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第39章「ミカヅキの羽の秘密」

(ケイ)「ん……ここは?」

(シルファ)「あ!ケイ!!」


ケイは辺りを見渡す。そこにはシルファ、フィオナ、タイガ、アイリスが側にいた。どうやらトラモント城のどこか空き部屋のベッドで寝ていたらしい。窓の外から見える太陽が眩しかった。


(フィオナ)「やっと起きたわね!こっちの世界まで運ぶの大変だったのよ!」

(タイガ)「おまえ昨日丸一日寝てたんだぜ?まぁ頑張ったから許してやるがな!」

(アイリス)「ケイには驚かされてばかりよ……まったく。」


言いたいことをぶつける3人にケイは反応する。


(ケイ)「あのあとどうなったんだ?」

(アイリス)「島では集落の復興で大忙しみたい。死傷者の数もかなり多かったみたいよ……」

(ケイ)「……そうか。」

(フィオナ)「捕まえた3人は護送中に亡くなったわ。負けた時に発動する毒系統のエネルギアをかけられてたみたい。情報の口止めってことね。」


フィオナの一言の後しばらく沈黙となるが、その後ケイは確信した表情で皆をみて言う。


(ケイ)「だがあいつらの目的ははっきりした。」

(タイガ)「ああ!だからアスカって子はこっちの世界にしばらくいることになった。『時の因子』ってことがわかったからな。俺達が守ることになったんだ。」

(ケイ)「俺も賛成だ。その考え。」


そんな中シルファは心配そうにケイを見つめていた。その表情は不安に満ちていた。


(シルファ)「あの!タイガさんからききました。タイムトラベラーズの目的を……世界の存続をかけた戦いになるのですね……ケイ、無茶しないで下さいね。」

(ケイ)「シルファ。心配するな。必ずやつらの野望を阻止してみせるさ。あんたの笑顔もっとみたいからな。」


ケイは不安にさせまいとニカっと白い歯をみせて笑顔でシルファにそう答える。シルファは少し顔を赤らめて目をそらすのだった。


(シルファ)「は、はい……!ず、ずっと私も応援しますね!」

(フィオナ)「そ、そこ!イチャイチャしないー!もう元気でしょ!?」

(タイガ)「くぅぅー!なんでケイばかりぃぃー!ぐぬぬ!」

(ケイ)「ちょ、ちょっとお前ら!服引っ張るな!い、痛てー!!」


フィオナとタイガはこうしてケイをベッドから引きずり落とし、3人で部屋を後にするのだった。残ったシルファとアイリスは顔を合わせてクスッと笑うのだった。



こうしてバタバタした一日が始まり通常通り訓練をこなしていく。そして夜の時間にあっという間になり、3人はムーンアイランドでの戦いを振り返りながら夕食を食べていた。


(タイガ)「しかしタイムトラベラーズってどれくらいの規模なんだろうな?あんなアッシュみたいな化け物がまだまだいるんじゃたまったもんじゃないぜ!なぁ!ケイ!」

(ケイ)「ああ!まるでサイと戦っている気分だったな……あの強さは!タイガがいなかったら確実に殺されていた。」

(フィオナ)「私なんて負けたのよ!まだまだ全然訓練で学んだことを発揮できなかったわ……あの時ケイがいなかったら確実にアスカは拐われていた。」

(タイガ)「そういえばケイ!あの羽何なんだ?おまえの能力は肉体強化じゃねーのかよ?」


タイガのその質問に答えるのは、歩いてこちらにやってきたアイリスだった。


(アイリス)「ケイは2つの光系統のエネルギアを持ってるみたい。太陽と月の。信じられないけどね。」

(ケイ)「アイリス!」

(フィオナ)「それどういうことなの?!普通1つしかエネルギアは発現しないじゃない?!」

(アイリス)「きっとトラモント王国生まれの父親とムーンアイランド生まれの姫様とのハーフってのが関係してるわね。異なる次元の世界の血が混ざったことで遺伝子に突然変異が起きたっていうのが私の仮説。しかもどっちも光系統。世界に1人しかいないかもね。」

(ケイ)「2つ能力があると知られたら騒ぎになるだろ?だから隠してたんだ。すまん。」

(アイリス)「賢明な判断よ。普段は月の光系統のエネルギアは使わない方がいいわ。」

(フィオナ)「だけどあの羽はいったい何なの?」

(タイガ)「ただの飛行能力じゃないのか?」

(ケイ)「それは違う。それだけではないんだ。」

(フィオナ)「えっ?」

(アイリス)「……あれは『ミカヅキの羽』……でしょ?」


ケイはアイリスに向かってうなずく。


(ケイ)「あれは母から受け継いだ力だが飛行能力だけじゃないんだ。肉体強化に加え、青白いオーラをまとった部分に触れさえすれば対象のエネルギアを打ち消すことができるんだ。」

(タイガ)「な、なにぃぃー?!」

(フィオナ)「で、でもそれじゃあの時の現象に説明つかないわ。エクセレンに触れたあと、彼はそのまま落下したけど、もう一度体勢を立て直して飛べたはずじゃ……」

(アイリス)「……それは無理ね。そうでしょ?ケイ。」

(ケイ)「ああ。対象に直接触れた場合、月が出ている間はそのエネルギアが発動できなくなるのさ。だから常に夜のムーンアイランドでは無敵の力だな。」

(タイガ)「反則だろ……。そんなの……。」

(フィオナ)「……条件を満たせば誰もケイにはかてないってこと……?」

(アイリス)「そう。まさに『月の王』にふさわしい力なの。だからあなたの母親は危険とみなされ、トラモント王国で殺されたのね。やつらに。」 

(ケイ)「そうだ。弱点もある。普通の物理攻撃は防げないし、エネルギア消費量が半端ないんだ。だから長い間あの姿では戦えないのさ。」

(フィオナ)「そうなのね……」

(タイガ)「とりあえずあまり人目にはつかせないほうがいいな!その力!大事な時に使え!切り札として!」

(ケイ)「ああ!そうするよ!周りには内緒で頼む。シルファにも。」


こうして『ミカヅキの羽』は4人だけの秘密となるのだった。


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エピソード1から40まで読んでの感想です。戯曲形式の書き方をしているので、会話をサクサク読みやすいです。ただ、説明的な台詞が多く、ト書きで処理したほうがいいと思える部分もあり、もうちょっと読み手に優し…
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