第41章「再会」
(ケイ)「そこだぁぁー!」
(サイ)「くっ……!」
ケイはサイとの訓練から早1ヶ月たった頃、完璧にトラモント式格闘術を使いこなせるようになっていた。ムーンアイランドの任務の後も、着実に様々な任務をこなし実践経験を得た今、入隊した時と比べて明らかに強さの次元が違った。
(ケイ)「よし!」
(サイ)「……まさか入隊1ヶ月で俺に勝つとはな!正直これほどとは思わなかったぞ。」
意外にも負けたサイは嬉しそうだった。教え子の成長を心から喜んでいるようだ。
(ケイ)「サイさんの教え方がいいからですよ!それにフィオナやタイガに負けられないので!」
(サイ)「ふっ……!おまえなら目指せるかもな!」
(ケイ)「何をですか?」
(サイ)「次期サンセットホープズだ。」
ケイは一瞬驚くが、サイの目を真っ直ぐみて、決意を口にする。
(ケイ)「……サイさん。俺サンセットホープズを超えるつもりです。そして姫様にとっての英雄になります。」
(サイ)「……そうか!」
この男なら本当に英雄になるかもしれない、そうサイは思うのだった。それからケイは思い出したかのようにサイに尋ねる。
(ケイ)「そういえば!今日の午後って……」
(サイ)「ああ。対タイムトラベラーズ特別部隊の発表日だな。12時にメールで連絡がくる。そして選抜されたものは今日全員13時にトラモント訓練場に集合だそうだ。」
(ケイ)「入隊1ヶ月の俺達は選ばれないでしょうがね……」
(サイ)「それはどうかな?それはアイリス様が決めることだ。」
タイムトラベラーズの野望が明らかになってから、緊急に結成が決まった計100人のエリート部隊、それが対タイムトラベラーズ特別部隊である。選抜されるのは各部隊から任務実績、戦闘力といった面で優れた人材20名ずつである。
そうして午前中の訓練が終わり、正午前となる。ケイはフィオナ、タイガと合流し食事処でランチを食べていた。
(タイガ)「……そろそろだな!!な、なんか緊張するぜーー!!」
(フィオナ)「さ、さすがに入隊1ヶ月で私達が選ばれることはないわよ!」
(ケイ)「お!メールきたぞ!」
そうして3人はメールを開く。その結果はなんと3人とも選抜されていたのだった。
(フィオナ)「えぇぇー!!」
(タイガ)「ま、まじかぁーー!」
(ケイ)「ま、まさかだとは思ったが……本当に!」
(フィオナ)「信じられない……ってことは13時にトラモント訓練場集合よね?」
(タイガ)「ああ!どんな奴らがいるか楽しみだぜ!」
ランチを済ませ少し休憩した後、3人は集合場所へと向かった。そして13時の15分前にトラモント訓練場に着いた3人は、緊張した様子で周りをみる。そんな中、最初に話かけてきたのはチームプレシャスの3人だった。
(ルナ)「久しぶりだな!チームネクサス!大会以来か?」
(ケイ)「久しぶりです。やっぱり先輩達も選ばれてたんですね。」
(ボルグ)「ああ!俺達はジョーカーの部隊で選抜された。そっちはアイリス部隊だったな。」
(タイガ)「そうっすね!しっかしまさか入隊1ヶ月で選ばれるとは思わなかったですよ!」
(クルミ)「わ、私達以外にもチームグローリーも全員選抜されたみたいですよ!チームオーシャンはダメだったみたいですが……」
(フィオナ)「へぇ……みんな大体それぞれの部隊でしっかり結果だしてきたんですね!なんか嬉しいです!」
そんな会話が終わると今度はチームグローリーがこちらに集まってくる。3人とも自信に満ちた表情をしていた。
(ウル)「やぁ!ケイ!久しぶり!」
(ケイ)「ウル!!」
(アラン)「どうやらおまえらも選ばれたようだな。」
(タイガ)「ああ!そっちはロイ部隊だったよな?腕はあげたのか?!」
(グレン)「もちろんだ!それに新人の中でも任務をこなした数は僕たちチームグローリーがトップみたいだしね!」
(フィオナ)「ふふ!私達も負けてないわよ!この前のムーンアイランドの任務頑張ったんだから!」
(ウル)「そういえば!君たち戦ったんだよね?タイムトラベラーズと!」
(ケイ)「ああ!3人と戦ったよ!アッシュ、バジル、エクセレンって奴らと。まぁ、なんとかギリギリ勝利したがな……」
(アラン)「そのことだがな、俺達も戦ったんだぜ。2人とな!」
(フィオナ)「そうなの?!」
(グレン)「ああ!ある任務中ダイナ、ヘイズって男達と戦ったよ。危うく死にかけたけど、なんとかね。」
(タイガ)「そうだったのか……」
(ウル)「そういえば君たちは気づいているかい?彼らが何人いるか。」
(フィオナ)「えっ?」
(グレン)「26人さ。なぜかというと彼らのコードネームだよ。」
(ケイ)「名前のイニシャルのアルファベッドだな?」
(タイガ)「そうか!!アッシュはA、バジルはB、エクセレンはEだ!」
(アラン)「そして俺達が戦ったのはDのダイナ、Hのヘイズだ。」
(フィオナ)「ってことは、あと21人なのね!!数ではこっちが圧倒的に有利ね!!」
(ケイ)「……そうだといいんだがな。」
そして集合時間の13時となる。選抜された騎士達は緊張した様子でトラモント訓練場にやってきたサンセットホープズ5人に注目するのだった。沈黙を破ったのはリーダーのロイだった。
(ロイ)「よし!どうやらみんな集まったな!では早速議題に入らせてもらう!まずタイムトラベラーズの目的だが、皆はもう聞いているはずだ!もしそうなったら過去は大きく変わり、今のこの世界は消滅するだろう!!今日集まったメンバーはその脅威に対抗するために俺達が選んだ国の最高戦力だ!残り約1900人の騎士は市民の安全を最優先に任務にあたるだろう。したがってこの世界の存亡は俺達にかかっているといっても過言ではない!そして国王より伝言だ!今日からタイムトラベラーズとの決着が着くまでの期間限定だがこのメンバーで合同訓練を行うこととなった!!」
(アイリス)「各々の力を高めるのももちろんだけど、連携したコンビネーションの攻撃を身につけてほしい!1人じゃ絶対に奴らには勝てない!」
(ジョーカー)「奴らはたった21人!だが調査したところキサラという女が恐ろしい能力を持っていることがわかった!」
(アクア)「それは人工精霊を生み出す力!!この世には存在しない天使や悪魔、幻獣など自由自在に召還することができるみたいなの!!もし大量に生成されたら21人どころではないわ!!」
(ロイ)「だから油断は絶対するな!!奴らが襲ってくるまで、最善の準備をしておくように!!では早速合同訓練だ!!各自練習試合を申し込め!!」
こうしてミーティングが終わる。100人の騎士は絶対に負けないという想いを胸に合同訓練に取り組み始めるのだった。




