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今、俺は珊瑚ちゃんと奏太を観察中。
二人の様子が変なのだ。
珊瑚ちゃんは妙に奏太の方をチラチラ見てるし、奏太といえば奏太で妙によそよそしい。
何か起こりそうな気がして、俺は情報屋としても、二人を見張っていた。
なんだなんだ、臭うぞ。
気になる。どうしようもなく気になる。
俺は将来、芸能人のゴシップを探して書く記者になるのが運命なのか?
それはそうと、奏太と珊瑚ちゃんだ。
あの珊瑚ちゃんの顔の赤くなる感じは、もしかして……メアドを聞きたい?
くそ、奏太に先手を越された。
というのは冗談で、分かりきってたことなんだけど、(改めて言うのは寂しいな)メアド聞くのは早くない?珊瑚ちゃん。
もっとじらせよ。
奏太だって立派な中2男子だ。
その子が自分に恋していると知った次の日にメアドを聞かれるなんて、刺激が薄すぎる。驚きはするだろうが。
なんというかこう……さりげなく谷間見せたり、上目遣いで話し掛けたりとか、そう、色仕掛けをしようぜ。
俺が勝手に頭の中で妄想していても、二人に進展はないようだった。
微妙に安心するような、しないような。
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垂水、珊瑚。
うん、今、俺に恋してる奴。
確認すればするほど、何かが食い違うのを感じる。
それは、まあ、要するに、
「好きな子と好かれた子」
の違いだ。
俺はみうちゃんが好きだ。
珊瑚ちゃんは俺が好きだ。
そのありきたりな人間関係がしっくりこない。
…その他の人間はどうなのかというと。
俺はバスケ部だということと醒めた性格が人気で微妙にモテる。
さっきあげたみたいな理由で告白してくる女子たちは、すでに全員断った。
そんなつまらない理由で
「付き合って」
と言われても、ちっとも幸せになれないからだ。
大体、している部活で男を選ぶとかどういう神経してるんだ!?
しかも、なんで醒めてる性格がいいんだ!?
俺は、そんな分からない理由で選ばれるよりも、自分でも気がつかなかったようなところを見てくれる人と付き合いたかった。
で、珊瑚ちゃんはなんとなーく後者の気がするから、どうも冷たくしてやろうという気持ちにならないのだ。
俺はどうすればいいのだろう?