六章3
「――と言うわけで、二人の仲間を失った旭人さんの復讐に付き合うことを決めた健気な燐ちゃんの恋物語はいかなる展開を迎えるのか。こうご期待っ!」
「また変なキャラで進める気だな。やめろ、扱いづらい」
視覚情報をアップし、前回のように進める。
だが、ここは前回とはわけが違う――戯魔園――ホワイトパラディンズが隠し持ち、警察すら政治家からの圧力により手を出せない領域に、僕たちは踏み込んでいた。
しかも、それをライブ中継している。
その上で、ここのアドレスを公開――ここにいる戯魔どもを狩って武勲を上げたい者はやって来いっと挑発つきだ。今頃、この映像は警察は元より、圧力を掛けていた政治家のところにも届いているだろう。いつでも配信停止されても大丈夫なように、複数の動画サイトにアップし、個人ページにもアップしているので、視聴者はどこかしらから拾うだろう。
ネットでは反響が凄かった。
『マジか、戯魔園見つけやがった!』
『ソースはよ、ソースは?』
『そんな簡単に見つかるもんなん?』
『でも、マジかも。檻の中に戯魔がうじゃうじゃしてる』
『ひゅーっ! 燐ちゃんカワイイワロスwww』
そして、早速――警備していた奴らが現れた。
ホワイトパラディンズのメンバーと思われる電戯士どもだ。
「てめーら、ここがどこだか分かってんのか。ぶち殺すぞ!」
「おい、アップされているんだぞ! 言動には気をつけろ!」
「チッ――まあ、不法侵入ってことで排除させてもらうぜ」
さすが電賊と言われるだけある。
実に好戦的な面構えだ――体の周りを守っていた電子防壁を圧縮し、電子鎧を構築していく。その臨戦態勢に僕らも圧縮させ電子鎧を構築、それぞれに拳銃とハンマーを持った。
まず出てきた二人と対峙する。
どうやら、ここの警備は手薄だったようだ――時間が経てば分からないが、圧力の影響でそこまで厳重に守る必要性がなかったのだろう。
これならいける!
相手は鎗の口の悪い前衛と機関銃の真面目風な後衛だ。
鎗の前衛が真っ先に僕に向かって紫電を放ってくる――攻撃系雷電魔爻術〈雷攻一式[デジンア]〉――僕はその紫電を高速で紡いだ同じ紫電で弾き返す。
「お前の相手はわたしだ!」
巨大なハンマーをブンッと真上から振り下ろすと、相手の電子鎧の表面が砕け散る――なんだ、もしかしてこいつらは恢斗電戯士以下の電戯士なのかも知れない。
なら――勝てる!
「悪いが、お前たちの相手をしている暇はないんでね!」
機関銃で弾丸をばら撒いてきた後衛の電戯士から先に潰す――燐とアイコンタクトでそれを伝え、突き進む。燐が重力魔爻術で弾丸を地面に落とし道を作る。僕はその道を突き進み、相手が短剣に持ち替えたのを知りつつも、そのまま突っ込み短剣が腹に突き刺さる。
痛覚を遮断。
間合いに入った相手の額に拳銃を突きつけて撃ち込む。
一発、二発!
相手は強制ログアウトとなり、アバターが電子塵へと散っていく。
鎗の前衛も僕の方に来たが、それは後ろからの燐の攻撃系重力魔爻術〈重攻三式[グランガ]〉を纏った一撃により、背中から打ち砕かれ粉々に粉砕――強制ログアウトとなった。
「旭人さん!」
燐が駆け寄ってくるが、僕は応急的にアバターを修復させる――回復魔爻術〈回復一式[ホイミア]〉により、傷ついた腹部の傷を強制的に塞いで、これ以上の出血を抑える。
いくらアバターと言えど、出血多量では動けなくなり強制ログアウトだ。
「僕の傷なんてどうでもいい。それよりも奴を見つけないと」
僕の本気度に、燐が口を閉じた。
代わりに頬を思いっ切り叩かれる。
「な、何を――?」
「何をじゃない! 自分を犠牲にして格好いいつもりですか? ださいですよ、ださい! そんな自己犠牲の上に成り立つ復讐なんてやめちゃえ! いいですか、旭人さん。旭人さんは冷静さを欠いていては、ただの三級電戯士です。旭人さんが強いのは、その冷徹なまでの卑怯さにあるんです。そのためには冷静に戦ってもらわないと、わたしまで危ないんですよ!」
惚けていると、さらに反対の頬にもビンタを食らった。
「分かりましたか!」
そう言われて僕は噴き出してしまった。
「ああ、まったくもってその通りだな。了解した。悪かったよ、気をつける」そういうと、燐が安心したように笑ってくれた。僕はその笑顔にどきっとしつつも、それを悟られないように目線を逸らしつつ、「さあ、征くぞ」と彼女を促した。
そのとき――警報音が園内に鳴り響く。
『戯魔が脱走しました。職員の方はシェルターへと避難してください。繰り返します、戯魔が脱走しました。職員の方はシェルターへと避難してください――』
目の前には、戯魔園の戯魔どもが――その数、数十を超える。
/
「最悪の展開って奴だな」




