笑いとオーラ実地調査
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先にお知らせしますが
5月31日から1週間位お休みします。
ベッドから起き上がると魔石ポットでお湯を沸かして、お茶を飲む。
「ズズズ」
ほっとひと息入れて、ベッドに座ってまた考える。
地球では、才能を伸ばすには、自分のたゆまぬ努力が必要だ。
しかし、異世界では、この星マザーの力も取り込んで、エネルギーとして才能を伸ばすことが出来ると考えても良い。
自分+星エネルギー。トヨタ86にターボエンジン積む感じ?豆腐屋の倅から日本最速のダウンヒーラー、違うか?
しかし、まだ星の力を取り込んで、エネルギーにする方法がわからない。
わからない事はここで終了。
さぁ、次だ。
今日高座で見たお客さんから立ち上る紐のような黒いオーラ。
あれは何だったんだろう?
お客さんが笑うと、一瞬太くなり揺れた。
一番当てはまるのが、お客さんの感情だ。面白いと思ったから、感情が揺れて、楽しいパワーが体から溢れ太くなったのかな?
何だったんだろう?
その時、俺は前世の経験を思い出した。
若い時は、とにかく必死に客を笑わせようと自分で作ったギャグを連発。
その全てがことごとく空回り。
そんな時に思ったもんだ。
「チクショウ、なんで笑わねぇんだ、今度こそ笑わしてやる」
まるで客に戦いを挑むように、高座に上がって、新作落語をぶつけていた。
自分の新作落語が「受けるか受けないか」これが全てだ。
簡単に言えば、どれだけ笑いが取れるか?
沢山笑い声が聞こえれば、勝ちで、静まり帰れば負け。
2つ目の頃は、連戦連敗。ピクリとも受けない。それが悔しくて夜も眠れなかった。
でも、還暦になってわかる。
昭和の終わりから平成にかけて、俺はまだ30歳の若造。そしてお客さんは古典落語が大好きな40歳50歳60歳以上のおじさんばかり。
この年齢差と言うのが若い時にはわからない。
自分が歳を取ってから、寄席の高座で2つ目が自分世代しかわからんギャグを言ってもしらけるばかり。
その当時、テレビでお兄ちゃんたちがやっている漫才がキャーキャー言って受ける。
客席には若い女の子ばかり。
そりゃ年が近ければ、見ているテレビも聞いている歌も感性も一緒だから、そりゃ受ける。
まるでアイドルみたいだ。うらやましい。女にモテたい。
俺が2つ目の頃、寄席の高座でやった新作落語のギャグで
「おいおい、メガネかけて髪の毛伸ばせばモテると思っているのか?お前はアンジェラ・アキか?」
全く受けませんでした。
客席に座っているおじいちゃんおばあちゃん、アンジェラ・アキ知りません。
そりゃ知らなきゃ笑えないよな。
しかし、若い時はそれがわからない。
(なんで最新のギャグ笑わねぇんだ。全く今日の客は馬鹿だ)
受けない理由を客に押し付けて終了。
そうなりゃ寄席に出られなくなる。
しかし、真打になって、自分も50歳になった頃、お客さんの年齢が自分と合って来る。
そうなると
「メガネかけてピアノ弾けばモテると思ってるのか?このアンジェラ・アキが!」
ドカンと受けます。
まぁ、そうやって、お客さんが笑ってくれるのが普通になってくると、その笑の質が違うことに気がつく。
ただ、うわっつらで笑っているのか、本当に腹の底から笑っているのか?勢いだけで笑っているのか?雰囲気だけで笑っているのか?
俺は真打になったばかりの頃、何度となく経験したことがある。
寄席が揺れるほどの笑いが爆発。
しかし、なんでそんなに受けたのか、当時はわからなかった。
ただその時、高座に上がって俺の作った「マキシム、ド、飲兵衛」をやり始めると、客からの圧力というか、期待値がだんだんと上がり、最後は笑いの渦巻きが客席いっぱいに立ち登り、竜巻みたいに寄席の屋根を突き破った感じがした。
そう、その時の笑いの圧力、面白いと言う感情の竜巻と、異世界の高座で見た黒い紐のようなオーラがどことなく似ている。
でも、これは皆、俺の頭の中で考えた考察だ。
新作落語もそうだ。
自分の頭の中で作って大爆笑したって、高座に上がってやってみるとピクリとも受けない。
そう、実際お客さんの前でやってみる。受けないところは、削り、新しいギャグを入れ込みストーリーを練り直す。
こうやって新作落語は育ち続ける。時代が変わり、お客さんが変われば落語も変わる。そこに完成は無い。永遠に育ち続けるのだ。
俺はまだまだアイアンクラス。それも入ったばかりの新入り。
焦る事は無い。ゆっくり検証しようじゃないか。
ビルド亭9日目。
「小鬼、今日はお前が上がりな」
ネギミ姉さんが立て机に座ったまま顎をしゃくる。
「ありがとうございます」
急いで扇子と手ぬぐいを持ってくる。
肉丸が開演のブザーを鳴らすと、前座の上がりを叩く。
緞帳が開く。
お囃子さんの前にある障子の隙間から客席を見た。
並んで見ていたデビ助が
「おい、おい、今日は7人しかいないぞ」
平日の昼間、開演したばかり。その上、霧のような雨が降っている。
「こういう時こそ、一生懸命やるんだよ」
ブロンズクラスのウードンが偉そうにほざいている。
「ありがとうございます、兄さん。それではお先に勉強させていただきます」
高座に上がって頭を下げる。
前を見ると、7人の客がつまらなそうにパンフレットを見ている。
まぁ、始まったばかり。それもアイアンクラス、前座なら仕方ない。
「落語の登場人物に、長屋のハチ公、横丁のご隠居さん、馬鹿で間抜けが与太郎さん、なんて言われるわけで」
ちょっと心配なんだけど、この与太郎話って俺が死んだ令和の時代、だんだん出来なくなるんじゃないの? まぁー死んでるから関係ないんだけど。
地球の奴らは、古典落語がやりにくくなる時代になったと嘆くんじゃない?
「あ、満さんだ、満さん」
「なんだ与太郎じゃねーかどうしたい?」
「ねぇ、謎々しようよ」
「なんだと謎々?俺はそんな暇じゃねーよ」
「だったら、お金かけてもいいよ」
「本当かいくらだ?」
「10ギルでどう?」
「何10ギル?10ギルもくれるのか、よし、やろうじゃねーか」
「まずはね、色が白くてね、しっぽが生えてて、にゃーって鳴くものなんだ」
その時、俺は猫になりきって、体を伏せると思いっきり「にゃーー」と鳴く
7人の客がオヤ?と言う感じで、顔を上げる。
客の体から黒くて細いオーラが数本立ち上がる。
「ーーーそれは猫じゃないのか」
「当たった、満さんはすごいね」
「そんなの誰だってわかるよ、ほら10ギルよこしな」
「わかったよ、はい10ギル」
「それじゃあ、次の謎々」
「まだやるのか?」
「今度はね、20ギルかけるよ」
そう言うと、得意そうに膝立ちになって、両手を腰に当て、胸を反らせて客を睨む。
お客さんがクスクス笑う
立ち昇ったオーラが揺れる。そして、オーラの数が数本増える。
「何?20ギル。よしやろうじゃねーか」
「いいかい、今度の謎々は難しいよ」
「面白い、やってみな」
「体が大きいんだ それで白と黒の縁でね、頭に角が生えていてーーー」
自分の頭についている角をつかむと、思いっきり左右に振る。
「もー〜〜」
太い声で叫ぶ。
「まあ、アハハ」
前から3列目に座っていたおばちゃんが声を立てて笑った。
その途端、おばちゃんの体から立ち上っていたオーラが何本も太くなり、激しく揺れる。
「与太郎、それは牛だろう」
「すごいね。満さん。よくわかったね。謎々の天才だよ」
今度は5列目の右隅に座っているおじさんが
「ワハハ」と笑う。
すると、おじさんの体から立ち昇るオーラも太くなり大きく揺れた。。
しかし、2人だけじゃない。他の笑ってない5人のお客さんのオーラも太くなり揺れているではないか?
よく見れば、さっきまでつまらなそうな顔でパンフレットを見ていたのに、俺を見てニコニコしている。
たった7人の客だが、体から増えるオーラの数。
そして、客席の熱が温まってくる。
「それじゃあ、満さん、もう一回やろうよ」
「もうやめ時な」
「これが最後だから、ねぇお願い。今度は100ギルかけるから」
「何?100ギル?本当だろうなぁ?これが最後だぞ」
「うん、それじゃあやるよ」
ちょっと悲しそうな目つきで客席を見る。
客も、不安そうに与太郎になりきった俺を見つめる。
「今度はね、色が黒いんだ。それでぬるぬるしてね、長いのがいたり、短いのがいたり、これなんだ?」
「おいおい、与太郎、それは両天秤だろ?」
「両天秤って何?」
「俺が蛇と言ったら鰻、鰻と言ったら蛇って言うつもりだろ?」
「だったら両方言ってていいよ」
客席がわずかに緊張するのがわかる。
太かったオーラが細くなり、本数が減る。でも、体の中に引っ込むわけではない。
期待しているのだ。
「よし、蛇に鰻だ!」
勝負に勝ったと、大声で宣言。
「なあーに、アナゴだよ」
小馬鹿にした声で言うと、体をくねくねアナゴのようにくねらせた。
そして、最後に客席に向かって手を出す。
これは、謎々に勝ったから、100ギルくれと言う仕草だ。
言っておくが、もちろんこのから抜けと言う落語にそんな仕草はない
俺がアドリブで付け加えた。
それを見て、客席がドット笑う。
7人の客から、太いオーラが何本も吹き上がる。そして数本が絡み合い、客席の1部が
黒く染まる。寄席の空気が柔らかくなり、熱量が上がる。
なる程、そう言うことか。
俺は納得して、ペコリと頭を下げて高座を降りた。
やっと少し書きたい所に来たけどまだまだほんの入り口です。
それで俺が言いたいこと伝わったかな?
自分で書いても、初めてなのでよくわからんです
今一度落ち着いて書き直してみようと思ってます。
それまでしばらくお待ち下さい。
ちなみに、異世界のお金の単位は円じゃなくてギルでした。
訂正します




