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第17章「尊い絆」

「行くぞ!タイガ=シルバー!」


そういってアランは草原に手をつく。これから何が起こるのかタイガは予測できなかった。


「何をするつもりだ?!」

「はぁぁぁー!」


アランは両手にエネルギアをこめる。すると草原フィールドの植物が枯れはて、砂漠のフィールドへと変わったのだ。タイガは驚きの声をあげる。


「何っ?!」

「俺は砂を操る力を持っている…だからこのフィールドの方が都合がいい。」


審査員席でも、現象に驚きを示していた。サンセットホープズのジョーカーはアランのフィールドそのものを変える戦術を賞賛する。


「まさかフィールドごと変えるとは……ロイ!お前の部隊、そういう奴何人かいたよな!」

「ああ!自分に有利なフィールドを作れば相手は大体不利になることが多い。そして砂の能力を活かすには砂漠は持ってこいだな。」


ベンチのケイ、フィオナも試合を見つめる中、タイガは平常心を保っていた。アランが次を仕掛けるまでは。


「砂漠か!多少走りづらいが、問題なさそうだ!」

「ふん。それはどうだか。これでも余裕でいられるか?デザートトラップ!」


タイガは立っていた場所で流砂がおき、体が砂漠に沈んでいく。足は砂に完全に捕らわれ、脱出は不可能だった。


「く、くっそぉぉー!」


ケイはこの状況はまずいと思い、タイガに叫ぶ。


「タイガーー!逃げろー!」


そんな声に対して、アランはタイガを見てこう忠告する。


「無駄だ!もがけばもがくほど沈んでいく。それが流砂の恐ろしさだ。続けて行くぞ!デザートカッター!!」

「がぁぁあ!」


砂の斬撃がタイガを襲う。防御ができる状態ではなかったためまともに喰らうしかなかった。爆発で流砂から抜け出すことはできたが、大ダメージを負ったのだった。チームグローリー側のベンチでウルが立ち上がり呟く。


「勝負あったか?」

「ウル…彼らの強さは最後まであきらめない心だと思う。戦ってみてわかったよ。」


グレンがそう答えるとタイガは震えながらもなんとか立ち上がった。その目はまだ死んでいなかった。


「…ま、まだだ!」

「あれを喰らってまだ立つか!だが立ち上がったことを後悔するだろう。デザートカッター!!」


凄まじい威力であろう砂の斬撃がタイガを襲う。おそらく直撃したら勝負は決まるだろう。チームネクサス側のベンチでフィオナは叫ぶ。


「まずいわ!あれを喰らったら!!タイガー!!避けてーー!!」


タイガはハンマーを構える。そしてアランに忠告するのだった。


「それはもうきかねーぜ!」


タイガはハンマーの打撃部分にエネルギアを集中する。そして自分に向かって襲ってきた斬撃をハンマーで打ち返したのだった。


「何っ?!」


タイガの臨機応変な対応にアランは目を見開き反応するのだった。審査員席のロイはなるほどといった表情で独り言を言う。


「エネルギアはエネルギアで反射というわけか……はは!考えたな!」


反射した斬撃はアランを襲ったが直撃することはなかった。砂漠の砂を操り、砂の楯を生み出す。


「ちぃっ!デザートエスクード!!」

「くっ!やっぱ効かねーか!だったら接近戦で押しきるのみ!」


タイガは高速移動術で接近し、エネルギアを込めたハンマーでアランを何度も攻撃するがやはり砂の楯に阻まれてしまう。5分ほどの連続攻撃にも耐えるほどの楯だった。


「ちっくしょょーー!!」

「どうやらこの砂の楯を破るほどのパワーはなかったようだな。そろそろトドメだ!デザートエクスプロージョン!!」


アランはエネルギアで大量の砂漠の砂を極限まで圧縮し、タイガへそのエネルギアの塊を放つ。攻撃に必死だったタイガは回避に間に合わず直撃し、大爆発に巻き込まれたのだった。


「ぐぁああー!!」


タイガのピンチにネクサス側のベンチではケイとフィオナが叫ぶ。


「耐えろっ!タイガぁぁ!」

「タイガ!!」


観客はこの試合は今のでアランの勝ちだと確信していた。そして審査員席のサンセットホープズもそう感じていた。ジョーカーは試合の現状を分析し、アクアはアランを賞賛していた。



「圧倒的だな。あのすかしたほうはまだダメージを負ってない。勝負あったな。」

「あの強さ!あの子いいわねー!」 


そんな会話の中、シルファの一言が雰囲気を変えた。


「まだわかりませんよ!見てください!」


タイガは意識が薄れながらも、ふらふらと立っていた。しかし体中痙攣しもう戦える状態ではないのは誰の目からみても明らかだった。


「…しぶとさだけは誉めてやる。だが俺とおまえの力の差は圧倒的だ。もうあきらめるんだな。」

「………」

「しゃべる力も残っていないか。」


少しの沈黙のあとタイガは口を開く。それはアランが予想していなかったことだった。


「…アラン。おまえ宝石だったら何が一番好きだ…?」

「何言ってやがる?頭がおかしくなったか?」


この状況で理解不能なことを言うタイガにケイとフィオナ、シルファは何をするつもりなのかと言った表情をする。


「……タ、タイガ?」

「な、何?!タイガ!?どうしたっていうのよ!!」

「タイガさん……!」


会場中、沈黙の雰囲気に包まれタイガの言葉にみな耳を傾ける。


「…いろんな宝石があるよな。ルビーにサファイア、アメジスト、エメラルドとか。」

「だから!それがなんだってんだよ!!」


タイガは異様な雰囲気をまとわせ、アランに向かってゆっくり歩いていく。その不気味さにアランは一歩下がった。


「…俺が一番好きな宝石なんだと思う?アラン。」

「んなもん知るかよ!トドメだ!デザートカッターぁぁぁ!」


アランはデザートカッターを放つが、タイガは回避しようとしなかった。避けようとしないタイガを見てケイとフィオナは叫ぶ。


「タイガぁぁぁー!避けろぉぉー!」

「避けてぇぇー!」


そんな中、タイガは最後に伝えたかったことをはっきり言う。タイガのエネルギアはケイとフィオナが今まで見たことのないオーラだった。


「…俺はダイヤモンドが好きだ!なぜなら石言葉は永遠の絆!ケイ、フィオナとの絆は何よりも大切で尊いものだぁぁぁぁ!!!!」


タイガ自身、そしてそのハンマーは誰も見たことがない神秘的な輝きを放っていた。ハンマーの大きさも倍大きくなり、打撃部分はエネルギアで作られたダイヤモンドでできている。これ以上美しいものはないだろう、そう思わされる輝きだった。


「な、何ーーー!?!?!?」

「ダイヤモンドバスターぁぁぁぁ!!!!」


タイガの一撃がアランに炸裂、凄まじい衝撃音と共に、尋常ではないスピードでアランは実技実習場の壁に衝突した。アランの意識はもうなかった。


「…勝っ…」


アランが気絶したのをみて、タイガは前へそのまま倒れた。司会は勝負に決着がつき、勝者の名前を呼ぶ。


「し、試合終了ぉぉー!なんと勝者タイガ選手ですー!!!な、何が起きたんでしょうか?!」



観客席では今日一番の盛り上がりだった。タイガへの拍手が止まらない。そして審査員席でも皆信じられないものでもみたかのような顔をしていた。シルファは嬉しそうにロイの方をみて言う。


「ロ、ロイ!タイガさんが勝ちましたよ!!」

「そうですね!姫様!!私もあんなのみたことありません!!」


ロイの後アクアは何か起こったのか疑問を言葉にする。


「な、何がおきたの!?!?ジョーカーわかる?!」

「いやわからない!!最後のあれはいったい……」


アイリスとゼファーも目を見開き反応する。


「す、すごい…!何あいつ!すごいじゃない!!」

「仲間を想う気持ちが奇跡を起こしたか…!」


一方ケイとフィオナも驚いて興奮していた。


「た、タイガすごいわ!!最後の何なのよ?!」

「あいつ、奇跡を起こしやがった!!とりあえずフィオナ!タイガをベンチまで連れ帰るぞ!手貸せ!」

「う、うん!!」


そうしてタイガはケイとフィオナに肩を借りながら歩いてベンチへ戻った。


「タイガ、本当にありがと…あなたに助けられたわ。あと最後の言葉嬉しかったわよ。私もケイとタイガとは誰にも負けない絆があると思ってたから。」

「…俺たちはチームネクサスだからな。俺があきらめないで戦えたのはケイとフィオナが応援してくれたからだ。こっちこそ感謝してるんだぜ。それとケイ!あとはチームをおまえに託すぞ。」

「ああ!みんなが繋いだバトンしっかり今受け取ったよ!相手が誰だろうと関係ない!俺はかけがえのない仲間のため精一杯戦って絶対勝つ!だから安心して俺にこの試合託してくれ!」


こうして一勝一敗で迎えた最高の舞台でケイとウルはぶつかるのだった。


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