この異世界のこと、色々知ろう!
なかなか書きたいことまで進みません。
でも、転生した場所の文化レベルや生活環境をきっちり説明しないと物語に入っていけないもんね
新作落語書く場合も、奇想天外な話こそ、なぜそうなったのか、お客さんに納得させることが大事なんだよね。
この小説、息抜きのために書いてるんだけど、楽しくて、仕事そっちのけになりそうで気をつけないと
ギルドカードを手に入れることができた。
「パンプキンさん、ありがとうございました」
「困ってる時は、お互い様さ。これからどうするね?」
これから?全く考えていなかったよ。
「今日は家に泊まるか?」
爺さんが、にっこり微笑んだ。
なんて優しいんだ?昔テレビで見た若手芸人の行き当たりばったり旅番組みたいじゃないか。
でも、ここで爺さんの家に泊まる。
キャロット婆さんが「お腹が空いてるんだろう。たくさんお食べ」
2人だけの老夫婦の生活に、俺が加わって、話も弾む。
そして、ふかふかのベッドで、久しぶりの熟睡。
朝起きると
「見知らぬ僕に、こんな親切にしていただいてありがとうございます。せめて畑仕事でも手伝わしてください」
「本当かい?そりゃ助かる」
「それじゃあ、今夜も泊まっていきな。晩御飯は腕によりをかけるよ」
「これは久しぶりに婆さんのミートパイが食えるかな、ガハハハ」
そんな親切が身に染みてたった一晩のはずが、3日、1週間、1月。
「ポテトン、昨日おばあさんと相談したんだが、よかったら、ワシらの養子にならんか?」
「ポテトン、どうせ行くあてがないんだろう?だったら、私たちと暮らしておくれ。お前さんがいてくれると生きる張り合いが出てくるんだよ。」
真剣な眼差しで俺を見る2人。
「おじいさん、おばあさん、ありがとう。一生2人の面倒を見るよ」
「ありがとう、ポテトン」
「おじいさん、私たちに素敵な息子ができましたよ」
そう言って、3人、肩を抱き合い咽び泣く。
そしていつまでも3人は幸せに暮らしたとさ。
じゃんじゃんーー終わっちゃうよ。
そんなことになったら、神様怒ってダンゴムシにされちゃうかもしれない。
だから俺ははっきりと言った。
「いや、嬉しいんですけど、甘えてばかりはいられません」
「でもこれからどうするんだ?どこに泊まる?」
まぁ、最悪、この村を出て、どこかで野宿しても構わないと思っていた。
どういうわけか腹も減ってないし、疲れてもいない。
「心配いりません。とにかく仕事を探したいんで、仕事がある街に行きたいんです。
だから途中眠くなったらその辺で野宿します。盗まれるもの何一つ持ってませんから」
じいさん、びっくりして、目を見開くと(何も知らんのか。この若造は?)
と、言いたげに悲しそうな顔で首を振った。
「仕事を探しているんですか?ポテトンさん」
いきなりピーチさんが声をかけてきた。
「はい、何せ、お金がないんです」
ビーチさんがびっくりした顔で俺を見る。
(一文無しで、どうやってここまで旅をしてきたの、この人?)
旅をしてきたわけじゃないんです。いきなり現れたんです。
もちろんそんな事は言わないが。
「お金がないって本当かい?」
じいさんが、疑わしそうに、俺のチョッキのポケットを見る。
わかるよ、じいさん。
俺も、森を歩いてる時に(チョッキのポケットにこの異世界のお金が入ってるんじゃないか?多分、金貨が10枚位。日本円に換算して、10万円。まぁ、そのくらいしてくれてもいいよね、神様」
しかし、見事にポケットの中は空っぽだった。下手したら、俺生きるために犯罪に走ってかもしれないぞ。
「だったら、この役場で働きませんか?」
ピーチさんの意外な申し出。でも、どんな仕事だろう?
Excelで給料計算しろと言われてもできないんですけど?
不安そうな俺を見て、ピーチさんはにっこりと笑った。
「簡単な仕事ですよ。実は役場の裏に書類を保管する倉庫を作ったんですけど、その書類が大量にあるんです。その書類を倉庫に運んでもらいたいんです」
運んでもらいたいと言っても、ただ紙の束が入った段ボールを積み上げるだけなのかな?
「体力だけはあるから大丈夫ですけど、ただ運ぶだけでいいんですか?」
「あぁ、それなら心配いりません。書類係の責任者がどの棚に運ぶか教えますから、その通り運んでもらえばいいんです」
なるほど、アマゾンで、荷物を分類するロボットみたいに役目か。
「俺で役に立つならぜひお願いします」
すると、ピーチさんが
「それじゃあ責任者に確認してきますから、しばらくここでお待ち下さい」
そう言って、奥に引っ込んでいった。
「ポテトン、大丈夫かい、いきなり役場の仕事なんて」
「パンプキンさん、心配いりません。もし役に立たなかったら追い出されるだけですから」
「そうか、ずっと1人で旅してきたから、度胸があるんだな。いいかい?困ったことがあったら、いつでもワシの家に来るんだぞ」
おいおい、そんな優しいこと言わないでくれよ。俺は、現世じゃ前座から「小声のうるせえ、じじいだ」って嫌われていたんだよ。
なんか、じんわり涙が出てくるじゃねーか。
「パンプキンさん、本当にありがとうございました。俺1人頑張ってみます。キャロットおばあちゃんにもよろしくお伝え下さい」
そう言うと、俺は深々と頭を下げた。
「そうか、やっぱり男は1人で生きていかないとな」
納得したように、うんうん、うなずきながら、パンプキン爺さんは役場を出て行った。
ピーチさんが、奥から出てくると
「それじゃあ、私についてきてください」
カウンターを抜け出し、横にある廊下を左に曲がる。どうやら役場の裏に行くようだ。
思った通り、廊下の先に扉があり、そこから出ると外に出た。
芝生が引き詰められた庭というより広場だ。その広場の真ん中に真っ白い石で作られた四角い建物。大きさは25メートルプールの2階建て。結構でかいじゃないか
その建物の正面にこれまた石造りの屋根がついた観音開きの扉がある。
さすがにその扉は、石造りではなく、厚い木でできていた。
ピーチさんは、左側の扉に付いていた丸い真鍮の取っ手をつかむとグッと引っ張る。
扉が音も無く開く。ピーチさん見かけによらず力持ち。
そのまま中に入ると、天井に役場にあったような蛍光灯みたいなランプが明るく照らしていた。
そして広い空間に、大小様々な木の箱がうずたかく積まれている。
その中で畳一畳ほどある木の机の上にうずたかく書類を積んで、必死に分類しているおじさんがいた。
「シナモンさんーー!お手伝いが見つかりましたよ」
ピーチさんが声をかけると、シナモンさんが顔を上げる
まんまるな顔におかっぱ頭。そして目は大きくまんまるで鼻が高く突き出していた。
おかっぱ頭は毛と言うよりも、羽根?羽毛?
フクロウそっくりの顔がそこにあった。この人フクロウの鳥人族?
「ホーやっと見つかったか、助かったよ」
両手を広げて、バサバサパサ。でも羽根は生えてなかったよ。普通の両腕でした。
それも白いワイシャツの肘から下が黒いアームカバー。昭和時代の事務員さん。
「それじゃ詳しいことは、シナモンさんに聞いてね。それで寝るところは、役場の宿直室で寝てちょうだい」
ピーチサンはそれだけ言うと、さっさと役場に帰っていった。お忙しいのにすいません。
「へー君は鬼人族か?この辺じゃ珍しいなぁ」
俺の頭の小さな角を見て、興味シンシン。
すいません、この辺の生まれじゃないんです。
「名前なんて言うんだい」
「ポテトンって言います。よろしくお願いします」
「簡単な仕事だよ。僕が分類した書類を指定した棚まで持っていってくれればいい」
「あのーーー」
「なんだい?なんでも遠慮しないで聞いておくれ」
「俺、山奥で両親としか暮らしたことがないんです。その両親が死んだので、仕方なく仕事を探しに山から出てきたです。だから、両親以外の人と話したこともないし、もちろんこの村のことも知りませんでした。そんな何にも知らない俺でもこの仕事ができますか?」
するとシナモンさんが大きな目玉をくるくる動かしながらうれしそうに
「ポテトンは素晴らしいなぁ。それじゃあ知らないことがたくさんあるんだ。知らないことを知るのは、人生の喜びだよ。わからないことがあったら何でも聞いておくれ。これでも僕はこの村1番、いや、かつてはジャパック一のモノ知り博士と言われた男さ」
ジャパック一って、俺の現世で言えば、日本一の物知り博士?
俺は異世界のスーパーコンピューターと知り合いになれた。これもしかして神様のお導き?
(ほほほ、世の中は、金よりも知識じゃ。しっかり学べよ、鬼切師匠)
読んでくれてる人が、1人2人と増えていくのってやる気になるね
でもあんまりやる気になって、仕事そっちのけだと困るんだけど
ということで、仕事が忙しくなったので、更新は3日後以降になりそうです