第13章「1回戦第2試合フィオナvsクルミ」
1試合目が終わりフィオナは闘技フィールドへ向かう中、タイガとボルグの試合を振り返っていた。
「ボルグはタイガの予想できなかった戦術で勝ったわ。次の試合、相手の意表をつく戦術がなければ勝てなさそうね。」
それからフィールドに立ったフィオナは対戦相手を見る。今度の相手はパッと見はか弱そうな少女だった。
「あ、あのぉ、クルミ=アイシアと言います…今日はよ、宜しくお願いします。」
「1年フィオナ=トキハよ!宜しく!」
両者が向かい合って挨拶をしたところで司会は試合のコールをする。
「さぁ1回戦第2試合、両者準備が整ったようですね!それでは試合開始です!」
試合開始と同時にクルミが先手を仕掛ける。フィオナはまだ相手を観察しているようだ。
「い、行きます…えい!」
「なっ!」
クルミはフィールドの3つ岩に次々と触れると、岩はまるで狂暴な動物であるかのようにジャンプしたのだ。そしてその岩はフィオナに降り注ぐ。
「わ、私の能力は無生物を生物に変える力です。こ、これで決まりです!フォーリングロックズ!」
ヤバいと思ったのかベンチのケイはフィオナに向かい叫ぶ。
「フ、フィオナ!エネルギアをつかえ!!」
「大丈夫よ!ケイ!こっちも反撃するから!
唸れ!!エクレール!!アロぉぉーー!!!」
フィオナは3本の矢に雷撃を込め、次々と上空に弓矢を放つ。バーンバーンバーンという爆発音と共に岩は粉々となり、上空で消えたのだった。その光景をみてクルミは呟く。
「な、なんてスピードと破壊力…」
クルミの油断した隙に、フィオナはもう一本矢を放つ。今度はエネルギアで電撃をまとった矢ではない。クルミの左腕にかする。辛うじて直撃は避けたのだった。
「くっ!で、でもかすっただけです。エネルギアを矢に込める時間がなかったのが幸いでした。」
「よく避けたわね!まだまだいくわよ!エクレールアロー!」
今度は余裕を持ってクルミはエクレールアローを回避した。そしてクルミは小型のナイフを5本取り出し、フィオナに向かって襲い掛かるように指示をだす。
「こっちも行きます!ワイルドナイフ!!行きなさい!」
「自由自在に飛び回るナイフ!エクレールアローで打ち落としてみせる!!」
フィオナは極限の集中力で全てのナイフを打ち落とすことに成功した。だがクルミは焦ってはいなかった。
「今で全ての矢を使い果たしましたね…」
勝利を確信した表情でクルミはそう言う。しかしフィオナはここで予想外の返答をする。
「いいえ!矢ならここに無限にあるわ。」
「どうして!?どういうことですか!?」
そういってフィオナは地面の砂鉄に電気を流す。そしてフィオナは矢をイメージして砂鉄の矢を作りだしたのだ。ケイは立ち上がりガッツポーズをしながら口にする。
「上手い!上手くフィールドを利用したな!」
サンセットホープズのメンバーも驚いていた。ロイはニヤッと笑ながらフィオナをほめる。
「フィオナやるじゃねーか!アイリスからみてどうだ?」
「なかなかいいわね!センスあるわ!ジョーカーと同じ雷系統のようね!」
「ああ!しかも俺と同じ遠距離攻撃が得意そうだ!まさか砂鉄から矢を作るとはね…」
一方アクアは惜しいと言った表情で言葉を口にする。
「ちょっと興味あるけど女かぁー!残念!私男がすきなのよねー!ゼファーの部隊なんていいんじゃない?」
「俺の部隊で力を発揮するタイプではなさそうだ。それとアクア。真面目に仕事しろ。」
砂鉄で作った矢が空中に次々浮かぶ。危険を察知したクルミは矢からなるべく距離を取ろうとしたがそれはかなわなかった。
「体が痺れて動かない?!?!ど、どうして?!」
「ようやく効いたみたいね!!麻痺毒の矢!」
「いつの間に!あ!」
「そうよ!一本電撃をまとってない矢があったでしょ?あれに仕込んでたのよ!あれに先輩はかすったわよね!これでフィニッシュよ!唸れ!エクレールアロー10連弾!!」
動けないクルミに電撃を纏った矢が襲いかかる。そして見事に直撃し、クルミは気絶するのだった。
「試合終了ーー!なんとフィオナ選手!クルミ選手に勝利しました!1対1の同点です!これでチームプレシャスとチームネクサスの試合わからなくなってきましたぁー!」
こうしてフィオナはクルミに無事勝利したのだった。フィオナはベンチに戻ると、元気を取り戻したタイガとケイとハイタッチをした。
「私の勝ちよ!タイガ!あんたのかたきとったわよ!!」
「すげーな!フィオナまじでありがとう!これで1勝1敗!残りはエース対決だな!ケイ!勝てよ!」
「舞台は整ったわよ!あんたにこのチームの命運託すわ!絶対勝ちなさい!!」
二人の声援にケイは、目を一瞬つぶり、そのあと真剣な表情で伝える。
「約束する!必ず勝つさ!」
ケイはタイガ、フィオナの想いを胸に闘技フィールドへ向かったのだった。




