初登校で人気者
さて、ネルの小学校デビューである。
ネルは10歳だから学年的には4年生だけど習得すべき学習課程としては2年生くらいが望ましい。俺はそこら辺をどう折り合いを付けるか悩んだが杞憂に終わる。実はネルの通う小学校って全学年で12人しか生徒がいなかったのよ。所謂複合学級という方法でみんなまとめて教えるから学年のことは考える必要がなかった。
だからネルの紹介は学校集会で行われた。
なんでもネルは東南アジアのある石油産出国からの交換留学生で12月までの短期ホームステイをこの村で過ごすのだそうだ。ネルはがんばりやさんなので日本語はペラペラだけど漢字がまだ良く読めないのでみんなで助け合いましょうと校長先生が言っていたよ。う~ん、あの姉ちゃんの手配としては完璧なんじゃないか?ついでに俺はお付の従者だそうだ。さすが姉ちゃんである。俺の扱いが酷いよ。
ネルはいきなり人気者になった。そらそうか。転校生というだけでインパクトがあるのに外国人設定で従者付だもんな。所謂お嬢様よ。でも、住んでいるのは築30年のボロ一軒家だけどね。いや、ボロって言うな!60年後の俺ん家より新しいぞ!
4年生以下の7人の子供たちは2日目からすでにネルの子分だ。いや言い方がまずいな。お友達である。4年生の男の子が一人ネルによそよそしいが、これは仕方あるまい。男の子だもんね。でもネルに手を挙げたらただじゃおかんぞ。
上級生の子達はまあそれなりに。でもネルの方から甘えるからメロメロよ。ネルよ、それは地なのか、演技なのか?にいちゃん心配です。
放課後は何人かに分かれて家に遊びに来ます。
その度に姉ちゃんが焼き菓子を振舞います。大好評です。でも、俺はびっくりです。姉ちゃんが焼き菓子・・、似合いません。スルメや塩コンブの方がしっくりきます。後、焼き菓子は俺には少し甘すぎます。でも子供たちにはこれくらいが丁度いいのかな。
休みの日は逆にネルがみんなの家に遊びに行きます。当然俺は連れて行ってもらえません。ネルは色々な事を覚えてきます。でもテレビゲームやパソコンは苦手なようです。でもあっという間に覚えるでしょう。ネルは天才だからね。
さて、凡才の俺は村の役場のお手伝いだ。金はあるからボケっとしていても食うには困らないが、怠け者は食うべからずと姉ちゃんが仕事を取ってくる。勿論日当は姉ちゃんが半分以上ピンハネする。その上で俺から食費と光熱費とネルの給食代を巻き上げる。鬼だな、こいつは。
今日は学校周りの草刈りのボランティアだ。
ネルたちは運動場でドッチボールをしている。上級生は見ただけで手加減しているのがわかるが、ネルたちは本気だ。わざわざ自分の方からボールに当たりに行く。いや、あれは捕球にいっているのか?
時々小さい子が泣き出すが先生は気にしない。上級生に任せっぱなしだ。生徒数の少ない学校故の暗黙のルールがあるのかもしれない。むーっ、これじゃ仮にネルが泣いても俺が出れないじゃないか。というかそんな事したらネルに口を聞いて貰えなくなるな。小学校に入れたのは失敗だったか?
家に帰ると姉ちゃんが、へそ丸出しで寝ていました。ビールの空き缶が散乱しているのはいつものことです。姉ちゃん、怠け者は食うべからずじゃなかったのか。




