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第23章「ふたりの初めてのデート(後半)」

ケイは声をかけてきた少女と目があう。いつもクラスの隣の席にいるであろうその少女はかなり不機嫌そうだった。ケイはまさかのことに顔を青ざめ、動揺した様子で尋ねる。


「フ、フ、フィオナぁ?!何でここに?!」

「クラスメイトの女子達ときてたのよ!タイガと二人でいったらデートになるじゃない!!それで?私たちとのショッピングを断ったのは姫様とデ、デ、デートだったわけねぇーー?!」


顔を真っ赤にし、店の中で大声でデートと言うフィオナにシルファとケイは反応する。


「ふぇ?デ、デ、デートですか?!」

「フ、フィオナ?!ここは店の中だ!こ、声大きすぎ!明後日の月曜日話すから!」


ケイがフィオナにそう答えると、フィオナは機嫌を悪そうながらも、少し冷静になり、シルファの方を見て口にする。


「そ、そうね!姫様!大きな声で騒いでしまいました。すみません。でもケイには気をつけて下さいね!ケイ!!月曜日タイガと一緒に詳しくきかせて貰うわよ!覚悟しなさい!!」

「は、はい……」


その後フィオナが自分の席にもどり、ウエイターに席を案内されたのだった。席に座ると気まずい空気が流れた。少しの沈黙の後でシルファが口を開く。


「……ま、まさかフィオナさんがいるとはびっくりです!」

「そ、そうだな。月曜日が怖いよ。」

「ふふふ。ケイの周りはいつも賑やかそうですね!あ、これメニューですね!何食べます?」

「これうまそうだな。シルファは?」

「んー!どれも美味しいそうでまよっちゃいますね!」


一緒にメニュー表を見ながら楽しそうな会話をしている姿を少し離れた席からフィオナとクラスメイトの女子はみていた。


「あ、あれって!ケイ君と姫様よね?!」

「やばー!!禁断のデートじゃん!!フィオナピンチじゃない?!」

「な、なんで私がピンチなのよ?!」

「あんたケイのこと好きなんでしょ?みてれば誰だってわかるって!」

「なっ!そ、そ、そんなわけないじゃない!!誰があんなバカっ……!」

「フ、フィオナ顔真っ赤よ!!わかりやすいわ……」

「だ、だから違うって!!」


そんな会話がしばらく続き、本当に賑やかな女子会だなぁと周りは思うのだった。


その後ケイとシルファは食事を無事に終え、店をでた後少し潮風にあたりながら歩いていた。


「本当においしかったです!!」

「そうだな!またいつか行こうぜ!」

「はい!!是非!」

「おう!楽しみにしてる!シルファ!今日はありがとな。楽しかったぜ!帰り途中まで送るよ!」


もうこの幸せな時間が終わってしまう、そう思ったシルファは顔を赤くしながら勇気を出してお願いごとを切り出す。


「あ、あの!このあと何か予定ありますか?!」

「……特に予定はないが!せっかくだし遊んでいくか?」

「は、はい!」


優しい笑顔でケイはシルファにそう伝えた。シルファの表情は本当にうれしそうだった。その後ケイはちょっと行きたいところがあると言って、二人はその場所に向かった。


「ケイ!ここって?!」

「アクセサリーショップさ!何かシルファにプレゼントさせてくれ!」

「えっ?!いいんですか?!ありがとうございます!!」

「お!これなんていいな!」


そう言ってケイはお目当ての物を買ったあと、店の外に出てシルファの背後に立つ。後ろから前へ手をのばし、シルファの首に着けてあげるのだった。


「これって……」

「似合ってるな。ネックレスだよ。今日のお礼だ。受けとってくれ。」

「あ、ありがとうございます!宝物にしますね!」


シルファの喜んだ顔を見て、ケイもドキドキしていた。かわいいは正義という言葉は本当だなと思いながらシルファを眺めていた。そして今度はシルファが提案する。


「あの!私も行きたい場所あるんですが……」

「ん?ああ!行こうか!」


夕方になり日が沈み始める頃、二人が向かったのは名もなき公園だった。シルファは静かにケイの方を見て言う。


「私ここ好きなんです……夕陽がよくみえて。」

「誰もいない秘密の場所だな。」

「……あれ一緒に乗りませんか?」


シルファが指をさしたのは池に浮かぶ手漕き舟だった。その後ケイとシルファは一緒に乗り、夕陽の光が輝く池をゆっくり漕いで中央で静止する。あまりの夕陽の光の美しさにケイは静かに呟く。


「カーラ橋からの夕陽に負けず劣らず綺麗だ……」

「そうですね……」


そんな夕陽を見ながら初めてシルファと会った日を思い出し、ケイはふと頭に浮かんだことを話した。


「俺シルファに救われたんだぜ。」

「えっ?!」

「俺には何もなかったから。毎日なんのために生きているかわからなかった。」

「……!」


シルファは目を見開き、ケイの言葉の続きを待つ。それからケイは少し照れながらもシルファの目を真っ直ぐ見て伝える。


「でもそんな時シルファに会って俺は騎士になるって夢を見つけた。あんたを守りたい、そう思えたんだ。俺が生きる意味を教えてくれてありがとう……シルファ。俺これから騎士としてがんばるよ。そしていつかシルファが誇りに思えるような英雄になるから。」


その言葉を聞いて、シルファは涙が止まらなかった。ケイの表情は優しかった。


「……ケイが英雄になるのずっと待ってます。あなたが周りに何を言われても、私だけは信じています。」


そしてケイが今日一番の笑顔で笑った姿を見て、シルファはずっと秘めていた想いを爆発させた。


「私ケイが好きです……世界中のだれよりも……」


シルファは夕陽の光を浴びて輝くケイにキスをしたのだった……



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