〜うるさい女達に囲まれて〜
Ⅰ 俺の青春どうかしてる
……………………ピピッ、ピピッ、ピピッ、バンッ!!
うるさく部屋に鳴り響く目覚ましを止める。カーテンから溢れる太陽の光が、すごく眩しい。
……目が開かねぇ………。
「あーきーらーー!」
下から聞こえるバカでかい声。窓を覗くと、やけに明るい香織がいた。
「また寝坊したの?!ありえなーい!」
………生意気だ。あいつは相変わらずうるさい。こっちは寝起きで、頭が働かないのによぉ…。あんなに大声出されたら、近所迷惑だぜ。恥ずかしい奴だ。あいつと幼なじみなんて…可哀想すぎるだろ、俺。
「先に行ってればいーだろ…?」
朝から初めて声を出した。
朝の声って、変な声だよな…。
窓から覗きながら目を細めて、何とか下を見た。
「…ふーん。あっそ。」
少し冷たい声。
怒ったか?いやいやいや、何で怒るんだ?俺には分からない。心が読めるエスパーでもあるまいし。うむ。
心の中で独り言を呟きながら、学校に行く準備を進めていた。
「くっそー、中学校の制服って着にくいな…」
「独り言言っとらんでさっさと学校行けよ!!」
出た。うるさい女2人目。高校生の姉、彩芽。
「姉ちゃんこそ、そんなゆっくりしてていいのかよ。」
「ふふーん。今日は学校の創立記念日なんでーす。」
くっそー……。ゆっくりパンケーキなんか食いやがって……。明日はぜってー早く起きたる!!
「明!!ほんとに遅刻するわよ?!」
くっ、3人目が出てきたぞ、うるさい女…母ちゃん。こんな女達に囲まれて、俺って本当に可哀想だと思わないか?誰か意見くれよな☆
「うおおおおおおお、やべえええ!!」
こんな無駄な事、してる場合じゃねぇ!!
全力疾走。中学校まで歩いて15分。まぁ俺が全力で走れば3分で……ごめんなさい。7分です…。
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今回は6分で着いた。自己ベスト更新であります!
「っしゃ、ぎりセーフ!」
ドアの前で呼吸を整えてたら、香織が寄ってきた。
「やっときた!!遅すぎるわ!!」
相変わらず口が悪い奴…。
呼吸が荒すぎて喋れない俺を前に、香織は言いたい放題言ってきた。
「明はね、3日に1回は寝坊するんだから!ありえないよ?!学習してよね!」
そんなうるさくわめく香織を、俺は見つめていた。
…勘違いすんなよ?何となく、何となくだぞ!!
「なによ?」
「別に」
おっ、何かこの会話、カップルっぽくねぇか?…そうでもないか…?いや、こんな奴が恋人だったら俺はほんとに可哀想だぜ…。
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「今日の練習は何やるんだろうねぇ」
少しマイペースな口調。俺の隣にいる奴。
紹介しよう!!バスケ部次の次のキャプテン(多分…)その名も、光輝様だぜ!!こいつぁな、あのうるさい女3人共と違って、優しいし優しいし優しいし❤彼女にしたいぐらい…。こいつの爪アカを煎じてあいつらに飲ましてやりたい。光輝が居なかったら、俺の青春は本当に終わってる…。いや、半分終わってるかもしれない。あの女達のせいで……………。
夕日に向かって叫びたかったけど、どこにも夕日が見当たらない。仕方ないから、体育館に向かって、叫ぶ俺……。
「俺の青春どうかしてるーー!!!」