俺、変身すれば働けるじゃん!
ホテルに泊まった次の日の朝。う~ん、やっぱりベットはいいねぇ。なんといっても虫がいないのがいい。あいつら何がうれしくて俺にたかって来るんだか、こちとらいい迷惑だよ。後は、この柔らかさ!ネルなんてごろんしてから10秒経たずに夢の中だったね。やっぱり10歳の子に野宿はキツイか・・。すまんそ。
でも、それも昨日までだ!
そう!熟睡したお陰で俺、閃いちゃったよ!俺、変身すれば働けるじゃん!
うわっ、俺って天才?褒めて、褒めて!いや、普通はもっと早くに気付くか?やっぱり馬鹿か?
見た目さえなんとかなりゃ、身分証がなくたって働けるよ。俺のいた時代はそうだったよ。今だってきっと大丈夫さ。
そうと決まれば職探しだ。俺はネルを連れてファーストフードの店に朝飯を食べに行く。そこの入り口にあったフリーペーパーをごっそりもって検討を始めた。
「金治、働けるの?」
ネルがパンケーキを食べながら聞いてくる。ネルもこの世界では俺くらいの年齢が就労するのが難しいのは感じているみたいだ。
「おう、任せとけ!体力勝負なら負けないぜ!なんたって俺はドラゴンから三日三晩逃げ切った実績があるからな。」
「おおっ!」
ネルが素直に驚いてくれて嬉しい。まあ、これは俺の自慢ランキングの一番だからな。大魔王ぼっちを倒した位では大した自慢にならんのよ、あっちの世界では。
精々ネルフ金貨3千枚くらいかなぁ。
だが体力勝負の仕事は中々見つからなかった。俺が漢字をあんまり読めないせいもあるが殆どは頭脳系か専門知識を必要とするものばかりだ。
パソコンかぁ、多分コンピュータのことだろうけど俺の知っているやつとはインターフェイスが違うんだろうなぁ。エクセルってなんだ?
う~ん、体力系は機械化が進んで淘汰されちゃったのかなぁ。いっそ、後60年遡って昭和の高度成長期辺りに飛んでた方が簡単だったかもしれない。
そして俺はなんとか見つけた日雇いの土木作業員に応募した。
うん、体力には自信があるからね。なんせ俺、勇者属性だから。みんなが驚くから使わないけどそこいらの重機より力はあるよ。あり過ぎて多分うまくいかないよ。みんな消し飛んじゃうよ?
本当は住み込みなんかが良かったんだけどネルと一緒が可能な所はなかった。
俺、電話を持っていないから直接、会社に押しかけたよ。
一応、面接みたいなことをしたけど深くは聞かれなかった。まあ、日雇いだからね。集合場所と時間を指示され明日から来るように言われた。なんだ、働き先を探すのってちょろいじゃん。