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第22章「ふたりの初めてのデート(前半)」

天気に恵まれた約束の日の午前11時45分、ヘリオス広場の時計塔付近にてケイは珍しく緊張して立っていた。

挿絵(By みてみん)

それもそのはずで今日はトラモント王国の姫君とランチにいくことになっているからだ。この状況で緊張しない人はいないだろう。周りを見るとカップルが多く、そのことがより彼を刺激していた。


「……そろそろか。今日は絶対フィオナとタイガには会いませんように。」


この一週間彼らを誤魔化すのには苦労したがバレてはないだろう、そう自分に言い聞かせながらシルファを待っていた。そしてその瞬間はついにやってきた。


「おはようございます!ケイ!!」


金髪のポニーテールに白い透き通るような肌、クリっとした優しい瞳、少し小柄で守ってあげたくなるような美少女、シルファがやってきたのだった。服装はいつもの白いワンピースでなく落ち着いたコーデで、麦わら帽子も時期が秋に差し掛かっていたこともあり、かぶっていなかったためケイにとって新鮮だった。


「おはよう!シルファ!なんか新鮮だなその服!似合ってるよ!」

「えっ!あ、ありがとうございます!!ケイも似合ってますよ!その服!」

「サンキュー!そうだ。ランチの店どうする?一応自分でも良さそうな場所調べてきたんだけどシルファはどこか行きたい店あったか?」

「いえ!ぶらぶらしてその場で良さそうな店に入るつもりでした!探してくれたのであればケイのお言葉に甘えていいですか?」

「ああ!いいぜ!じゃいこっか!」

「は、はい!」


そうして二人は並んで歩いていく。二人の距離は肩がぶつかりそうなほど近くシルファはドキドキしていた。そんな中ケイはとんでもない爆弾をおとした。


「なんか端からみたら俺たちカップルみたいにみえるかもな。なんてな!」


ニカッと彼は優しい笑みを浮かべシルファに語りかける。その表情をみてシルファは顔を真っ赤にした。


「えっ!!そ、そうでしょうか……」


もうまともに彼の顔を恥ずかしさのあまりみることができなかった。それに鈍感な彼は気がつかず追い討ちをかける。


「シルファ、こっち!」


シルファが顔が赤くなっていたのを隠すため少し下を向いて歩いていた時、前から歩いてくる人とぶつかりそうになったがそうはならなかった。ケイはシルファの肩を優しく引き寄せ、ぶつからないようにはからったからだ。その結果一気に身体が密着する。


「大丈夫かよ?前よくみろよなー。」

「は、はい……!」


シルファはドキドキのあまりに声が甲高くなる。初デートでこれはシルファにとって刺激的すぎた。そんな雰囲気の中歩いていき、とうとう目的地につく。海沿いにあるレストランで景色もよく、潮風も心地よかった。


「シルファ!着いたぞ!それにしても景色いいな!店からでもガラス越しでたのしめそうだ。」

「そうですね!あと少し冷えた潮風も気持ちいいです!」

「たしかに!だがずっと外にいるわけにもいかないしな。中に入るとするか。」

「はい!」


中に入るとオシャレな空間が広がっていた。見渡すと客層はほとんどカップルで残りは女子同士きている様子だった。


「なんかオシャレだな。」

「いいですね!私こういう雰囲気好きです!落ち着いてて……」


そんな会話をしていると横から聞き覚えのある声で話しかけられた。


「ふーん……!そういうことね!ケイ!」


ケイはその声の主がわかると、この世の終わりみたいな表情をした。

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