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【Robert Quest 外伝】

作者: amuku

RobertQuestのネタバレが若干含まれます。

剣や魔法が存在していた時代。

モンスターも度々出現してはいるが、

「冒険者」と呼ばれる者達が、日々モンスター退治や

洞窟探索に明け暮れていた。


世界の秩序はこうして保たれていた。


しかし・・影では不穏な動きをする人物がいた。

人々は異変に気付く事なく、平和に生活していたのだった。



ここはサルテ村。

緑に囲まれた自然豊かな村だ。


それはさておき、この村に端に住んでいる仲のいい夫婦がいた。


アレックス「じゃぁ、今日はメシーア城の王様から呼び出しくらったから行ってくる。」


アレックスは、名高い冒険者で、

数々の洞窟や、強力なモンスターを退治してきた男だ。

巨大な剣をも軽々と振りまわす剛腕の持ち主だった。


マリア「えぇ、いってらっしゃい。

    あなたが帰ってくる頃にはシチューができている可能性があるから、

    覚悟して帰ってきてね。」


アレックスの妻マリアは、天然だが怒らすと怖い謎の女性だった。


アレックスはメシーア城へ旅立った。


メシーア城は、ここメシーア大陸を治めている城で、

この大陸にはあといくつかの村がある。

一番大きなテイル街では、他の大陸へ渡る船があり、

その街に世界各国から人々が来航する時もある。


アレックス「久々に村を抜けたなぁ・・。

      体がなまってる気がするから、ここらでちょっと

      ウォーミングアップを・・。」


名高い冒険者と言われたのも3年前、

この3年間、ずっと村でのんびりしていたアレックスだった。


そこへ、スライムが現れた!


アレックス「ちょうどいいところに雑魚が・・。

      食らえ、パワーストライク!」


しかし攻撃を避けられた!


アレックス「・・・おかしい。

      そんなはずは・・・。」


明らかに腕がなまってしまったアレックスを待っていたのが、

王様からの難易度の高い依頼だった。


メシーア王「テイル街の人々からの依頼じゃ!

      テイル街付近に謎の洞窟を発見したそうじゃ!

      ドラゴンが洞窟へ入って行ったとの情報もある・・。

      お主の活躍はわしの耳にも届いておる・・きっとその洞窟も

      お主が攻略してくれるじゃろう!」


アレックスはきょとんとした。

スライムにすら必殺技を避けられたあげくに、

いきなりドラゴンが相手ときた。


アレックス「お言葉ですが王様、俺は・・。」


メシーア王「そうか、受けてくれると信じておったぞ!

      さっそく向かってくれ!」


アレックス「(こいつ人の話を聞いてねぇ!)

      わ・・わかりました、俺がなんとかしましょう。」


数分後、どうしてあんな事を俺は言ってしまったんだ、

という顔をしてアレックスが外に出てきた。


アレックス「さぼって帰ろうかな・・。」


そこへ、テイル街の住人がやってきた。


テイル街の住人「た・・大変なんです!

        謎の洞窟から複数のドラゴンが、テイル街に向かっているんです!

        お願いです、助けてください!」


逃げ場を失ったアレックスは、

しぶしぶ現場へ向かう事となった。


テイル街まであと少しのところで、

ドラゴンの群れに遭遇した。


アレックス「ドラゴンが5体・・・さすがに俺一人じゃ・・。」

テイル街の住人「大丈夫、私も援護します!」



3時間に及ぶ戦いの末、勝利をつかんだアレックス達だが、

テイル街の住人の方が明らかに強かった。


アレックス「はぁ・・はぁ・・あんたあんな上級魔法を使えるのか・・?」

テイル街の住人「ええ、まぁ・・さすがに一人では無理でしたが、

        壁がいてくれて助かりました!」


アレックス「壁・・・。」


今の一言に、ショックを受けた。


テイル街で一泊したアレックスは、メシーア城に向けて出発した。


メシーア王「御苦労だった、これは報酬じゃ。

      大事に取っておくがよい。」


メシーア城について王様に報告すると、そう一言だけ言われて終わった。


何か不満でもあるのかと、アレックスは言った。


メシーア王「もうよい、下がれ。」


明らかに事情を知っているのを悟り、アレックスは自分の村へと帰った。


アレックスは帰りが遅かったのをマリアに散々怒られた後、

今後についての話しを切り出した。


アレックス「俺・・冒険者やめようと思うんだ。」


マリア「な・・何をいきなり・・どうしたの?」


アレックス「俺も結構年だしさ・・・もうこんな重い剣振りまわすのも

      だるくなってきたし・・・。」


マリア「あなたまだ20代でしょ、何いっちゃってるの?

    ・・・まさか本気で言ってるの?」


アレックス「・・・・。」


マリア「そう・・・・残念だわ。」


アレックス「俺、他にやる事を・・。」


マリア「冒険者で輝いていたあなたに憧れて結婚したというのに・・。

    今のあなたは最悪だわ・・・離婚よ。」


急展開にアレックスは動揺したが、それも仕方がないと思った。


壁・・・ただの住人に肉壁扱いされた屈辱。

もうあの時の自分ではない、修行を怠った罰だ・・。

もう自分は冒険者に向いていない、そう思った。


アレックス「じゃぁ・・さよなら。」


アレックスはそう言って、サルテ村を去った。






その後、マリアは別の男性と結婚し、男の子を授かった。


マリアは夫を失ったが子供ができた事を喜んだ。


だが、その喜びは悪夢へと変わった。


5年後・・。


サルテ村に、賢者と呼ばれる3人がやってきた。

この世には魔王がいて、それを打ち破る事ができる者がここにいるといった。


3賢者は、マリアの家へ訪れた。


ケイソン「その子には凄まじい力を感じます、

     魔王と対等に戦う事ができるでしょう。」


ケイソンという男性は、青い衣をきていて、

頭には神官とかがよくつけてる帽子をかぶっている。


シャルロ「もうすぐにここは魔王に滅ぼされてしまうわ。

     すぐに魔王に太刀打ちできる術を立てなくてわ・・。

     その子を私たちに託してください!」


マリア「いやよ・・この子は渡さないわ!」


突然正体不明の人間にそんな事言われて、はいと言って渡す親もいないだろう。


しかし、強引にその子供は連れていかれてしまった。


マリアは必至に抵抗したが、賢者の魔法の力に勝てるはずもなく、

賢者達は子供を連れて姿を消した。


そして10年後・・。


魔王と呼ばれる、人間の姿はしているが強大な力を持つ人物が現れた。


サルテ村は一瞬にして滅びた。


賢者の予言は本当だった。


マリアの夫は家族を連れて逃げだしたが、

夫は身代わりになると言い残してサルテ村へ残った。


彼は最後まで戻る事はなかった。


マリアはその時、女の子を授かっていた。

魔王襲来時、メシーア城まで逃げのびたが、

その後病気にかかって死んでしまい、生まれてまだ間もない女の子だけが残った。





サルテ村は崩壊したが、数年の月日を経て立派な村へと生まれ変わっていた。

マリアが死ぬ前に残した言葉によって、メシーア王は生き残った女の子を

サルテ村へと帰した。





その時アレックスは、ホーク村と呼ばれる、

魔王にすら無視された素朴な村の宿屋で暮らしていた。

メシーア城から南へ向かった先に位置している。


アレックスは、そこで毎日薪割りや住人の手伝いをして、

なんとか宿代を稼いで生活していた。


アレックスはアレックスなりに、また冒険者に戻ってみようと、

マリアに認めてもらおうと、50歳過ぎた今も腕を磨いていた。

すでにマリアはこの世にはいないという事も知らずに・・。



生き残った女の子は何不自由なく育った。

魔王もあの時以来襲ってきてはいないが、

魔王は今でも世界各地で破壊と殺戮を繰り返していた。



そしてまた、10年の時が過ぎた。

生き残った女の子も今は立派な女性となり、

1児の妻となった。


生まれてきた男の子はロバートと名付けられ、

ロバートの祖父は立派な冒険者だったと教えられながら育てた。


ロバートもそれに応え、剣の腕を幼いうちから磨き、

それなりに剣豪にも勝る力をつけていた。



マリアの死をいまだにしらないかわいそうなアレックスは、

伝説の技、フレイムハザードを求め日々修行に励んでいた。


ロバートが12歳になるころ、

アレックスはついにフレイムハザードを身につける事が出来た。


アレックス「ついに・・・俺は自分で編み出したんだ・・。

      これで・・マリアに認めてもらえるかもしれない・・!」


アレックスはホーク村を飛び出し、

サルテ村へ向かった。


サルテ村へつくなり、アレックスは唖然とした。

それもそのはず、一度はサルテ村は滅び、

今は違う形となったサルテ村が目の前にあるのだから・・。


アレックス「・・・改築にもほどがあるだろ・・。」


マリアの家だけは、焼け残った跡を隠すかのように作ってあるだけで、

形がそこまで変わっておらずすぐに見分けがついた。


アレックスはマリアの家へ入る。

そこには見知らぬ女性と、剣を振りまわしている男の子がいる。


アレックスからしてみれば、人の家で何をしているんだこいつら・・と思うだろう。


剣を振りまわしていた男の子がアレックスに気付く。


ロバート「ねぇ、お母さん、変な人が入ってきたよ。」


ロバートの母「え?

       あ・・どちらさま?」


アレックス「あ・・いや・・その・・。」


ロバート「・・・?」


アレックスはあわてて逃げだした。


だがアレックスにはわかった。


アレックス「あの女性にマリアの面影が・・・。

      でもマリアは・・?」


メシーア城にも顔を出そうと行ってみた。

そこには依然と変わらないあの王様が出迎えてくれた。


メシーア王「久しいなアレックス・・もう60歳くらいか?

      年老いた今も修行を続けるとは感心感心・・。」


アレックスは、自分がいなくなってからの間に何が起きたのか聞いた。


メシーア王「お前の妻マリアは死んだよ・・。

      マリアの娘は今、元気な男をお前のような

      冒険者にするためにがんばっているよ。」


アレックスは涙が出そうになるのをこらえて、


アレックス「そう・・だったんですか・・。」


自分の目標をなくしてしまったアレックスには、

もはや生きる術がなくなってしまったも同然だった。


メシーア王「そう嘆くな。

      お前の孫にあたる男の子が、

      もしかしたら将来すごい剣士になるかもしれないのだぞ。

      もう少し喜んだらどうだ。」


アレックス「はい・・。」


アレックスは、城を後にした。


その後、ホーク村へ戻り、

宿屋のベッドに寝転んだ。


アレックス「俺もとうとうおじいちゃんになったのか・・。

      うれしいけど・・やっぱり悲しいな・・。」


一晩過ごした後、いつも通りに薪割りや住民の手伝いをして

宿代稼ぎに励んだ。


アレックス「俺にはまだやれる事がある。

      目指したい目標もある。

      まだ生きる価値があるんだ!」


そう自分に言い聞かせ、翌日にはテイル街のはるか北にそびえる山で

修行を詰んでいた。


そしてホーク村を後にして旅にでた。


・・・が。


アレックス「伝説の剣ドラゴンキラーを求めて・・どれだけ歩いたか・・。

      そろそろ何か見つけてもいいころじゃ・・。」


3年ほど冒険したが、伝説の剣を見つける事はできず、

自分で作ろうということにした。


ホーク村の宿屋をほとんど自分の部屋のように扱い、

素材集めなどに精を出した。


自作ドラゴンキラーに必要な素材が揃ってきたかのように思えたころ、

アレックスは、こんな夢も持った。


アレックス「もし、孫が俺のところに訪れるようなことがあれば、

      その時は、伝説の技フレイムハザードを教え込むんだ・・!」


ドラゴンキラーの制作に励みながら、ニヤニヤしていた。





ドラゴンキラー制作開始から3ヵ月。

素材が足りない事に気付いたアレックス。


アレックス「ドラゴンキラーはもうあきらめようかな・・。

      そうするともうやる事が・・・。」


そう思ったが、フレイムハザードを教えるかわりに、

孫に素材をとってこさせるという作戦を思いついた。


なかなか腹黒い性格だった。


それまで、地道に腕を上げて、

また名高い冒険者になってみせる。

そう誓ったアレックスだった。




名高い冒険者だったアレックス、63歳だった。




一方サルテ村では、ロバートが立派に育ち、

友人ジョンと共に外で初めての実戦形式で

剣の修行に励んでいた。


ロバートの母「スライムだからって油断しちゃ駄目よ!」


ジョン「わかってるって!

    よっしゃロバート、いくぜ!」


ロバート「うん!」


修行を積んだロバートとジョンは、

親に洞窟探索を認めてもらうようになり、

ロバート達は翌日洞窟探索へ向かう事になった。


そして、ここからロバート達の、

世界を救う事になる旅が始まるのだった。


ロバート達が世界を救う冒険者になるというのは、

まだ誰も知るはずはなかった。


アレックスもまた、

ロバートに会える日を楽しみにして今は疲れを癒すのだった。


自分の存在を知らなくてもいい、

自分が生きた証を、孫に教えてやりたい。


ただ、それだけだ。


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