第36章「ムーンアイランド(決心)」
集落へ到着するとケイ、フィオナ、タイガは驚きの声をあげた。
(タイガ)「な、なんだ?!ここは!」
(フィオナ)「提灯が沢山!!屋台もあるわ!お祭りみたいね!」
(ケイ)「それにみんな変わった服装をしているな!」
(アイリス)「毎日お祭りがあるのよ!そしてあれは『浴衣』という服。『月の民』は伝統であの服を着る文化があるのよ。私達もこの服装だと目立つし『浴衣』を買って着替えましょ。」
こうして4人は浴衣を近くの浴衣屋に行き、それぞれ購入する。幸いにも通貨はトラモント王国と共通だった。
(アイリス)「いいじゃない!!みんな似合うわね!」
(フィオナ)「そ、そうかしら?!」
(タイガ)「なんかこんな服、新鮮だな!」
(ケイ)「普段はきることないもんな!」
(アイリス)「じゃあ着替えも終わったし情報収集いきましょ!」
(ケイ)「まずはどこにいくんだ?」
(アイリス)「長の所よ!」
こうして4人は長のもとへ向かうこととなる。屋台を抜け、民家が沢山並ぶ中、ひときわ大きな城に近い建造物へとたどり着いたのだった。門の前には1人の門番が立っていた。
(門番)「失礼ですが、ここから先は関係者以外立ち入ることはできません。お引き取りを。」
(アイリス)「関係者よ。これ!」
そういってアイリスは門番へ何かみせると青ざめた顔で謝罪をするのだった。
(門番)「し、し、失礼しましたぁ!!どうぞお入り下さい!!」
(フィオナ)「な、何したのよ?アイリス……」
(アイリス)「ん?ちょっとね!!」
(タイガ)「しかしでっかい家だなー。長ってのは何者なんだ?」
(アイリス)「んー……この集落を代わりに治めてる感じかな。」
(ケイ)「代わり?」
(アイリス)「もともとは姫様が統治してたのよ。だけどその姫様がある冒険家と駆け落ちして失踪したの。だから今は長が代わりに治めてるわけ。私はあんまり覚えてないけど5歳の頃その姫様を探して連れ戻すためにトラモント王国へ派遣されたの。」
(ケイ)「5歳で?!」
(アイリス)「5歳の頃にはこの集落最強だったみたいだからね。」
(フィオナ)「そ、それより図書館で読んだ本の話にそっくりだわ!!実話だったのね……」
(タイガ)「で!そのムーンアイランドの姫君は見つかったのかよ?」
(アイリス)「……トラモント王国でも有名だったから所在はすぐにわかったんだけど、私が連れ戻しに行こうとした時にはもう亡くなってたわ……。」
(タイガ)「……そっか。すまねぇ。」
(アイリス)「気にしないで!それよりついたわよ!この奥の部屋に長がいるわ!」
それからドアをノックし部屋へ入っていく。そこにいたのは老婆だった。
(長)「……おまえさん!!アイリスかい?!」
(アイリス)「戻ってきたわよ……おばあちゃん。」
(長)「12年ぶりじゃないかい……わしはもう会えないかと思ってたよ。大きくなったのう……。」
(アイリス)「あっちの世界でトラブルあって帰れなくなってたの。また会えて本当によかったわ……」
(長)「……一緒じゃないということは姫は……」
(アイリス)「……亡くなってたわ。連れ戻す前にね。」
(長)「……」
4人は長が涙を流していることに気づいた。しばらくの沈黙の後、長は再び口を開く。
(長)「……そちらの3人は?」
(アイリス)「私今トラモント王国の騎士をやってて、その部下なの!」
(長)「ほう……そうかい。それで今回何のようで3人の騎士を連れてきたんだい?」
(アイリス)「ある組織の調査できたの。」
(長)「……ある組織?」
(アイリス)「タイムトラベラーズって組織なんだけど知ってるかしら?世界中を混乱させようとしている悪い連中なの。」
(長)「……知らないねぇ。……ただおまえさん達がやってくる12年前に何人か外部から怪しい連中がきたって噂があるがね……。もしかしたらこの島のどこかにいるかもしれない……。」
(アイリス)「……12年前!トラモント城からあの絵画が盗まれた日だわ!」
(タイガ)「それは怪しいぜ!」
(フィオナ)「その連中探しましょ!」
(ケイ)「どうする?アイリス!もしその組織なら危険じゃないのか?」
(アイリス)「……調査だけのつもりだったんだけどね……もしかしたら戦うこともあるかもしれない。
……命をかけたね。」
(ケイ、フィオナ、タイガ)「!!」
(アイリス)「任務は調査……選びなさい!戦う覚悟があるかないのか!」
(ケイ、フィオナ、タイガ)「戦う!!」
(アイリス)「決まりね!!おばあちゃん。私このムーンアイランドを守るために戦うよ!この仲間と守ってみせるわ!」
(長)「……アイリス。立派になったねぇ……頼んだよ。」
そう4人は覚悟を決め、どこかに潜伏しているというタイムトラベラーズを探すことになったのだった。




