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時計は三時ちょうどを回った。

日曜日の公園には、広大より2・3才くらい年上のカップルが何人もいる。

珊瑚ちゃんの姿が、カップルにまぎれて見えた。こちらにどんどん進んでくる。

広大は、珊瑚ちゃんに向かって手を振った。でも、もちろんデートの約束をしたわけではない。

「ごめん、私遅くなっちゃって…」

ここまでデートそっくりなのに、そうでないのが悲しい。

「遅くないよ、大丈夫、大丈夫。」

平気な顔をして、精一杯明るく言う。

「一昨日言った話しなんだけど…」

「わかってる。奏太のことでしょ?好きだから気になるとか。」

「!!?」

「俺だって、だてに情報通やってるわけじゃないよ。」

「ごめん、なんか…」

「謝らなくていいよ、別に。」

苦笑いになってしまったけれど、確かに今日初めて笑えた。

「奏太くんに、告白しようと思ってるんだけど…」

なるほど、俺からの情報を有効に使って、うまいタイミングで告白するつもりなのか。でも奏太は…

「奏太くんって、どんなときに一人になるの?」

思い出せ、広大。

「部活のあととか…」

珊瑚ちゃんを幸せにするために。

「バスケ部だから、体育館の裏がいいんじゃない?」頑張れ、俺。最後に送る言葉は?

「そこが最適だと思うから…頑張ってね。」

言えた、最後の一言。よかった、珊瑚ちゃんが傷つく前に言えて。

「うん、ありがとうね、今日は。…バイバイ。」

顔の横で小さく手を振ってから、駆け出す珊瑚ちゃんの背中を見届けたあとで、静かに広大は立ち去った。


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