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異世界落語家事情

この位書くとキャラクターの名前とか設定、忘れるよね。

皆さんやっぱり資料として書いて整理してるんだよね。

すでに遊びじゃ無くなってない?

「どうしたって言うんだよ。そば吉」

 ガゼットさんが驚いて駆け寄った。

「ちくしょう、馬鹿にしやがって」

 カウンターに突っ伏したまま、うめくようにつぶやく。

 頭の上の輪っかが光ったり消えたり。感情の起伏で変化するのかしら?


「まぁ落ち着けよ。さぁ一杯飲め」

 ガゼットさんが自分が飲んでいた瓶ビールをコップに入れて差し出した。

 横目で、チラッと見ると、おずおずと手を伸ばし

「グミグミグミーー」

 一気に飲み干す。

「ブハーー」

 少し落ち着いたのか、上体を起こし、ちらりと俺を見ると

「新しいバイト?」

 関心なさそうにガゼットさんに聞く。

「田舎から出てきたポテトンって言うんだ」

「はじめまして」

 俺も様子見だから、簡単に挨拶。


「それでどうしたんだよ、そば吉」

「この芝居、久しぶりにビルド亭に出たんだよ。そしたらヤング兄貴が『相変わらずつまらねぇ落語だな』なんて言いやがって」

「ヤング兄貴ってフラワー亭の天狗野郎じゃねーか?」

「ああ、名人気取りの気に食わねぇ悪魔野郎だ」

 ええ、天狗なの?悪魔なの?ビルド亭ってどこにあるんだよ?わからない言葉が、次から次へと。こんな時はしばらく黙っているに限る。


「先輩だから、僕も最初は『相変わらずセコな芸ですいません』なんて笑っていたんだ。そしたら調子乗りやがって、毎日馬鹿にしやがる。その上、俺の師匠までセコな芸なんて言いやがって・・・つい胸ぐら掴んじまった」

「おい、おい、楽屋でそりゃまずいんじゃねーか。一応先輩だろう」

「僕もやばい、と思ったんだけど、引っ込みつかなくなってさぁ。そしたら、ヤング兄貴がーー」

「どうしたんだい?」

「面白い真似するじゃねーか。覚悟はできてるんだろうなぁ」

そう言って笑って楽屋出て行った。


「きっと落語ギルドに言いつけて、俺を破門にするつもりだ。俺はもう終わった。地獄に落ちたーーー」

「おいおい、落ち着けよ。てめえの師匠かばって破門になるか。それに落語ギルドだってブロンズ同士の喧嘩くらいで動くかよ。せいぜい呼び出されて注意されて終わりだよ」

「え、それで終わり?僕、破門にならない?」

「あのなあ、落語家なんてそもそも、ろくなスキルしかなくてやるような商売だぜ。

 簡単に言えば、社会の役立たず。そんな奴が楽屋で喧嘩した位で、誰が目くじら立てるんだよ。そば吉、お前はそもそも芸人のくせに真面目なんだよ」

「真面目で何が悪いんだ。俺は天使だぞ」

「だから、それがいけねーんだ。芸人になったら、天使も悪魔も関係ねぇや。おめえだって、そんなつまらねぇ、プライド捨て芸人になったんだろう」

「ーーーーそれはわかっているよ」

「だったら、そんなつまらねぇ事は飲んで忘れるのが1番だ。今日は俺がおごってやるよ。ポテトン、カウンターの中にあるその黒い瓶持って来い」

 ガゼットさんが指さす先には真っ黒い一升瓶。ラベルに「大魔王」

 あのー天使にまずいんじゃないですか?

 でも、そんなツッコミができるはずもなく黙ってガゼットさんに渡す。

「さぁー飲め飲め」

 コップにドバドバそのまま注ぐ。

 確か、現世では「魔王」と言う高級焼酎があったけど、異世界ではそのまま飲んで大丈夫なのかしら?氷や水は要らないの?

「いただきます」

 そば吉さんが、がしっと両手でコップを掴むとゴクゴク、半分飲んだ。

「カー、効く」


 頭上の輪っかが赤く点滅する。大丈夫なのかしら?ウルトラマンのカラータイマーだったら、あと3分で帰らないと。


「そうだ、そば吉。このポテトン、落語家になりたいんだってよ。色々教えてやってくれよ」

 すると、そば吉さんが、ジロリと俺を睨む。

「おい、おい、田舎者が夢見るんじゃねーよ。落語家なんて諦めな」

 半分残った魔王を一気に飲み干す。

「最近こういうものわからねぇ奴が増えて困っちまうぜ、とっとと、田舎に帰んな」

 空になったコップをカウンターにどーんと置くと椅子の上に片膝を立て、顎を上げて片手で俺をしっしと追い払う。

 帰るのはウルトラマンじゃなくて、俺なのね。

 この野郎、現世じゃ「鬼の鬼切(おにぎり)」と仲間内からも恐れられたこの俺にふざけた事言いやがってーー。でも、ここは我慢我慢。だって異世界だもん。それに俺はまだ17歳、世間知らずの鬼族若輩ものです。グっと握りこぶしを固める、鋭い爪が、手のひらに食い込んで、血がにじむ。

「俺、田舎に帰っても親がいないんです。何も知らずに出てきました。でも落語家になりたいんです。色々教えてください。」

 そう言うと、直立不動で90度直角お辞儀。上体は、地面と水平。

 そば吉さんが驚いて椅子から膝を下ろした。


「ーーーー親がいないって、死んだのか」

「はい、2人とも病気で死にました」

 すると、ガゼットさんが

「ポテトンの親はなぁ、ペラリン州の山奥で鉱石掘っていたんだ。家族だけでな。

 だから、この年になるまでギルドカードも作らなかった。だけど、親が死んじまって

 このままじゃ自分も死ぬと思ってさ、山を降りてさまよい歩いてガルシア村にたどり着いたってわけよ。そこで運良く役場の仕事をもらって、世の中の事を俺の知り合いのシナモンに教えてもらって、やっと人並みの常識ってやつを知る事ができたのよ」

「ーーー本当かよ。なんてかわいそうな奴なんだ」


 そば吉さんが片手で目をゴシゴシこすっている。

 まあ、当人の俺が聞いてもちょっと涙が出てきます。

「世の中にはいろんな奴がいるんだなぁ。ポテトン悪かったね。教えて欲しい事があったら聞いてもいいよ」


 それじゃあ、まずビルト亭ってなんですか?

「ビルド街にあるトーキン唯一の寄席だよ。ビルド街はここ、コリン街から西のほうにあるトーキン1番の繁華街さ」


 寄席ってなんですか?

「1年中、落語や紙切り、漫才、手品色々な芸を見せる場所さ。昼と夜に分かれていて、10日間興行。10日経ったら違う落語家や芸人さんが出るんだ。でも人気がある人は引っ張りだこだからいつも出ているけどね」

これは、現世の寄席そっくり。


 ヤング兄さんって天狗なんですか?悪魔なんですか?

「ああ、そりゃ勘違いするよね。フラワー亭ヤング。悪魔族なんだ。でもいつも自分の芸が1番だって言ってる。天狗野郎って事さ」

 なるほど、俺の現世の頃の無幻亭六輔みたいなやつだな。

 前座の頃から「俺は将来名人になる。お前みたいな変な新作落語をやるやつは一生貧乏人だ」

 散々俺をいじめたむかつく野郎だった。異世界にもいるんだね。なんかちょっと嬉しいなぁ。


「それでヤング兄貴っていうのは僕と同じブロンズクラスなんだ」

 え、ブロンズクラスって何?

「それじゃあ教えてあげるよ」


そば吉さんがちょっと得意げに喋り始めた。

 「落語家には、4つのクラスがあって、入門して寄席の楽屋仕事をやる。アイアンクラス。これを3年から4年やるんだ。そして卒業すれば晴れて一人前という事で、ブロンズクラス。でもまだ弟子も取れないし、寄席のキングにもなれない」

え、キングって何?

「寄席の興行で一番最後に上がる落語家の事をキングって言うんだ。誰がキングになるかで、客の入りが全然違う。


 そして、ブロンズクラスを10年から15年やると、シルバークラス。このクラスになれば寄席の普通の出番に出る事ができる。ブロンズクラスは開口1番のアイアンクラスの次にしか上がれないんだ。そしてシルバークラスで人気が出ればキングにもなる事ができる。

 そしてシルバークラスの中でもキングになって、いつも寄席の客席を満員にできる真の実力者をゴールドクラスと言うんだ。

今の時代、ゴールドクラスと呼べるのは、たった4人だ。

 でも、長い落語の歴史上、その上のゴッドクラスというのがあるらしいけど、400年続く落語の歴史の中でもたった3人しかいないそうだよ」


 うーん、正しく前座、2つ目、真打。そしてその上のゴールドクラスと言うのは名人って言う事か?


 それで落語ギルドってなんですか?

「ああ、落語ギルドっていうのはトーキンの落語家が全員所属しているギルドさ。寄席のお金の分配とか出番の調整。主に事務仕事やってくれる。

 だけど、大事な事を決めるのマスター会議

 マスターっていうのは、それぞれの流派の代表者さ。歳をとった名人もいれば若い人気者もいる。まぁそれぞれ流派の考えがあるんだろうけど、僕みたいな下っ端にはわからないよ」


 これも現世とあまり変わらない。落語ギルドっていうのは俺の現世で言う東京落語連合。唯一4軒の都内の寄席に出られる。1番大きな落語家の集合体。


 マスター会議と言うのは現世で言えば理事会。それぞれの流派の代表者が理事になってあれこれ決める。しかしその内容は決して下に漏らさない。結論だけ下知する秘密の花園。


 なるほど、さぁ、ここで大事なんですけど、寄席の出番、いわば出演者はマスター会議、いわば落語家が決めるの?

「違うよ。寄席の出番はジェネラルが決めるんだ」

 ジェネラル?

「ビルド亭の経営者。いわば会長さんだよ」

 やっぱり異世界にも席亭いたのね。

 こりゃ大変だ!


読み返すほどに誤字脱字発見。そして設定の不備も発見。

でも、何回も編集で直せるので読み返して、楽しいね。

これが小説として発表されたら直せないもんね。

さて落語の話になったのでちょっと長くなったよ。

皆さん知らないものね!

落語イコール笑点じゃないからね!

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