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落語でダンジョン?

清まろ師匠から清丸師匠に変更。

これからも芸人の名前ちょくちょく変わりますよ。

なんで変わるかは秘密です。

今日も連日投稿。

仕事ないからね。まぁ昔からこんな感じなので、平常運転。



 着物を脱いで洋服に着替えた清丸師匠が座布団に座る。

 優しそうな師匠なので、つい聞いてみた。

「師匠、新作落語って、どのくらいの人がやってるんですか?」

 うさぎ耳をピクっと動かし

「多くはないよ。トーキンだけなら5人位かな」

 たったの5人。前世に比べてもそりゃ少ない。

「まず、新作落語と言えば、俺の兄弟子、ベジ家サンダー師匠だな」

 初めて聞いた名前だ。


「すいません、お会いしたことないんですが」

「サンダー兄さんは今、ワルサック州のダンジョンに潜っているからな」

 ちょっと待って、今ダンジョンと言う言葉が?それになぜ落語家がダンジョンに潜るの?冒険者じゃないんだから。

 俺は思わず目を見開いた。


「小鬼、ダンジョン知らないのか」

 いやいや、初めて聞きましたよ。それにワルサック州ってどこにあるの?


「ワルサック州はサンダー兄さんの故郷だよ。悪魔族が大勢住んでいる悪の都さ」

 悪の都って?メキシコにある犯罪都市みたいな?

「いや、別に怖いところじゃないよ。昔の悪魔族が発明した魔石道具や、スキルを書いた古い石板がまだ残っているんだ。悪魔のパラダイス」

 清丸師匠が言うには、悪魔族と言うのは、人一倍好奇心が旺盛で、開発するのが大好き。

 だから他の種族が開発出来なかった魔道具なんかを、研究して魔石で動かせるようにして作ったり、古い文献を解読して新しいスキルを見つけたりするのが得意。

 インディージョーンズみたいな種族なのだそうだ。


 ワルサック州はジャパック王国の北西にある突き出した半島の先端にある。

 そして、物知り清丸師匠が異世界の地理を教えてくれた。


 ジャパック王国は巨大な島である。前世のイメージでは、オーストラリア大陸。

 北の方では雪が降り、南の先端はサンゴ礁の海。

 東西それぞれ、南北に半島が突き出しており、南西の半島はエンゲル州。天使族が沢山住んでいる。

 南東の半島は、メルギット州。ドラゴン族が沢山住んでいる。


 そして、北東の半島は「未開の地」と呼ばれ雪と氷に閉ざされてている。

 そして、手前に蓋をするように、サーベル山脈と言う険しい山々が立ち塞がり、人間の侵入を拒んでいる。

 そして、ここに「最後のダンジョン」と呼ばれる幻のダンジョンがあると噂されている。


 おいおい、異世界ファンタジーまっしぐら。オラ、わくわくが止まらねぇぞ。


 トーキンはジャパック王国南東にあるトーキン湾の一番奥にある。

 メルギッド半島に囲まれた海は海運にも漁業にも優れロマノム王朝時代、発展したのだ。

 房総半島に囲まれた東京湾のイメージに似ている。

 江戸も同じように発展した。

 徳川家康が、江戸に来たときには、葦の原が広がる未開の土地だったそうだ。


 北西にあるワルサック半島と北東にある未開の半島に囲まれた海の真ん中に、妖精族が沢山住んでいるバルザック島がある。別名「宝島」

 なんで宝島って言うんですか?清丸先生。


「そりゃ昔から海賊の宝が眠っているって伝説があるからな」

 おいおい、ひとつなぎのワンピース

 ちょっといきなりてんこ盛りすぎませんか?


 それでサンダー師匠はダンジョンに潜って、何を探してるんですか?

 やっぱり、勇者の剣とか?破邪の盾?呪いに染まった漆黒の鎧?


「違うよ。ロマノム王朝以前の落語を探しているのさ」

 ええ、だって古典落語が出来たのがロマノフ王朝でしょう?それ以前にあったんですか?

「落語家が語る話は、ロマノフ王朝で生まれたが、実はその前は、落語と言うのは神事だったんだ」

 神事ってお経みたいな事ですか?じゅげむじゅげむ五劫の擦り切れ。


「いや、違う。ロマノフ王朝以前のエプトス朝、それよりもずっと前。いわば古代文明だな。その当時の人々は、自然の脅威にさらされていた。特に雷を怖がってな」

 確かに雷は怖いです。おへそ取られちゃうから。

「冗談じゃないんだよ。雷が落ちて山火事になる。そうなったら、当時の人々の生死に関わる。それに闇夜に光る稲光り 昔の人たちにとってどれほど恐ろしかったか。雷はどんな音がするか、わかるか小鬼?」

 ゴロゴロゴロ


「そうだ、ゴロゴロゴロ。古代の人は、その音が神様が笑っていると信じていた」

 え、普通怒ってると思うんじゃないですか?雷鳴が光り、稲妻が鳴り響く。どう考えたって神様が怒って、人間たちが天罰を与えているって普通、思いますよ。


 俺も若い頃、宮古島でキャンプしたときに、真夜中、稲妻が真横に走り、空が一瞬光り、大地が震えるような雷鳴を聞いた時

「神様が怒って俺に天罰を与えているんだ。さっき、キャンプ場の隅でおしっこしたから、神聖な場所を怪我したと神様が怒っているんだ。俺はもう雷に打たれて、これで死ぬ」

 まじでそう思ったよ。


「まぁ普通は神様が怒っていると思うよな。でも本当に神が怒っていたら、自分たち人間は全員殺されるかもしれない、と恐れ慄くだろう」

 そうですね、それから毎日、いつ神様の天罰が下るか、ビクビク過ごさなきゃいけませんよね

「そこでだ、雷のゴロゴロと言う音は、神の怒りではなく、神が喜んでいる。笑い声だとプラス方向に考えたわけさ」

 なるほど、神様が笑って喜んでる。そうなれば、天罰ではなく、これから良い事が起きると思う事が出来る。ポジティブ人生。


「だから雷が鳴ると今年は豊作になるって言い伝えだってある」

なるほど、稲光り、稲妻、みんな稲がついてます。


 俺も、前世で聞いた事がありますよ。雪国育ちだから、3月ごろ雷が鳴ると

「雪止めの雷だ。もうこれで春が来るぞ」

 そんな事を婆さんが言っていた。雷は吉兆の予感。

雷鳴は神様の笑い声。神様が喜んでいる。良い事が起こる前兆。


「だから、笑い声と言うのは、当時は神聖なものだったんだ。神殿に大勢の人々を集めて、笑わせる事が出来る人が神の使いと崇められていた」


 初めて聞きました。それじゃあ、落語家は神の使いの末裔?

「いや、そこまで偉くないよ。ロマノム王朝では、さすがに神様の笑い声なんて言う信仰はなくなったからね」

 なるほどね、時代とともに信仰の対象は変わる。古代の日本では、巨石信仰と言って

 大きな石を崇拝する時代もあった。

 しかし、時代が移り、巨石から仏様、観音様、ユーミン様と信仰対象は変わった。


「でも笑いと言うのは、古代では神聖なものとして捉えられていた。笑いによって魔を払い、光を呼ぶ。1つの儀式として人々を笑わせる事が邪悪なもの滅ぼすと考えられていたんだ」

 清丸先生、なんて、頭が良くて物知りなんだ。尊敬してしまいます。


「だから、古代の人々を笑わせた笑い話、いわゆる聖天を石板に刻んで、後世に残すため秘密の場所に保管していた。その秘密の場所の1つがダンジョンと言うわけさ」


 ええ、それじゃあサンダー師匠は、その隠された石板を見つけるためにダンジョンに潜っているんですか?

「その通り。サンダー兄さんは悪魔族の中でも、より好奇心が強いルシファー1族の末裔だからね」

 ルシファー1族と言われても、さっぱりわからないんですけど。例えて言うならビルゲイツとか、スティーブ・ジョブズ、ドクター中松の血を引いている?


「サンダー兄さんは、古代の聖天が刻まれた石版を読めば、まだ発見されてないスキルが見つかるんじゃないか、そう考えているんだよ」

 まだ発見されてないスキルって?発見されているスキルさえわからないんですけど


「そうか、小鬼はまだアイアンクラスだもんな。スキルの前にどうやってオーラを扱っていいかもわからないんだろう」

 はい、その通りです。色々試したいんだけど、まだ前座なので実験出来ないんです。


「まぁ焦る事はないよ。ブロンズクラスになったら、俺が色々教えてやるよ」

 そう言って、清丸師匠が立ち上がった。

 俺は最後にどうしても聞きたかった事を尋ねた。


「師匠はなんでそんなに色々ご存知なんですか?」

 すると、黒縁メガネをクイットあげて、髪をサーっと掻き上げた。

「そりゃ俺がカルピン大学でドンカム教授に色々教わったからさ」

 ちょっと待って、ドンカム教授と言ったら、先端魔力工学の第一人者でシナモン先生の師匠じゃないですか。


「清丸師匠、もしかして、シナモンさんて知ってますか?」

「懐かしい名前を出すなぁ。シナモンは俺の後輩だよ」

 うーん、人の縁ってわからないね。


ちょっとだけ書きたいことを書こうと思ったら、どんどん広がっちゃいました。

一応、ジャパック王国の地図は書いてありますよ。

でも、ここじゃお披露目できないね。

書籍化になったら発表しまーす。

はい、夢を見る瞬間終了。

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