第37章「ムーンアイランド(フィオナの想い)」
(アイリス)「じゃあ!3つに手分けして情報収集しましょ!私は森の探索、タイガは集落の聞き込み、ケイとフィオナは海岸沿いの調査お願い!」
(ケイ、フィオナ、タイガ)「了解!!」
4人はそれぞれ別れて行動することとなる。そんな中ケイとフィオナは気まずい空気のまま歩いていき、目的地に到着するのだった。
(ケイ)「……」
(フィオナ)「……」
しばらく沈黙が続いたが、フィオナからあの日の夜について切り出す。
(フィオナ)「……何でなのよ。」
(ケイ)「……何が?」
(フィオナ)「何がって!!シルファとキスしたじゃない!!シルファはあんたが好き!それなのにあんたは何も言わない。何ではっきりしないのよ!!」
フィオナは怒鳴りながら、ケイを見つめる。ケイはそんなフィオナにこう答える。その目は悲しそうだった。
(ケイ)「……俺怖いんだ。大切な人がまたいなくなるのが。両親みたいに。」
(フィオナ)「えっ……?」
(ケイ)「もし俺が本当にシルファを好きになって、目の前からいなくなったら……そんなことになったら俺は耐えられない……」
海岸には二人以外誰もいないようだった。月明かりが海を照らし、さざ波の音が心地よかった。そんな中フィオナは目に涙を浮かべながらケイに自分の想いを伝える。
(フィオナ)「……私なら絶対ケイの前からいなくならないわよ……。」
(ケイ)「……えっ?」
(フィオナ)「だから……だから!シルファじゃなくて私にしなさいよ!!あんたは私がいないとダメなんだから!!」
(ケイ)「フィ、フィオナ!何いって……」
(フィオナ)「好きなの!!ケイが好き!どうしようもないくらい……好き。」
(ケイ)「!!」
フィオナはずっと隠していたこの想いをはっきり伝えるのだった。ケイは目を見開き、フィオナに何か言おうとする。
(ケイ)「……フィオナ!俺は……!!」
(フィオナ)「言わないで!!……わかってるから!あんたが今はまだ恋愛に怖がっているのが!!」
(ケイ)「……だから、だからあんたの気持ちにちゃんと決着が着いたら返事しなさいよ……」
フィオナは顔を真っ赤にして、下を向いていた。そんな彼女にケイは優しく微笑みながら告げる。
(ケイ)「ああ!わかったよ!ありがとう。フィオナ!」
(フィオナ)「うん……!」
こうしてお互い言いたいことを言い合った二人はその後海岸沿いを歩いていくと、不思議な音が聞こえた。二人は誰かが楽器を演奏していることに気づく。
(ケイ)「フルートの音か??」
(フィオナ)「ねえ!あそこに小さい女の子がいるわ!いってみましょ!」
こうしてケイ、フィオナはフルートを弾く少女のもとへ向かう。弾いていたのはまだ6、7歳くらいの黒髪が特徴の少女だった。
(フィオナ)「こんばんは!フルート上手いわね!」
(???)「……お姉さんたち誰ですか?」
(ケイ)「俺達は任務できた騎士だ。悪者の調査ってとこだな。」
(???)「ふーん……ちょっと触りますね。」
(フィオナ)「えっ?」
そういって少女はケイの手を握る。そして目をつぶり青白いオーラをまとうのだった。
(???)「……本当みたい。タイムトラベラーズって組織追ってるんですね。」
(ケイ)「何っ?!」
(フィオナ)「ど、どうしてわかるのよ!」
(???)「私少しだけだけど『時』を操れるんです。過去限定ですけど。触れたものを数秒前の状態に戻したり、過去の出来事を知ることができます。」
ケイとフィオナは顔を合わせる。お互い考えることは一緒だった。
(フィオナ)「そ、それって時を操れるエネルギアじゃない!あ、あなた名前は?私はフィオナ!こっちはケイ!」
(???)「アスカ=フィーベルです。」
(ケイ)「アスカ!もしかしたら君は危険かもしれない。」
(アスカ)「そうかも知れないですね。あなたの記憶を遡ってみたところ、タイムトラベラーズは『時の因子』というものを探してるんですよね。この島で『時』を操れるのは私だけですから……」
(フィオナ)「アスカ!よかったら護衛させてもらえないかしら!あなたを彼らに渡すわけにはいかないの。世界の破滅を防ぐためにもね!」
(アスカ)「……いいんですか?」
(ケイ)「ああ!もちろんだ。君は俺らが必ず守る!」
こうしてアスカと合流して、10分くらいたったころだった。タイガから急に電話がきていた。
(ケイ)「ん?タイガから電話だ!」
(フィオナ)「でていいわよ!」
(ケイ)「もしもしタ……」
(タイガ)「ケイ、フィオナ!!いますぐこっちにこい!!集落で『時の因子』を探して、やつらが暴れてる!!早く援護にこい!!アイリスには連絡はつけてある!頼む!」
(ケイ)「ま、まさか!向こうからおでましとは!!」
(フィオナ)「こ、このタイミングで!なんで?!……でも幸運だったわ!!先に合流したの私達みたいね!アスカ!今から私達の仲間と合流するわ!ついてきて!!」
(アスカ)「は、はい……!」
こうして3人はタイガのもとへ急いで向かうのだった。




