4.
義道が帰ってこず、心配し、仲の良い女友達を連れて探す謙治。
「ん、あれは……」
カウンターで女の子と会話をしている義道を発見する。
「おいおい、つれねぇじゃんかよー」
「あの人が謙ちゃんの友人?」
「そうそう。でも珍しいな、女の子と自分から話してるなんて。……ちょろっと様子見てるか」
二人は遠くで義道の様子を見ることにした。
義道はジンジャーハイを見て何かを閃く。。
「マスター、雪国を」
「かしこまりました」
数分後、雪国という透明のカクテルの中に緑色のミントチャリーが入っていて、縁には、砂糖がキラキラと付いているカクテルが出される。
「これも、中々綺麗だなって思うんだよね」
雪国をその不思議な女の子に見せる。女の子はじっと雪国を見た後、一言ボソッと感想を言う。
「可愛い」
義道は、にこりと笑う。そして、雪国を女の子のほうに渡す。
「雪国は甘くて飲みやすいと思うんだ。きっと気に入るよ。飲んでみて欲しいな」
「…………」
女の子は黙って、雪国を眺める。
「あ、もしかしてアルコール苦手だったのかな?」
「………」
「………うーん、」
やはり返答は来ず。っと思ったが、
「分かんない」
「あ、分からない……そ、そうだよね、分からないですよねー!」
返っては来たが、話が進まない。あまりの気不味さに雪国に口を付ける。
「あいつ、なにやってんだよ。その女の子の為の雪国じゃないのかよ!」
「本当、不器用だねぇ、謙ちゃんのお友達。手助けしてあげたら?」
「……いや、あいつから話し掛けるなんて滅多に無いことだ。もうちょい様子を見るわ」
返事は返ってこないかもしれないが、このまま離れるのも気不味いし、もう少し踏ん張って話すことにした。
「えっと……君は一人でここへ?」
「………」
また同じ事を聞く。女の子はまた、青い珊瑚礁を見て黙る。
「あ、ごめん!同じ事を聞いてしまったね!……えっと、じゃあ、歳はいくつ?」
「………」
もしかして、話を聞いていないのではないだろうか。失礼ながら、女の子の目の前で手を振ってみる。
「ん……何?」
反応ありだった。
「ごめんね、ボーッとしてたから大丈夫かなーって」
「大丈夫」
「よ、良かった!あ、あの、歳はいくつなの?」
「……それは、ステータス上の年齢?」
「???あ、うん」
義道は、言い方に少し困惑しながらも、話を円滑に進めるため、つっこまないでおいた。
「ようやく認められる歳。力を認められて、旅に出れるの。私はまだ、強くはないけど……ね」
「…………」
あまりにも、予想を越える返しに動揺して、更に雪国に口を付ける。そして、頭を整理してから言葉を繋げた。
「そ、そうなんだ……二十歳って感じなのかな?ここに来ているし」
「………?」
首を少しかしげる女の子。二十歳では無いのだろうか。でも二十半ばにも見えない。まさか……
「未成年……なの?」
「……?」
女の子は目をぱちくりして義道を見る。
「数字で答えると…?」
「18」
バッと青い珊瑚礁を奪い、一気飲みする、義道。
「あ、」
女の子は飲まれて、声を出す。雪国も一気飲みしてポケットから三杯分のお金を出す。
「こんな時間に、こんな所に来ては駄目だ!親御さんが心配するし、未成年は入っては駄目なはずだ!」
「むー!酷い奴だなお前」
女の子は頬を膨らませ不満を口にする。
「酷いやつ、とかじゃなくてだな。何でここへ入れたんだ」
「私のポーション!」
「ポーション?」
「綺麗だったのに、何故飲んだ!」
「あれはアルコールが入っているからだ!」
「あれにはアルコールは入ってない!」
「いや、入ってるから!」
急に義道が人のアルコールを飲み、言い合いを始めたように見えた謙治と女の子は、驚いた。
「何やってんだアイツは!」
「と、止めなよ、謙ちゃん!」
「あー!仕方ねぇ!ちょっと手を貸してやるわ!」
謙治は二人に近付いていった。