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第12章「1回戦第一試合タイガvsボルグ」

エネルギアチャンピオンシップが開催され、1回戦がどんどん進んでいく中、タイガはテンションが低かった。


「はぁ…」

「タイガ!何ため息ついてるのよ!試合これからなのよ!」

「だってよー組み合わせおまえもみたろ?1回戦の相手はチームプレシャスだぜ?あの選手宣誓してた先輩、噂だと2年生最強らしいじゃねーか。運悪すぎだろー。」


テンションの低いタイガにケイは励ましの声をかける。


「たしかに一回戦は強敵だな!だが負けたわけじゃないだろ?強い方が勝つんじゃねー、勝ったほうが強いんだ。タイガ。試合前から気持ちでまけんじゃねー。」

「ケイにしてはいいこと言うわね!私達は私達の力を出すだけよ。」

「そうだな!2人ともサンキュー!それはそうと出場する順番どうする?フィオナ!」

「このチーム最強はケイよ。多分相手のエース起用はルナ先輩のはず。エースは私なら1番か3番に置くわね。一番なら勝って流れつくれるし、3番なら最後にまわせば勝てるって思えるし。ケイはどう思う?」

「俺はおそらく3番でルナ先輩が来ると思う。わざわざエースが出なくとも1年生相手なら1、2番で終わるだろうと考えるな!俺なら!最悪1点取れば絶対エースが負けることはないと思うだろう。ルナ先輩は俺が戦う。一番勝算が高いだろ?」

「わかったわ。ケイが3番でいいかしら?タイガ!」

「ああ!いいぜ!フィオナは1番と2番どっちがいい?」

「私2番でいいかしら?様子みたいわ。」

「了解!俺が切り込み隊長の1番だな?じゃこれで決まりだな。」


こうして順番が決まって直後、チームネクサスとチームプレシャスのコールが会場に響き渡った。いよいよデビュー戦である。タイガは二人に声をかける。


「よっしゃ!行こうぜ!」

「ああ!」

「絶対勝つわよ!」


それから実技実習場の闘技フィールドへと向かった。司会は甲高い声で会場を盛り上げようとアナウンスする。


「さぁいよいよ注目の一戦が始まります!優勝候補のチームプレシャスとチームネクサスの試合です。」


そのアナウンスにより観客席では今日一の盛り上がりをみせる。そんな観客を見て司会はアナウンスを続ける。


「それでは1番手の方、闘技フィールドへ上がってください。」


チームネクサスの一番手はタイガである。先ほどのテンションの低さは全くなく、やる気に満ちていた。


「しゃー!行ってくるぜ!」


闘技フィールドは砂と背丈くらいの大きさの岩が所々に散らばっていた。そしてタイガはそのフィールドでいよいよ相手と対面する。その相手は筋肉の塊のような男だった。


「俺はタイガ=シルバーだ。よろしくお願いします。先輩。」

「俺はボルグ=バーグだ。1年だろうが容赦しない。」


両者向かい合ったことを確認し、司会は試合の合図を出す。


「両者、準備できたようですね!それでは試合開始です!」


両者、高速移動術で接近する。先手を取ろうとしたのはボルグである。ボルグは持っていた斧をタイガに向かって右上から振りかざす。だがその一撃はヒットしなかった。タイガは持っていたハンマーで上手く防御したからだ。その後もボルグは連続で攻撃を繰り出す。


武器と武器がぶつかる音が衝突する。今のところ互角である。チームネクサス側のベンチではフィオナとケイが大声で応援していた。


「タイガーー!負けたら承知しないわよ!勝ちなさーい!」

「俺はおまえを信じてる!勝てぇー!タイガー!」


タイガはベンチを一瞬見たあと思う。あいつらのためにも負けられないと。そして目の前の敵の本気と真っ向勝負したいと。


「先輩。そろそろ能力つかったらどうですか?」

「そうだな。一気に決着をつけよう!はぁぁ!」


そういってボルグはエネルギアを使用した。彼の能力は分身である。


「5人に分身しただとぉ?やばい!」


タイガは危機を感じ持っていたハンマーにエネルギアを流した。彼の能力は物質の硬化である。


「ほぉ…うまくエネルギアをコントロールできてるな。無駄がない。だが俺は負けん。いくぞ!」


そういってボルグは5人でタイガに襲い掛かる。タイガはハンマーを振り回すが、本物がどれかわからなかった。先ほどまでは上手く防御していたが、徐々に攻撃がヒットし始めた。


「がぁぁっーー!」


悲鳴をあげるタイガを見て、ケイとフィオナは同時に叫ぶ。


『タ、タイガー!!』

「これで終わりだぁ!」


そういってボルグは渾身の一撃をタイガにくらわせようとした。しかしタイガはまだあきらめていなかった。


「くっそー!!一か八かだ!」


タイガはボルグが想定していない行動に出る。エネルギアの込めたハンマーで地面を思い切り叩きつけた。するとフィールドの砂が舞い上がり、勢いよくボルグに降りかかる。その結果4人の分身が消えたのだ。


「何っ!?」

「トドメだ!俺の勝ちだぁぁ!」


そういってボルグへハンマーを振りかざす。その時ケイが叫んだ。


「タイガぁ!後ろだぁぁ!」

「え?」


タイガはいつの間にか自分が地面に這いつくばっていることに気づいた。背後から一撃を喰らったのだ。意識朦朧でもう立てない。タイガは倒れたまま呟く。


「……6人だったのか……」

「そうだ。1人だけ岩の背後に隠してたのさ。はじめからこの時を狙ってな。」


試合に決着がつく。司会のホイッスルが鳴る。


「試合終了ー!!第一試合はチームプレシャス、ボルグ選手の勝ちです!」


第一試合終了のホイッスルが鳴ったあとタイガはフィオナとケイに肩をかりながら歩いてベンチへ戻っていく。目には涙が浮かんでいる。タイガはケイとフィオナから目を反らし静かに呟く。


「すまん………」

「あんたは全力だったわよ。だから文句なんてないわ。」

「あとは俺たちに任せろ。」


そんな励ましの声にタイガは反応する。そしてフィオナに伝える。


「次はフィオナだったな…頼む!リーダーぁ!!チームを勝たせてくれ!」

「もちろんよ!行ってくるわ!ケイ!応援よろしくね!」

「ああ!」


絶対にタイガの分まで負けない、そう思いながらフィオナは闘技フィールドへ向かったのだった。



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