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第40章「初恋」

(ケイ)「今日は土曜日!やっと休みだな!」


ムーンアイランドの任務が終わり、今日はオフの日だった。今日は天気も最高だし1人で街中をぶらぶらしよう、そう決め寮の外へ出る。まずケイが向かったのはトラモント王国で一番大きなヴィクトワール美術館だった。その理由は前にとあるコンクールで最優秀賞をとった自分の絵画が飾られているからだった。まだ自分の作品が飾られているのを見ていなかったため楽しみにしていた。


(ケイ)「着いたけど……まじか。こんなデカい美術館に飾られてるのかよ……」


こんな立派な美術館に本当に自分の作品が飾られてるのだろうか、そう思いながら館内を歩いていく。

そして自分の作品が飾られている場所に到着するのだった。


(ケイ)「……本当に飾られているんだな!」


そう確認していると、自分の作品をじっくり観賞している人がいることにきづいた。そしてその後ろ姿は見覚えがあった。そういうわけでケイは近づき声をかける。


(ケイ)「アイリス?!」

(アイリス)「えっ?!ケイ!!」

(ケイ)「どうしてここに?!」

(アイリス)「どうしてってオフで美術館でも行こうかなって!あなたもなの?」

(ケイ)「ああ!偶然だな!!何かいい作品あったか?!」

(アイリス)「今目の前にあるこの絵画が一番ね。どんな人が描いたのかしらね……でも優しい人なんだろうなとは思うわ。」


そんな風に誉めるアイリスにケイは恥ずかしそうに言う。


(ケイ)「……それ俺の作品だぞ?!」

(アイリス)「えっ?!」


アイリスは驚いているようだった。嘘でしょ?という顔をしていた。


(ケイ)「俺は自分の作品がここに飾られていると聞いて、それを確認したくてきたんだ。」

(アイリス)「ケ、ケイにそんな意外な特技があったなんてね。びっくりだわ……。」

(ケイ)「でもありがとな!アイリス!自分の作品が一番って言ってくれて嬉しいよ。」


本当に純粋に嬉しそうな顔で自分にお礼を言うケイにアイリスはドキっとするのだった。それは男子と二人きりが初めてだったアイリスには刺激が強かったのだ。


(アイリス)「そ、そんな顔で笑うのね……」

(ケイ)「ん?任務中は基本的には笑わないようにしてるからな。集中したいし。」

(アイリス)「へ、へぇ……そういえば今日オフでケイも暇なのよね?」

(ケイ)「ああ!特に予定はないが……」

(アイリス)「だったらパーって遊ばない?!この前大きい任務の山場乗り切ったしさ!」

(ケイ)「そうだな!!じゃフィオナとタイガも呼ぶか?あいつらも部屋で暇してそうだし!」


そうね!よびましょ!そう答えるつもりだった。しかしなぜか自分でもわからないが違う答えを出してしまうのだった。


(アイリス)「……い、今からだと準備とか時間かかっちゃうし、もうしょうがないから二人でいいんじゃないかしら?!」

(ケイ)「まぁ、そうだな!!じゃ二人で遊ぶか!なんか新鮮だな。」

(アイリス)「そ、そうね!ぶ、部隊のメンバーのことを知ることも大切だしね!じゃ行きましょ!お姉さんについてきなさい!!」


そういってケイが連れて行かれたのは最近できたばかりの水族館だった。


(ケイ)「水族館とか人生ではじめてだ……」

(アイリス)「そ、そうなの?!」

(ケイ)「いや、だって普通カップルがいくとこだろ?」

(アイリス)「な、な、何言ってるの!?今はそ、そんなことないわよ!」

(ケイ)「そ、そうなのか?とりあえず中に入ろう!」


アイリスは顔を真っ赤にしながら、ケイと水族館に入館するのだった。


(ケイ)「お、みろよ!珍しいぜ!この魚!」

(アイリス)「そうね!釣りにはたまに行くけどつれたことないわね!」

(ケイ)「いやでも食べれないだろ。つれても!」

(アイリス)「あはは!あんた魚は食べることしか考えてないのね!」


楽しくてドキドキする。こんな気持ちはアイリスは初めてだった。この気持ちはなんだろう。そんなことを考えながら館内を歩いていたときだった。


(アイリス)「ねぇ!!あと3分でイルカショーが始まるみたいよ!いきましょ?!」

(ケイ)「へぇ!そうだな!」


そしてイルカショーが行われる場所につく。席はどうやら一番前しかあいてないようだった。


(アイリス)「もしかしたらずぶ濡れなっちゃうかもね!!まぁ私はケイを盾にするから助かるけど!」

(ケイ)「な、なんてやつだ……」


それからとうとうショーが始まるのだった。しかしここで二人は予想していなかった人物と遭遇することになる。ショーを担当するスタッフ、それは……


(アクア)「みなさーん!こんにちはー!今日ショーを担当します!!アクアでーす!!是非私とイルカの水のイリュージョンをたのしんでねー!」

(アイリス)「アクア?!」 


観客席が拍手、声援をおくるなかアクアはアイリスとケイと目があう。アクアは気づいた瞬間、へぇ……といった顔でニヤニヤと笑う。


(ケイ)「まさか!ア、アクアがショーをするなんて!」

(アイリス)「ま、まずい……シルファに伝わったら……」


そんな中ショーは行われていく。派手なパフォーマンスで観客は大盛り上りだった。


(アクア)「みなさーん!次が最後のパフォーマンスです!イルカ達が今日一番高く飛び上がりまーす!!さぁ!ジャンプよー!!」


そういってイルカ達は大ジャンプする。その結果水しぶきがアイリスを襲う。そんな時だった。


(ケイ)「っアイリス!!俺に隠れろ!!」

(アイリス)「えっ……?」


ケイがアイリスを襲う水しぶきをガードし、ケイが頭からずぶ濡れになるのだった。そんな中、彼は笑うのだった。


(ケイ)「ぷっ!あっはは!!濡れた濡れた!アイリス!大丈夫だったか?!」


黒髪から水滴が落ち、服は水しぶきでピタッと体に張りつき、引き締まった筋肉が服の上から露になる。爽やかな笑顔とその色気にアイリスは胸の鼓動が止まらなかった。そして彼の顔をもうまともに見れなかった。目をそらしながらアイリスは答える。


(アイリス)「……え、ええ。大丈夫よ……ありがと。」


その後水族館の出口で熱を操るエネルギアを持つスタッフのもとへ行き、全身を乾かしてもらい、水族館を後にしたのだった。


(ケイ)「ああ!楽しかった!!でもアクアがいるとはな。」

(アイリス)「そ、そうね!ちょっとヤバいかも……」

(ケイ)「そ、そうなのか?」

(アイリス)「そ、それよりもう14時ね!ご飯たべましょ!!ねぇ!ケイって昼飲みいけるタイプ?!」

(ケイ)「いやしたことはないな?!興味はあるがな。」

(アイリス)「じゃあ今から夕陽処に行きましょ!!」

(ケイ)「お!いいな!今日は初めてのことばかりで楽しいな。」

(アイリス)「えっ……?!い、行くわよ!」


アイリスは照れながらケイと一緒に夕陽処へ向かうのだった。


(ミマ)「いらっしゃいー!!おや!今日は珍しい組み合わせだね!」

(ケイ)「2名なんだが空いてるか?」

(ミマ)「大丈夫よ!この時間比較的すいてるから個室案内するわ!」


そういってケイとアイリスは席につき、先に注文するのだった。ミマがいなくなった後アイリスは気になったことを聞く。


(アイリス)「そういえばシルファが前にここにきたのよね?あの子大丈夫だった?」

(ケイ)「……暴走してあの時はびっくりしたな。」

(アイリス)「あはは!大分シルファが気にしてたからね!!私は大丈夫だから安心して!」


そうしてミマがテーブルにお酒と食べ物を並べ終えたところでアイリスは乾杯の音頭をとる。


(アイリス)「ムーンアイランドの任務お疲れ様ー!!かんぱーいーー!!」

(ケイ)「かんぱーい!!」


その後アイリスは楽しくなったのか、凄まじい勢いで飲んでいく。その結果2時間後には明らかに様子がおかしかった。顔は真っ赤にしてベロンベロンに酔っぱらった姿だった。


(アイリス)「ケイぃぃー!飲んでるかぁ?!ほれほれー!」

(ケイ)「うわっ!おまえもかよ!」

(アイリス)「えへへー!ねねぇー!聞きたいんだけどさぁーー!?」

(ケイ)「な、何だよ?!」

(アイリス)「シルファとはどこまでしたのぉー?!」

(ケイ)「ぶっ!ど、どこまでって……!!」

(アイリス)「わーたし、知ってるのよぉー?キスしたんでしょー?」

(ケイ)「な、何のことか……はは」

(アイリス)「教えなさいよぉーー!」


そして見事にアイリスが泥酔してつぶれた後、ケイはアイリスをおんぶして店をでるのだった。とりあえず近くの海沿いのベンチまで運ぶ。二人以外は誰もいなかった。


(ケイ)「アイリスも酒弱いんだな。ふふ!なんか意外な一面見れて楽しかった。」


ベンチで待つこと2時間、もうすっかり夜になり月明かりが指す頃アイリスは目をさます。


(アイリス)「ん……あれ?!私!!」

(ケイ)「飲みすぎてつぶれたんだぜ。そしてここまでおんぶして運んできた。大丈夫か?」

(アイリス)「ご、ごめん!!」


アイリスは申し訳なさそうにそう呟くが、ケイは全く気にしていない様子だった。


(ケイ)「アイリス!おまえ寝顔かわいいんだな。」

(アイリス)「なぁぁ!」

(ケイ)「はは!今日は楽しかったよ!」

(アイリス)「わ、私も楽しかった!こ、こんなの初めて……」

(ケイ)「俺よかったよ!アイリスの部隊に入れて!毎日が明るくて楽しくて!それはおまえが誰よりも仲間想いで優しいからだと思う。だからありがとう。」


優しい眼差しでそういう彼にアイリスは目がはなせなかった。続けて彼は言う。


(ケイ)「それと月の光系統のエネルギアって約10年に1人か2人なんだろ?じゃあ俺はアイリスと一緒の世代だな。何か運命的な出会いなのかもな!はは!なーんて!」


とんでもない冗談をかますケイにアイリスは胸の鼓動が高鳴る。そんな中アイリスは勇気をだして、あるお願いをする。


(アイリス)「……ねぇ!今日の最後にお願いがあるの!」

(ケイ)「ん?なんだ?」

(アイリス)「私酔っぱらってて歩けないの。だからあなたのミカヅキの羽で私を家まで送ってほしいの……今なら誰もいないしバレないから」

(ケイ)「……わかった。」


そうしてケイは全身が青白いオーラに包まれ、4枚の羽が姿を現す。そしてアイリスをお姫様抱っこをして飛翔するのだった。


(アイリス)「月がこんなに近いなんて……」

(ケイ)「……美しいだろ?」

(アイリス)「……うん。ケイほどじゃないけどね……」


そんな夢のような時間が過ぎ、アイリスは家に無事つく。最後までケイは優しかった。アイリスは家に入りベッドに倒れながら呟く。


(アイリス)「どうしよう。親友の好きなひとを好きになっちゃった。絶対好きになっちゃいけなかったのに!……私どうしよう!シルファ!」


こうしてアイリスは生まれて初めて恋をするのだった。

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