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調子に乗ってはいけません

その後も、注文はどんどん来た。おかげで丸薬の残りが心もとなくなる。全部売れれば90万円になるが半分はばあちゃんに宿代と食費として払うから残りの日数を考えるともう少し薬がほしい。なんせ俺は喰うからね。食べれる時は食べる。冒険者の鉄則です。

そこで俺はネルに相談した。

「ネルよ、もう一回、薬草を持ってこれるかな?」

ネルは少し考える。向こうの世界の自生地を思い出しているのかもしれない。

「うん、大丈夫。ネル、あるところ知ってる。」

よっしゃー!これで併せて180万になる。豪遊してもお釣りがくるぜ!


翌日、俺とネルは前に薬草を召喚した空き地にやって来た。まだ2週間くらいしか経っていないのにもう草が一面に生えているよ。季節とはいえ大したもんだ。

ネルは前と同じようにぶつぶつ呪文を唱え始める。俺は今度は衝撃波を上空に逸らすよう身構えた。いや、別に俺が受けても大丈夫だけど同じ轍を2度踏むのはアホでしょ。俺は馬鹿だけど一応学習はするのよ。

「くる!」

ネルが俺に合図する。あらら、ネルったらこの前の俺の失態を分かっていたのね。にいちゃんハズカシー。

ネルの合図の数瞬後、どーんという衝撃波と共に花畑が出現した。今回はこの前のより少し広い。その分衝撃波も大きかったが全部上に逸らした。来るのが分かっていればこれ位昼飯後よ。運の悪いカラスが1羽落ちてきたが回復魔法で元通り。礼も言わずに逃げて行ったよ。まあ、所詮トリだからな。だけど後でお礼に来られても困るな。鶴じゃないから大丈夫か?


この前と同じに薬草を積み終えると俺は召喚した花畑をこんがり焼き上げた。水もたっぷり撒く。そして召喚でぐったりしているネルをおんぶしてばあちゃん家に帰った。ばあちゃんはぐったりしているネルを見て甘い桃を剥いてくれたよ。


一晩寝て体力が戻ったネルは朝から選別に取り掛かる。今回はばあちゃんにも手伝ってもらう。いや、別に人手は間に合っているんだけど、こうでもしないとばあちゃん金を受け取ってくれないのよ。食べ物屋の時もそうだったけど、ばあちゃん、金には厳しいです。働かぬ者喰うべからずを地でいってるよ。ばあちゃんのツテがあってこその売り上げだと言っても全然ダメ。

俺のばあちゃんも頑固だったからなぁ。病気で死んじまう間際に母ちゃんが泣いて頼んでも返して来いと言って薬を飲んでくれなかったし。でも俺と弟がお店からかっぱらってきたメロンは一口食べてくれたよ。おいしいと笑ってくれたよ。次の朝、ばあちゃんは目を覚ましてくれなかったけど母ちゃんは俺たちにありがとうと言ったよ。後で父ちゃんと一緒に店に謝りに行ったよ。1週間雑用をして勘弁してもらったよ。


そうゆうわけでばあちゃんにも手伝って貰うことにしたんだけど、あらら、なんかばあちゃん手際がいいよ。ネルもなんだかびっくりしてるよ。俺だけ一人蚊帳の外だよ。今回は量が多いから俺の出番が来るまで9日掛かったけどネルの負担は前の時より全然減ったみたいだよ。なによりネルが嬉しそうで良かったよ。にいちゃんも嬉しいぜ。・・ふんっ、寂しくなんかないんだから!ぐすん。


そして10日目、やっとこさ俺の出番です!待ちかねたよ薬草ちゃん。どばどばーっと魔力を注いでやるからなー!

でも、ネルは慎重です。再度くず薬草で俺の魔力をテストします。いや、ネルよ、俺この前試験にパスしましたよ?

ネル曰く、薬草の配合はその時々によって微妙に配合比率を変えるから同じ魔力を注入しては駄目なんだそうです。ふ~ん、そうなの?にいちゃん難しいことは嫌いなんでネルに全部お任せです。だってネルにオーケーを貰った今回の魔力とこの前注入した魔力の差がわかりません。分かんないけど試しにこの前の感覚でくず薬草に魔力を注入したら駄目でした。薬って奥が深いぜ。


そんなこんなで、新たに俺たちは160個の丸薬を手にした。

よーし、売って、売って、売りまくるぜ!

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