3
ブラッといつもの書店に入る。
カウンターで中学生と話しているのは、この書店の店長だ。
「店長。」
気軽く声をかける。
すると、知らない学校の生徒と話していた店長は、にっこりしてこっちを向いてくれる。
「また来てくれたのか!広大くん!今日はいい情報が入ってきたぞ!」
広大は、みんなに話し掛けられるここの書店の店長からクラスの情報を入手しているのだ。
「転入生の垂水珊瑚ちゃんのことなんだけどな、2年C組の三池くんも好きなんだってさ!話したこともないのに。モテモテだよね、珊瑚ちゃん。」
この人も暇な大人だよな。
でも、暇な大人は暇がなくてうるさい大人よりずっといい。
「…店長。」
いい人だと思うから、僕は声に出して言ってみた。
「?」
「珊瑚ちゃんって誰が好きなんでしょうか?」
重い沈黙。
「…広大は珊瑚ちゃんが気になるのか?」
「………………一応、そうです。」
「…知りたいか?珊瑚ちゃんが好きな人。」
「…はい。」
店長は、ずいぶん黙ってから、遂に口を開いた。
「…奏太くん…だって。」
店長が重々しく言った理由はよく解るけど、本当は珊瑚ちゃんが誰が好きなのかは解っていたけれど、やっぱり現実は甘く実る果実のような気持ちを、まだ熟さないままであっけなく落として潰した。
残った枝には、秋がいち早くきたってくらいに冷たい風が吹きさらす。
その枝を温めるように、俺は最終手段を繰り出した。
―――ほら、やっぱり――
―やっぱ奏太のほうが好きなんじゃん――――
だったら、奏太に言ってやるしかないよな、珊瑚ちゃんのこと。
残念ながら私が人生で初めて書いた作品だもんで、言葉遣いとかあいまいです。一応確認・訂正しているはずなのですが、誤字等発見されましたら感想でお書きください。