番外編「シルファの幸せな夢の中」
(シルファ)「ケイ……」
シルファは城の自室のベッドで枕を抱きしめながら、ゴロゴロしていた。ケイが騎士になって3日経つが会えないでいた。寂しさのあまり携帯に手をのばしケイに電話したくなった。
(シルファ)「……だ、だめです!訓練でかなり疲れてそうだったってアイリスが言ってましたし……」
それでもどうしても彼の声が聞きたくなり、電話をしてしまった。
(シルファ)「ケ、ケイ……?少しだけ電話しませんか……?」
(ケイ)「ん?シルファか?どうした?」
シルファはゴロゴロしながら部屋の明かりを消していく。暗い部屋で電話したほうがドキドキするからだ。暗くしたら少しだけ眠くなってきた。
(シルファ)「……少しだけお話……迷惑ですか?」
(ケイ)「……いや?俺もシルファに会いたかったけど訓練で忙しくて……だから嬉しいかな。」
(シルファ)「……あ、ありがとうございます、ケイ。そう言えば来週から大変ですね。」
(ケイ)「初任務……ね。」
(シルファ)「無事に帰ってきて下さいね……」
そんな心配をシルファがしていると、ケイはとんでもないことを言う。
(ケイ)「そうだな。無事帰ってきたらシルファがまたキスしてくれるか?はは!なーんてな。冗談だよ。」
シルファはこの時点で睡魔でうとうとしており、この電話が夢か現実か判断がつかなくなっていた。それから少し考えて夢だと思い込み言ってしまった。
(シルファ)「……いいですよ。」
(ケイ)「……えっ?」
一瞬時が止まったかのような雰囲気になった後、シルファは夢の中なら自分の欲望に正直になろう、そう思いケイに自分のすべてをさらけだす。
(シルファ)「私、ケイの全部がほしい……心も体も全部、全部……だからいいですよ……キス。それ以上も……」
(ケイ)「シ、シルファ?!お酒飲んでる?!な、何いっちゃってるの?!」
(シルファ)「……めちゃくちゃにしてほしい。ベッドの中で1つになってずっと愛し合いたい……誰よりも大好きなあなたと……」
そう言ってシルファは寝落ちしてしまった。一方ケイは恥ずかしさとドキドキのあまり逆に寝れなかった。
(シルファ)「……あ、あれ?私いつのまに……」
翌日、シルファはあくびをしながら目を覚ます。そして昨日の電話はどうなったのか少し考えて気づいた。
(シルファ)「……えっ?えっ?い、いつから夢?あれ?私ケイにとんでもないこと言ってしまった気が……?」
心も体も全部ほしい?ベッドの中で1つになって愛し合いたい?……えっ?あれ?
シルファは嫌な予感がし、メールをみてみる。
『シルファへ。昨日の電話、何も俺聞かなかったからな。気にしなくて大丈夫だから。寝ぼけて心も体もとか、愛し合うとか変なこと言っちゃたんだよな。本当に気にしなくて大丈夫だから。じゃ俺今日も訓練頑張ってくるよ。もう一度言うが気にしなくて大丈夫だぞ。ケイより。』
シルファは顔をこれ以上ないくらい真っ赤にして叫んだ。
(シルファ)「いやぁぁぁぁーーーーー!!!!」




