第1話 プロローグ
異世界冒険物語です。
異世界に行くまでの現世邂逅篇をお楽しみください。
よろしければ、長〜い目で、そして優しい気持ちで応援していただけたら幸いです。
よろしくお願いします!
何をとっても中の下レベルの三國 亮は人生をあきらめた感が満載の平凡な高校三年生。
学校のレベルも中の下でその学校の成績も中の下、体力も人並み以下で運動は苦手。
勇気もやる気も男気もない中途半端な男だから口喧嘩でさえも及び腰になる。
手先が器用な訳でもなく、これといって取り柄がない。
でも、わりと顔立ちだけは良いのだが、それもかえって中途半端さに拍車をかけている。
だから学校生活は面白いはずがないし、まともな友達でさえ作れない。というより作ろうとしない。
人間が平凡すぎて面白みがない。つまり人間力とか魅力といった類いの力をまったく備えていないと言っても過言ではないのかもしれない。
クラブにも所属していないから、友達はおろか先輩も後輩もいない。当然だが、生まれて此の方、彼女なんかいる訳もない。
他人が聞いてもつまらないが、亮本人も当たり前のようにつまらない高校生活を過ごす間に、やる気のない無気力な人間に成り下がっていた。
自分からわざわざ友達を作る気になれなかったのは、何の魅力も取り柄もない自分に自信が持てないからなのか?
同年代の奴らがズル賢く見えてしまったからなのか?
それとも悪いのは自分ではなくて、周りの環境が悪いから?自分を認めようとしない周りのバカな奴等が悪いから?
理由は一つではないが、躊躇するうちにいつの間にか“友達”という存在に何の価値も見いだせなくなっていたから……。
というより、自分に都合の良い解釈をしていたからだろう。
自分が負の殻を破って前へ出ようとすることよりも、都合の良い理由を探して自分を正統化する。
虚しさから逃げて、自分を正統化することで自我をギリギリ支えようとしていた。
「俺ってダメ過ぎて逆に特殊なのかな? いや、俺のことをあいつ等なんかに理解出来る訳がない。 俺は特別なんだよ!」
特に何の魅力もない割にいつの間にか自分が何か特別な存在だと信じ込んでいた。
そんな高校生活も3年目、あと少し我慢すればこの学校ともおさらばできるが、 この先の進路を考えたところで輝ける未来があるとは思えない。
「勉強が出来れば、そこそこ有名な大学に進学してバラ色のキャンパスライフが待っていて、 ア~ンド甘酸っぱい青春を謳歌出来るのにな―」
なんて努力もしないのに溜め息まじりの独り言を口にする毎日。
「あ~あ、やっぱり俺は良い意味で特別にはなれないのかなぁ…」
そのとき、亮の脳内に心の声が聞こえたような気がした。
『そんなことはない………知らなかったのかい? .........俺は特別なんだよ』
亮の心の中で何かが弾けようとしていた。