった一発で見抜くとはな。」

(マリア)「初めに市民に使ってみせたのは間違いだったようですね。」

(ケイ)「今度はこっちからいくぞ!はぁぁ!」


ケイは地面を右拳で叩きつけることで空中に高く跳躍、そして逆さの態勢になり黄金の拳を下に向ける。そのまま地上にいるマリアに向かって空中で回転しながら突撃するのだった。


(ケイ)「貫けぇぇーー!流星群ーー!!」

(マリア)「上空からの攻撃とは愚かな!的になるだけです!石化しなさい!ジャッジメントアロー5連弾!!」


マリアは勝利を確信しながら矢を放つ。そして攻撃はケイに直撃するのだった。しかし予想とは違う結果となる。石化しなかったのだ。


(マリア)「な、なぜ石化しないのですか?!ぎゃああー!!」


マリアは黄金に輝く強化した拳の一撃を顔にモロにくらう。そして地面に激しくうちつけられ気絶するのだった。


(ケイ)「おまえの石化の矢はなんでも石化できるわけじゃない。さっき市民に攻撃した無数の矢のうち3本が偶然相殺されてたのみたからな。おそらくジャッチメントアローよりエネルギア量が多いものなら相殺できるんだろ?」

(アイザム)「あの一瞬で……おまえぇー!おもしれーじゃねーか!だが俺には勝てねーなぁ!!」


そういってアイザムはまたしてもケイのふところへライトアームで高速接近する。そしてベビーアームに切り替えるのだった。


(アイザム)「今度こそくらえぇぇー!デスインパクトぉぉー!」

(ケイ)「おまえも二回同じ技が俺に通じると思ってんじゃねー!!」


今度はケイは余裕を持ってかわす。そしてアイザムのみぞおちにルーチェをまとった右拳のカウンターを決めるのだった。


(アイザム)「ぐぅおおーー!!な、なぜかわせる?このトップスピードからの一撃を!!」

(ケイ)「動きに無駄が多いからだ。それとな!おまえの弱点はベビーアームからライトアームへの切り替えが若干遅いことだ!弱点があるようじゃ俺には勝てん!!いくぞ!!トドメだ!ルミナスフィストぉぉー!!」


ケイの一撃がアイザムの顎にクリーンヒットする。すさまじい威力だったため体は吹き飛び上空を舞う。そして地上に叩きつけられた頃には意識がなかった。それをみたケイは呟く。


(ケイ)「サイさん……ありがとうございました。俺強くなれました……」


こうしてケイはアイザムとマリアに勝利するのだった。

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