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王宮通りと女騎士

投稿〜

 王宮通りは、王宮へ続く通り道であり、近くに立つ建物も全て、軍や貴族などが使う重要な施設が並ぶ場所でもある。


 「此処に一つ目のヒント…」


 軍服姿の青年は昨日、男の動機である一つ目のヒントを探すために王宮通りへと足を運んでいた。


 「此処で何があったんだ?」


 青年は王宮通りを探索しながら、男の『動機』を探していると木製の処刑台が建てられている事に気がつく。


 「もう建てられたのか…?」


 青年は処刑台が建てられている事に驚いた。

 処刑台は作りは一見簡単そうに見えるがちゃんと計算された上に大罪を犯した者が辿る結末の象徴的なものも含まれた建造物でもある。

 また、その建造物を建てるにあたっての材料も運搬や時間もかかるものが既に建てられている事に驚きを隠さなかった。


 「…いや、元より建てられていた?」

 

 青年は冷静に考えて、処刑台がこんな手早く建てられるものではないと分析し、目の前に建てられた処刑台を調べる為に触れようとする。


 「おい、そこの若い兵士。そこで何をしている?」

 「!」


 青年の背後から聞こえる声に振り向くと、そこには短髪で茶髪の女性で黒い皮で作られた防具と腰に白い剣を腰に下げる女騎士がそこに居た。

 軍服の色は黒と青年の蒼軍服と全く違うものであるはあるがこれは、階級と身分差が関係している。


 「処刑台を触れようとするとは、怪しいな」

 「あ、いや、違うんです」


 女騎士に問い詰められるのは、当然だ。処刑台に触れようとする変わり者などいる方がおかしいのだから。


 「少し、調べたい事があって…」

 「調べたいこと? それにどうして処刑台が関係する?」

 「それは…」


 青年は悩むのは当然だ。なにせ、自身が調べたい事は第二王子夫妻を殺した犯人でもある男の『動機』を探しているのだから。


 「それは…ある事件についてです」

 「事件だと?」


 女騎士は眉間に皺を寄せて、少し考えると周りを見渡しながら、青年の耳元まで顔を近づける。


 「それは第二王子惨殺事件の真相についてか?」

 「え、はい」


 女騎士から意外な答えが出たことに目を開いて驚く青年は率直に応える。

 

 「そうか…お前もか」

 「お前もって…貴女もですか?」

 「あぁ…私もあの事件について謎が合って疑っている」

 

 女騎士も青年と同様にこの事件の真相を調べていた様だった。


 「あの人は根っから王国への忠誠心が高い人だった。本来なら国王陛下が決める筈の処刑地を敢えて、自分で指定してきた事に疑問に思った私はこうして、空いた時間に調べていたのだ」

 「そうですか」


 自身と同じ考えを持っている事を知った青年は昨日の事を女騎士に教える。


 「成る程…それでお前は処刑台を調べようとしていたのか」

 「はい…」


 その話を聞いて少し呆れ顔をする女騎士は改めて、青年の疑いが晴れると、当初の目的である処刑台の方へ目を向ける。


 「王宮通りの処刑台」

 「一つ目の『動機』か」


 男の惨殺事件を起こす事になった『動機』の一つ目が何故、自身が選んだ処刑地なのかが疑問だった。

 青年は女騎士に幾つか思い立った事を聞く。


 「あの処刑台って…いつから建てられたものか、知ってますか?」

 「アレか? そうだな…確か、一年前に建てられたばかりのもので一度きりしか、使用されたことのない処刑台だったな」

 「一度だけ?」

 「そうだ」


 女騎士によれば、この処刑台は建てられて一年前に建てられたものであるらしい。また、使われたのもたった一度だけと少ない。


 「一部の貴族からは、この王宮通りには不釣り合いなものだから、さっさと解体して撤去しろという声もあったが…今回の件でその話は丸潰れになったらしい」

 「確かに…この場所には不釣り合いですよね」


 青年の言う通り、王宮通りの近くには貴族邸が多く建てられた場所が近くにある上に、王宮の行き帰りする通り道としてはあまりにも邪魔であり、不釣り合いな建造物である。


 「…もう一つ聞いていいですか?」

 「なんだ?」

 「あの処刑台で最初に処刑されたのは誰ですか?」

 「…侯爵家の一人娘だ」


 青年はこの処刑台でどんな罪人が殺されたのかを女騎士に問う。

 女騎士は少し悩んだが、率直に処刑された者の身分を答えた。


 「それも()()()()()()()()()

 「元婚約者…ですか」

 「あぁ、王国の情報を帝国に売り、裏切りが発覚した事によって、反逆罪として処刑されたらしい」

 「…」


 女騎士から出た言葉に青年は深く考え始めた。

 その処刑された侯爵家の娘については、青年も国境防衛施設でも聞いた事のある事件である事を知っていた。

 詳しい情報はあまり流れて来なかったのだが、不可解な点があった事を青年は思い出した。


 「どうした?」

 「少し、その事件調べてみませんか?」

 「どうしてだ?」

 「もしかしたら、その処刑された人が一つ目の答えなのかもしれないと思うんです」


 青年は確信に近いかも知れないと女騎士に話す。


 「…わかった。なら、私と共に王宮図書館へ向かうぞ。そこに記録がある」

 「はい!」


 青年と女騎士は真相を知る為に王宮図書館へと、歩き出した。

次回は9/15の十六時に投稿します。

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