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わぁなんと低迷していることだか。
広大くんに言われたように、部活後の体育館の裏に回り込む。
……奏太くん、来るだろうか。
5分くらい待つと、向こうに小さな影が見えた。
シルエットで、奏太くんの影だとわかった。
徐々に近づいてくるみたい。
奏太くんは、私のことに気が付いたのか、少し驚いた顔をしてやってきた。
「…垂水…?なんか用か?」
「あっ、あのね……」
「メアド?」
「え?」
「メアド、教えてほしいんだろ。」
「あ………うん…。」
気づいてた?そりゃそうだよね。
あんなに不自然だったんだもの。
「あ、あとね…」
「ん?」
「付き合って、ほしいの。」
「…………え?」
『え?』と言うほうが逆になる。
奏太くん、さすがに付き合ってって言われるとは思ってなかったみたい。
私だって、友達から始めたってよかった。
でも、今は夏休みの前だ。
夏がすべてだった。
私にとって夏は紛れもなく恋の季節だった。
夏に何もしなければ、いつするというのだ。
今年の夏を、大切にしたかった。
「お願いします。」
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……………昨日、珊瑚ちゃんにコクられた。
あんまり突然だったから、「とりあえず保留」した俺は、家の中で珊瑚ちゃんへの回答を考え続けていたのだった。
そりゃあ俺が一番好きなのは、みうちゃんだけど、珊瑚ちゃんだって実質モテる上に可愛くて爽やかな印象だ。
断っちゃうのは、なんかなあ……
珊瑚ちゃんのこと好きな男子たちにも悪いし。
珊瑚ちゃん傷付けて、しかも女子からも「ひどーい」って言われる気がするし…………
ああ、もう、どうしろって言うんだよ。